ノジギク Chrysanthemum japonense
  (Makino) Nakai
  沿海・崖地の植物 
  兵庫県RDB Cランク種
キク科 キク属
Fig.1 (兵庫県御津町・沿海の岩場 2011.11/10)

Fig.2 (兵庫県姫路市・海崖 2012.12/6)

沿海地の崖地、岩場などに生育する多年草。
地下茎を伸ばしてふえる。茎の基部は倒れ、上部は斜上して多数分枝する。
葉は1.5〜3cmの柄があり、葉身は広卵形で、長さ3〜5cm、幅2.5〜4cm、基部はふつう心形、ときに切形で、ふつう5中裂、
ときに3中裂し、鋸歯があり、表面は緑色で毛を散生し、裏面は丁字状の毛が密にあって灰白色、やや厚い。
頭花は径3〜4.5cm、花柄は長いかまたはやや短く、頭花が多くつくと散房状に並ぶ。
総苞は半球形、長さ約8mm、片は3列に並び、外片は短く円頭で、灰白色の毛がある。
舌状花は白色、のちに淡紅色となるが、まれに淡黄色の花もある。
痩果はやや円柱形、長さ1.8mm、5肋がある。

【メモ】 本種は兵庫県の県花とされ大塩、的形、八家の群落はよく知られている。
     同じキク属のリュウノウギク、シマカンギク、キクタニギク(アワコガネギク)などとよく種間雑種をつくり、区別の難しいものも多い。
     当然のことながら園芸品種のキク属とも種間雑種もつくる。
近縁種 : リュウノウギクワカサハマギク、 シマカンギク、 キクタニギク、 サンインギク
関連ブログ・ページ 『Satoyama, Plants & Nature』 ノジギク 兵庫県の県花

■分布:本州(兵庫県以西)、四国(愛媛県)、九州
■生育環境:沿海地の崖地、岩場など。
■花期:10〜12月

Fig.3 葉。(兵庫県御津町・沿海の岩場 2011.11/10)
  葉は互生し、葉身は広卵形で、基部はふつう心形、ときに切形、ふつう5中裂、ときに3中裂し、鋸歯がある。

Fig.4 葉裏にある毛。(兵庫県御津町・沿海の岩場 2011.11/10)
  葉裏には丁字状の毛が密に生える。このため裏面は灰白色に見える。

Fig.5 総苞。(兵庫県御津町・沿海の岩場 2011.11/10)
  総苞は半球形、片は3列に並び、外片は短く円頭で、灰白色の毛がある。

Fig.6 開花したノジギク。(兵庫県御津町・沿海の岩場 2011.11/10)
  斜上して分枝した枝先に多数の花を散房状につける。

Fig.7 頭花。(兵庫県御津町・沿海の岩場 2011.11/10)
  舌状花は白色、のちに淡紅色となるが、まれに淡黄色の花もある。

Fig.8 頭花の拡大。(兵庫県御津町・沿海の岩場 2011.11/10)
  筒状花は5歯がある。筒状花のつぼみ表面の小さな粒は雨粒。

Fig.9 岩場で垂れ下がって咲く個体。(兵庫県姫路市・海崖 2012.12/6)
  岩の隙間に根付いて垂れ下がって開花していた。

Fig.10 雑種と推定される集団。(兵庫県御津町・海崖 2011.11/10)
  シマカンギクかキクタニギク(逸出)との種間雑種と推定される集団。
  白花と黄花が隣り合い、頭花の大きさや舌状花の形状にばらつきが見られる。

生育環境と生態
Fig.11 沿海地の岩山に生育するノジギク。(兵庫県御津町・沿海の岩場 2011.11/10)
沿海地にある岩場の多い山の斜面に多くのノジギクが開花していた。
岩山の斜面ではアカマツ、コナラ、ウバメガシ、トベラ、ネズ、イブキシモツケ、ツクシハギ、テリハノイバラなどの低木が優占し、
比較的表土の薄い場所にノガリヤス、オガルカヤ、ヒカゲスゲ、ヤマラッキョウ、カラスノゴマなどとともにノジギクが生育している。

Fig.12 海崖に生育するノジギク。(兵庫県姫路市・海崖 2012.12/6)
海岸の流紋岩質角礫凝灰岩の海崖のあちこちの岩棚で群生し、開花していた。
付近の海崖には海浜植物と乾性草原性植物、湿生植物が混生しており、大変興味深い場所だった。
ノジギクと同じ岩棚で生育しているものはテリハノイバラとオガルカヤが最も多いようで、ツルボの出現頻度も高い。
他にユウスゲ、オニユリ、ヤマラッキョウ、ススキ、ハマエノコロ、ハマボッス、ハマツメクサ、ハマナデシコ、ハマアオスゲ、アオスゲ、
フサスゲ、イヌクグなどが見られた。


最終更新日:4th.Mar.2014

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