モウコガマ Typha laxmannii  Lepech. ガマ科 ガマ属
湿生〜抽水植物 帰化植物
Fig.1 (茨城県・植栽 2010.9/12)

湿地、溜池などで陸生〜抽水状態で生育する多年草。
地下茎は太く横にはう。茎は高さ1〜1.3m。葉は長さ50〜90cm、幅2〜4mm。
花は単性で雌雄同株。円柱形の花序を頂生し、上部に雄花部、下部に雌花部をつけ、その間には花のつかない軸だけの部分がある。
雌花部は短く長さ3〜5cm、こげ茶色に熟す。

ヒメガマT. domingensis)に似るが、ヒメガマはより大型で、葉幅4〜10mm、雌花部は白っぽい茶色に熟す。
近似種 : ヒメガマコガマガマ

■分布:北海道と本州の一部に逸出、帰化 ・ 中国東北部〜ヨーロッパ原産
■生育環境:湿地、溜池。
■花期:6〜7月
■西宮市内での分布:市内では未確認。兵庫県下では2ヶ所に定着している。

Fig.2 花序。(兵庫県宝塚市・溜池畔 2010.9/7)
  上部に雄花部、下部には雌花部がある。雄花部と雌花部の間には花のない花序軸のみとなる部分がある。
  雌花部は他のガマの仲間に比べて短い。

Fig.3 雄花部と雌花部。(兵庫県宝塚市・溜池畔 2010.9/7)
  雄花部は雌花部よりも長く、花後しばらくすると脱落する。
  雄花部と雌花部の間の長さは、雌花部の長さとほぼ同長であった。

Fig.4 ガマ属3種の葉幅比較。(兵庫県宝塚市・溜池畔 2010.9/7)
  モウコガマの葉幅は2〜4mm。コガマの葉幅は5〜8mm。ヒメガマの葉幅は4〜10mm。

Fig.5 背軸側(ふくらんだ側)葉面の脈。(兵庫県宝塚市・溜池畔 2010.9/7)
  中太脈と細脈が交互に並ぶ。葉脈による種の区別は 日本の野生植物検索表ガマ科ガマ属図入り検索表に詳しい。

生育環境と生態
Fig.6 水の引いた溜池畔に生育するコガマ(左)とモウコガマ(右)。(兵庫県宝塚市・溜池畔 2010.9/7)
イグサ、アブラガヤ、ヒメジソなどの生育する溜池畔に生育している。
モウコガマはコガマよりも小型で、葉幅も細いことが解る。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
角野康郎, 1994. ガマ科ガマ属. 『日本水草図鑑』 84〜87. 文一統合出版
大場達之. 2001. ガマ科. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 392〜394. 神奈川県立生命の星・地球博物館
勝山輝男. 2001. ガマ科. 清水建美(編)『日本の帰化植物』 p.292. pls.154. 平凡社
角野康郎 2008. モウコガマ. 兵庫県産維管束植物10 ガマ科. 人と自然19:222. 兵庫県立・人と自然の博物館
山口純一 2010. ガマ科ガマ属図入り検索表. 日本の野生植物検索表.  WEBサイト

最終更新日:29th.Dec.2010

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