ウシクグ Rhynchospora alba  (L.) Vahl カヤツリグサ科 カヤツリグサ属
湿生植物
Fig.1 (西宮市・休耕田 2007.10/11)

Fig.2 (西宮市・用水路脇 2010.9/20)

水田の畦、休耕田、中栄養な湿地に生育する1年草。
やや叢生し、有花茎は太く、高さ20〜70cm。
葉は花茎より長く幅3〜8mm、縁はざらつく。基部の鞘は褐色。
花序は散形で複生、長さ5〜20cmで、15cmに達する花序枝が5〜10個ある。
花穂はやや密に小穂を生じ、長さ2〜3cm、中軸の稜には刺毛がある。
苞葉の葉身は3〜4枚が花序よりも長く40cmに達することがある。
小穂は線形、長さ5〜8cm、やや扁平、8〜20個の小花が2列つき、濃赤褐色。
鱗片は広楕円形、長さ1.2〜1.5cm、円頭、全縁、中肋は緑色。
痩果は倒卵形、長さ1〜1.5mm。柱頭は3岐する。
全草、もむとレモン様の芳香がある。

コゴメガヤツリとの雑種をコウヤガヤツリC. ×boreali-kiiensis)といい、ウシクグに似るが全体は細い。小穂の色は薄く、花数は少ない。
近似種 : ミズガヤツリカヤツリグサアゼガヤツリチャガヤツリオニガヤツリ

■分布:北海道、本州、九州 ・ 朝鮮半島、中国、シベリア東部
■生育環境:水田の畦、休耕田、中栄養な湿地など。
■果実期:8〜10月
■西宮市内での分布:中部・北部の、特に休耕田に普通。


Fig.3 全草標本。(西宮市・休耕田 2010.9/20)
基部の鞘は褐色を帯び、やや叢生する。オニガヤツリに比べると草体は柔らかく、有花茎は太い。

Fig.4 花序。(西宮市・砂防ダム内の湿地 2007.8/31)
  複散形花序。花序枝は長い。
  苞葉の3〜4枚は花序よりも長い。

Fig.5 伸び始めの花序。(西宮市・休耕田 2007.8/30)

Fig.6 熟した小穂。(西宮市山口町・用水路脇 2006.9/25)
  小穂は花序枝に斜開してつく。熟した小穂は全体が濃赤褐色となることも多い。

Fig.7 小穂の拡大。(西宮市山口町・休耕田 2007.8/30)
  扁平で長さ6〜8mm。鱗片は赤紫色で、中肋は緑色。鈍頭。

西宮市内での生育環境と生態
Fig.8 砂防ダム内の湿地に生育するウシクグ。(西宮市・砂防ダム内の湿地 2007.8/31)
湿地では攪乱の多い場所や、成立まもないやや中栄養な湿地に生育することが多い。
画像にはこういった場所を好むカヤツリグサ科植物が多数写っている。後方の大きな株はアイバソウ、中心のウシクグの左はカワラスガナ、右はヤマイ、
左手前に倒れ込んでいるのはアイバソウの花序。
市内ではウシクグは休耕田にも多く、休耕田ではカワラスガナ、イヌホタルイ、各種テンツキ類との組み合わせをよく眼にする。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
大井次三郎, 1982. カヤツリグサ科カヤツリグサ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本1 単子葉類』 p.180〜184. pls.164〜168. 平凡社
小山鐡夫, 2004 カヤツリグサ科カヤツリグサ属. 北村四郎・村田源・小山鐡夫 『原色日本植物図鑑 草本編(3) 単子葉類』 p.238〜245. pls.60〜61. 保育社
牧野富太郎, 1961 ウシクグ. 前川文夫・原寛・津山尚(補遺・編) 『牧野 新日本植物図鑑』 757. 北隆館
北川淑子・堀内洋. 2001. カヤツリグサ属カヤツリグサ亜属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 400〜408. 神奈川県立生命の星・地球博物館
星野卓二・正木智美, 2003 ウシクグ. 星野卓二・正木智美・西本眞理子『岡山県カヤツリグサ科植物図譜(2)』 70,71. 山陽新聞社
谷城勝弘, 2007. カヤツリグサ属. 『カヤツリグサ科入門図鑑』 174〜179. 全国農村教育協会
小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. ウシクグ. 『六甲山地の植物誌』 249. (財)神戸市公園緑化協会
黒崎史平・松岡成久・高橋晃・高野温子・山本伸子・芳澤俊之 2009. ウシクグ. 兵庫県産維管束植物11 カヤツリグサ科. 人と自然20:166.
       兵庫県立・人と自然の博物館

最終更新日:8th.Oct.2014

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