ウリクサ | Lindernia crustacea (L.) F. v. Mueller | ゴマノハグサ科 アゼトウガラシ属 |
湿生植物 |
Fig.1 (滋賀県高島市・池畔の裸地 2008.9/8) |
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Fig.2 (京都府綾部市・水田の畦 2013.8/19) 畦、農耕地や溜池周辺の湿った場所、湿った庭先や道端にも生える1年草。 稲作伝播とともに定着した史前帰化植物との説が有力。 茎は4稜あり、下部で分枝して地表を四方にひろがり、長さ7〜18cm。 葉は広卵形で長さ1〜2cm、幅6〜12mm、鋸歯があり、茎とともに紫色を帯びることがある。 萼は長さ4〜5mm、稜があり5裂して裂片は鋭頭。花冠は2唇形で長さ約1cm、下唇は広く3裂し、雄蕊4個。 朔果は萼よりわずかに長く、マクワウリに似ることからウリクサと命名されたという。 近似種 : アゼトウガラシ、 エダウチスズメノトウガラシ、 ヒロハスズメノトウガラシ ■分布:本州、四国、九州、沖縄 ・ 朝鮮半島、台湾、中国、インド、マレーシア ■生育環境:畦、農耕地や溜池周辺の湿った場所、庭先、道端など。 ■花期:8〜10月 ■西宮市内での分布:中・北部の棚田周辺や道端に見られるがやや少ない。 |
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↑Fig.3 ウリクサの花冠。(滋賀県高島市・池畔の裸地 2008.9/8) 2唇形で上唇は小さく、3裂した下唇が目立つ。上唇は2浅裂する。 萼は5裂し裂片は鋭頭、裂片には稜がある。 |
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↑Fig.4 分枝する茎。(滋賀県高島市・池畔の裸地 2008.9/8) 茎は4稜あり、下部で分枝する。分枝した茎は地表を直線的に四方に伸び広がる。 |
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↑Fig.5 ウリクサの葉。(滋賀県高島市・池畔の裸地 2008.9/8) 葉は広卵形で鋸歯があり、対生する。葉柄は茎下部のものほど長い。葉柄からは茎が分枝するか、花茎が分かれることが多い。 葉は茎とともに、葉脈付近から紫色を帯びるものが多い。 |
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↑Fig.6 多数の果実を形成した個体。(兵庫県加西市・水田の畦 2008.10/19) ウリクサは夏〜秋の長い期間にわたって、盛んに開花結実する。 |
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↑Fig.7 ウリクサの果実。(兵庫県加西市・水田の畦 2008.10/19) 刮ハは萼片よりも少し長い程度でよく見えず、マクワウリという実感は湧かない。 左から2個目の刮ハは食害に遭っており、先端に糞塊が見える。食害した主らしき幼虫が右手のほうの刮ハにとりついている。 |
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↑Fig.8 種子。(西宮市・社寺境内 2015.10/9) 種子は方形を帯びた楕円形〜卵形で、淡褐色、長さ約0.3mm。 |
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↑Fig.9 種子の拡大。(西宮市・社寺境内 2015.10/9) 種子表面には浅いくぼみが弱い格子模様をつくり、小さな瘤粒が散布する。 |
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↑Fig.10 茎を斜上分枝するウリクサ。(兵庫県丹波市・多湿の草地 2010.9/27) ウリクサは畦畔などの踏み付けに遭う場所によく見られるが、踏み付けに遭わない場所のものは、地表に広がらない。 茎は分枝しながら斜上して伸びる。 |
西宮市内での生育環境と生態 |
Fig.11 墓地の湿った礫地に生育するウリクサ。(西宮市・墓地 2008.10/14) 踏み付けに遭う墓地の参道上に生育しているもの。表面は砂利が敷かれているが、土壌は降雨時には滞水するような粘土質土壌である。 ウリクサはチチコグサ、ハハコグサ、クサイ、トウバナ、ヒメスミレ、ヒメジョオン、コニシキソウ、アリノトウグサなどとともに生育している。 |
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Fig.12 社寺境内の広場に生育するウリクサ。(西宮市・社寺境内 2016.8/22) ほとんど車の乗り入れの無い広場の湿った場所に、ウリクサが群生地をつくっていた。 大きな草本は雑草として草抜きや草刈りに遭うため生育しておらず、コスミレ、コナスビ、ヒメミカンソウ、ニワサキタネツケバナなどの 小型の草本や、根元から引き抜きにくい草本が残って生育している。草抜き前にはイガガヤツリ、テンツキ、ハイヌメリなどが見られる。 |
他地域での生育環境と生態 |
Fig.13 池畔の裸地で踏付けが見られる場所に生育するウリクサ。(滋賀県高島市・池畔の裸地 2008.9/8) 中栄養な池の裸地に見られ、フタバムグラ、トキンソウ、ミゾカクシ、ヒデリコなどの水田雑草とともに生育していた。 |
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Fig.14 水田の畦に群生するウリクサ。(岡山県真庭市・水田の畦 2006.9/27) 山間の水田の畦を覆うように群生していた。 |
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【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。) 山崎敬, 1981. ゴマノハグサ科アゼトウガラシ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編) 『日本の野生植物 草本3 合弁花類』 p.104〜105. pls.88〜89. 平凡社 北村四郎・村田源・堀勝, 2004 ゴマノハグサ科ウリクサ属. 『原色日本植物図鑑 草本編(1) 合弁花類』 p.146〜147. pl.45. 保育社 牧野富太郎, 1961 ウリクサ. 前川文夫・原寛・津山尚(補遺・編) 『牧野 新日本植物図鑑』 556. 北隆館 城川四郎. 2001. アゼトウガラシ属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 1262〜1266. 神奈川県立生命の星・地球博物館 小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. ウリクサ. 『六甲山地の植物誌』 191. (財)神戸市公園緑化協会 村田源. 2004. ウリクサ. 『近畿地方植物誌』 40. 大阪自然史センター 黒崎史平・高野温子 2006. ウリクサ. 兵庫県産維管束植物7 ゴマノハグサ科. 人と自然16:105. 兵庫県立・人と自然の博物館 最終更新日:8th.Dec.2016 |