西宮の湿生・水生植物


 フィールド・メモ


このページはトップページの 「水辺から、そして緑から…」 で紹介した記事のバックナンバーに、一部画像を追加し加筆したものです。

 2012年 4月

---------------------------------------------- 13th. Apr. 2012 ------------------------------------------

春の花
ようやく2012年度最初の更新をすることができました。
私事ながら多忙となり、フィールドに出かける機会も減り、落ち着くまでは更新の機会も減ってしまいそうです。

セツブンソウ
Fig.1 セツブンソウ
3月頭に気分転換にセツブンソウの花を見に出掛けた。 この自生地では昨年よりも群落が広がっているように感じた。 画像右上には紫色の色素を持たない個体が見られる。 大きな群落ではこのような個体が稀に見られる。
(画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花・セツブンソウ
セリバオウレンの群生
Fig.2 セリバオウレンの群生
セツブンソウ自生地の帰途、昨年見つけた社寺林床に群生するセリバオウレンを見に行った。 まだ咲き始めで花茎があまり伸びていない。 丹波地方にはこのようなセリバオウレンの群生する場所が多く、かつては「黄蓮」の産地として有名であった。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花・セリバオウレン
ケスハマソウ
Fig.3 開花間もないケスハマソウ
阪神地域で春植物が見られる場所は少ないが、この場所ではケスハマソウがまとまった群落を形成している。 あいにくの雨天であったが、天候が悪くとも花はしぼまず開花していた。 周辺には兵庫県下でも稀なカノツメソウも生育しており、阪神地域では特殊な場所である。
(画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
ユキワリイチゲ
Fig.4 ユキワリイチゲ
阪神地域で唯一ユキワリイチゲが生育する場所にご案内頂き、生育規模を調べた。 破砕された堆積岩が覆う、ネザサの侵入の少ない落葉高木主体の山腹斜面に、生育良好な群落が点在していた。 ここでは阪神地域では稀なイチリンソウやフッキソウなども生育している。
(画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花・ユキワリイチゲ
アマナ
Fig.5 アマナ
ユキワリイチゲ自生地近くの土手ではアマナが開花しはじめていた。 やや半日陰の場所に群生しているためだろう、開花個体は2株と非常に少なかった。 アマナは日の当たりにくい林床に群生していることもあり、このような場所に生育するものは開花が見られず、もっぱら分球によって殖えているようである。
(画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花・アマナ
フッキソウ
Fig.6 フッキソウ
フッキソウは植え込みなどにグランドカバーに使われることが多く、街路や宅地で見かける機会も多いが、兵庫県では自然状態で生育しているものはなかなか見る機会はなく、 兵庫県版RDBではBランクとして記載されている。 茎下部は地表を這って広がり繁殖力旺盛であるため、自生地では林床に広いパッチ状の群落をつくる。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
マンサク
Fig.7 マンサク
春先になると山の渓流畔で最初に開花し、必ず見に行きたくなる花である。 年によって開花数に大きな開きがあり、昨年は多くの花をつけて沢山の結実が見られたためか、今年は不作で申し訳程度にしか花が見れなかった。
(画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花・マンサク
ダンコウバイ
Fig.8 ダンコウバイ
マンサクの開花後、キブシの開花前、西宮市内の渓流畔ではダンコウバイが開花する。雌雄異株で、画像のものは雄花で雌花よりもよく目立つ。 ダンコウバイは秋の黄葉も美しく、まとまって生育する谷間では林内が明るく感じられる。 よく似たものにアブラチャンがあるが、西宮市内では生育を確認していない。
(画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
水田のコオニタビラコ
Fig.9 水田のコオニタビラコ
西宮市内北部の水田ではコオニタビラコが開花していた。 コオニタビラコは春の七草の「ホトケノザ」に当たるもので、この水田では一面を覆うように群生しており、七草粥にはこの場所のものを摘んでくる。 他の人がこの草を摘んでいるのは見たことが無く、今ではこの草が食べられることを知る人も少ないのだろう。
(画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●湿生植物・コオニタビラコ 
ツクシの群生
Fig.10 群生するツクシ
市内の旧畑作地で見事な群生が見られた。 ツクシはスギナの胞子嚢穂。この時期にはよく摘んできて料理して酒のアテとする。はかまを取り去るのが手間だが、ほろ苦い味がやみつきになる。 佃煮にしたものは冷凍保存もできる。野焼きされた場所や撹乱を受けた場所に出るものは、茎は太くなり大きなものが多い。
(画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)


<<<戻る < 2011年10月へ TOPページ 2012年8月へ >