モミジガサ | Parasenecio delphiniifolius (Siebold et Zucc.) H.Koyama |
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山地・林床の植物 | キク科 コウモリソウ属 |
Fig.1 (兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.8/29) |
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Fig.2 (兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.5/9) 山地の適湿な木陰に生育し、地下茎を横走し先に新芽を生じ、しばしば群生する。 茎は高さ60〜80cm、上部に短い縮れた毛がある。茎葉は多数、有柄で、柄には翼がなく、長さ14cmに達する。 葉身は長さ15cm、幅20cmに達し、モミジ状に裂ける。表面は無毛で、やや光沢があり、裏面にまばらに絹毛がある。 頭花は円錐花序に多数つく。総苞は淡緑白色で筒状をなし、長さ8〜9mm、総苞片は5個。 小花は5個。白色でわずかに紫色を帯びる。痩果は長さ5〜8mm。冠毛は白色、長さ6.5〜8mm。 かつて記載された変種にオガサモミジガサ(var. brevilobus)があるが、詳細は不明。 テバコモミジガサ(P. tebakoensis)は葉がモミジガサより小さく、両面に毛を散生する。総苞は長さ5〜6mm、冠毛は長さ5mm。本州〜九州の太平洋側。 オオモミジガサ(Miricacalia makinoana)はモミジガサよりも大きく、花序は総状で、頭花は小花20個内外からなり、下向きにつく。本州〜九州の深山。 近縁種 : テバコモミジガサ、 オオモミジガサ、 オオカニコウモリ、 ミヤマコウモリソウ、 ウスゲタマブキ ■分布:北海道、本州、四国、九州 ■生育環境:山地の適湿な林床など。 ■花期:8〜9月 |
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↑Fig.3 茎下方の葉。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.7/31) 葉は互生し、葉身は長さ15cm、幅20cmに達し、モミジ状に裂ける。表面は無毛で、やや光沢がある。 |
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↑Fig.4 茎上方の葉。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.7/31) 茎上部の葉は小型となり、裂片の数が減ると同時に切れ込みは浅くなり、花序付近では卵形となる。 |
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↑Fig.5 茎は高さ60〜80cmになり、上部に短い縮れた毛がある。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.8/29) |
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↑Fig.6 花序。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.8/29) 花序は円錐花序で、多数の頭花をつける。頭花は地味で、花序の上部のものは開花中である。 |
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↑Fig.7 頭花。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.8/29) 総苞は淡緑白色で筒状をなし、長さ8〜9mm、総苞片は1列で5個。 小花は5個あり、全て筒状花で、先は5裂し、白色でわずかに紫色を帯びる。 小花上には花粉を食べに訪れた小甲虫が数多く見られた。 |
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↑Fig.8 雌性期に入った頭花。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.8/29) 雄性先熟で、雌性期に入ると筒状花の花弁は枯れて縮れ、褐色となっている。外曲した柱頭の先端には短毛を密生する。 |
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↑Fig.9 花後の頭花。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.8/29) 冠毛が伸び始め、総苞片の間からはみだしている。 |
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↑Fig.10 結実期。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.11/13) |
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↑Fig.11 痩果と冠毛。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.11/13) 左2個は結実した痩果、右は冠毛のついた不稔の痩果。結実率は悪く、頭花10個につき、痩果は1個程度結実したものがあった。 痩果は無毛、長さ5〜8mm、細かい縦じわがある。冠毛は白色、長さ6.5〜8mm。 |
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↑Fig.12 若い個体。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.8/29) 種子から生じた個体で、葉はまだ小さく、切れ込みは浅い。葉縁には微毛が見える。 |
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↑Fig.13 成長期の草体。(兵庫県香美町・温帯林の林床 2011.5/26) この頃までのモミジガサは東日本では山菜「シドケ」として人気があり、様々に利用される。 |
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↑Fig.14 採取した出芽まもない若芽。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.4/17) おひたし、和え物、漬物、ナムル、天ぷら、汁の実など、利用範囲は広い。 |
生育環境と生態 |
Fig.15 スギ植林地の林床に群生するモミジガサ。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.8/29) 兵庫県内では丹波地方より北の適湿な林床にモミジガサの群生が見られる。 同所的にイワガネゼンマイ、ベニシダ、ナンゴクナライシダ、ジュウモンジシダ、リョウメンシダ、イノデ、アイアスカイノデ、サイゴクイノデ、 オニヒカゲワラビ、ミヤマカンスゲ、ナキリスゲ、ヤマトキホコリ、ヤマミズ、イヌショウマ、セリバオウレン、ミヤマキケマン、セントウソウ、 チャルメルソウ、ミヤコアオイ、ハダカホオズキ、ミカエリソウなどが生育していた。 |