ヤマスズメノヒエ | Luzula multiflora Lejeune | ||
里山・草地の植物 | イグサ科 スズメノヤリ属 |
Fig.1 (兵庫県篠山市・クリ園の草地 2013.4/9) 丘陵〜山地の草地、林縁、里山の棚田の土手、溜池土堤に生育する多年草。 茎の高さ20〜40cm。イネ科状の葉を持ち、基部は筒状の鞘となる。 根生葉は多数、長さ6〜15cm、幅2〜5mm、茎葉は1〜2個、長線形で、長さ5〜10cm、幅2〜4mm、縁に白色の長毛があり、 先端は硬質鈍形になる。花序は数個〜多数の小頭花からなる。小苞の先は不規則に細裂する。 花被片は卵状披針形で鋭頭、背部は褐色、縁は白膜質で、長さ2.5〜3mm。 雄蕊は6個で、花被片より短く、葯は長楕円形で花糸とやや同長である。 刮ハは黄褐色で、花被片より少し長い。種子は円形または広倒卵形で長さ1.3mm内外、その1/2の種枕(エライオソーム)がある。 近縁種 : スズメノヤリ、 ヌカボシソウ、 オカスズメノヒエ ■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国、千島、樺太、カムチャッカ、シベリア、北米、ヨーロッパ、北アフリカ、オーストラリア ■生育環境:丘陵〜山地の草地、林縁、里山の棚田の土手、溜池土堤など。 ■花期:5〜7月 |
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↑Fig.2 全草標本。(兵庫県三田市・畑地の土手 2011.5/15) 高さ20〜40cm、イネ科状の葉をもつ。根生葉を束生し、茎葉を1〜2個つける。頭花は多数。 |
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↑Fig.3 基部と根生葉。(兵庫県三田市・畑地の土手 2011.5/15) 根生葉は多数つき、広線形、基部は筒状の鞘となる。 |
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↑Fig.4 根生葉、茎葉ともに縁に長い白毛が生える。(兵庫県三田市・畑地の土手 2011.5/15) |
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↑Fig.5 花序(果実期のもの)。(兵庫県三田市・畑地の土手 2011.5/15) 花序は単散花序が組み合わさった、イグサ科特有の藺状花序と呼ばれる形態で、花序枝が主軸から互生する。 最下の苞葉は花序よりも短く、葉状で直立〜斜上する。 |
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↑Fig.6 開花中の花序。(兵庫県篠山市・畑地の土手 2013.4/9) |
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↑Fig.7 開花中の頭花。(兵庫県丹波市・棚田の土手 2010.5/8) 開花はふつう晴天の午前中。はじめ花被片の隙間から雌蕊の柱頭が現われる。続いて花被片が開くと、雄蕊が伸びていく。 花被片6個、褐色を帯びる。雄蕊6個、花被片より短く、葯は長楕円形で花糸とやや同長。雌蕊柱頭は3岐する。 |
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↑Fig.8 果実期の頭花。(兵庫県三田市・畑地の土手 2011.5/15) 刮ハは黄褐色で、花被片より少し長い。花被片は卵状披針形で鋭頭、背部は褐色、縁は白膜質。 |
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↑Fig.9 痩果。(兵庫県三田市・畑地の土手 2011.5/15) 痩果は円形または広倒卵形で長さ1.3mm内外、その1/2の種枕(エライオソーム)がある。 |
生育環境と生態 |
Fig.10 山麓農道脇の草地斜面に生育するヤマスズメノヒエ。(兵庫県丹波市・農道脇草地 2010.5/8) 棚田最上部の農道の草地斜面に同属のヌカボシソウとともに群生していた。 草地斜面は刈り込まれたネザサ、ススキを主体とし、地表にはハイゴケ、ウマスギゴケが生育し、多少とも湿り気がある。 同所的にミヤマフユイチゴ、ビロードイチゴ、アオスゲ、クサスゲ、ノチドメ、タチツボスミレ、カキドオシ、ベニシダ、シシガシラなどが生育する。 |