ナンカイアオイ Heterotropa nankaiensis  (F.Maek.) F.Maek.
  林床・林縁の植物 ウマノスズクサ科 カンアオイ属
Fig.1 (兵庫県淡路島・林縁 2010.4/10)
林床に生える多年草。茎は地をはい、多肉多節で暗紫色、芳香がある。
葉は卵形、卵状楕円形、ときに卵状ほこ形、やや鋭頭、基部は深い心形、表面は平坦で濃緑色、白斑があり、まばらに毛がある。
葉裏は無毛。葉柄は暗紫色を帯びる。
花は暗紫色で径約2cm、萼筒はコップ形で上端内側にくびれがあり、萼裂片の基部はつぼみの時には凹みがある。
【メモ】 本種は兵庫県下では淡路島でのみ見られるが自生地での個体数は多い。

近縁種 : ミヤコアオイ、 スズカカンアオイ、 カントウカンアオイ、 サンインカンアオイ、 サンヨウアオイ、 ヒメカンアオイ

■分布:本州(兵庫、和歌山)、四国(徳島、高知)
■生育環境:暖温帯の林縁や林床。
■花期:10〜4月

Fig.2 葉身。(兵庫県淡路島・林縁 2010.4/10)
  多くは卵形で、基部は深い心形となり、白斑があり、側脈はほとんど窪まない。葉柄は暗紫色を帯びる。

Fig.3 葉裏。(兵庫県淡路島・林縁 2010.4/10)
  葉裏は無毛で平滑、やや鈍い光沢がある。

Fig.4 花被。(兵庫県淡路島・林縁 2010.4/10)
  花被は暗紫色を帯びる。萼裂片基部は白い斑紋があり、3つつながって環状となる。

Fig.5 横から見た花被。(兵庫県淡路島・林縁 2010.4/10)
  小花柄や萼筒は無毛、萼筒はコップ形で、外側にはくびれはない。

Fig.6 萼筒内面。(兵庫県淡路島・林縁 2010.4/10)
  萼筒の内側の先端は仕切り状に急に狭くなってくびれ、萼裂片基部に突起やしわはなく、内壁には明瞭な網目状の隆起線がある。
  萼裂片は萼筒の先端まで切れ込まない。

Fig.7 萼筒を取り除いたところ。(兵庫県淡路島・林縁 2010.4/10)
  雄蕊は12個あり、葯の長いものと短いものが交互に並び、6個の雌蕊を取り巻く。
  柱頭は花柱上部の2つに割れた基部に卵形盤状につく。

Fig.8 前面の雄蕊と子房外壁を取り除いたところ。(兵庫県淡路島・林縁 2010.4/10)
  花柱は基部近くで合着する。子房はすでにかなり膨らんでおり、内部には種子が形成中であった。


最終更新日:16th.Apr.2010

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