コツブヒメホタルイ Schoenoplectiella lineolata  Franch. et Savat.
form. achenes  (T. Koyama) T. Koyama
カヤツリグサ科 ホタルイ属
湿生〜抽水植物
Fig.1 (兵庫県芦屋市・溜池畔 2007.10/18)

溜池畔や湿地に生える多年草。ヒメホタルイの変種で、抽水状態で見られることも多い。
横走する細い根茎を伸ばし、株はつくらず茎は単生し、まばらに出る。
根茎は地下で直線的に伸びることが多く、茎は列をなして生えることが多い。
茎は円柱形で中実、上部に普通1個、稀に2個の小穂を付ける。
痩果の刺針状花被片は全くないか、痕跡的で、この点でヒメホタルイと区別する。

ホタルイとの種間雑種はインバホタルイS. ×?)とされ、花粉は不定形で、痩果の刺針状花被片は痩果より短い。
近似種 : ヒメホタルイホタルイイヌホタルイタイワンヤマイ、 ヤマイ

■分布:北海道、本州、四国、九州、沖縄
■生育環境:溜池畔、湿地、水田など。
■花期:7〜9月
■西宮市内での分布:市外の近隣地域ではよく目にするが、市内では確認できていない。

Fig.2 横走する細い匍匐根茎を直線的に伸ばし、節より発根し、1〜2本の茎を立ち上げる。(兵庫県芦屋市・溜池畔 2007.11/22)

Fig.3 根茎と基部の様子。茎の基部は、褐色の葉身のない鞘に包まれる。鞘は普通、2個つく。(兵庫県芦屋市・溜池畔 2007.11/22)
  秋になると根茎の先端や、節から短く枝を分けた先に、塊茎をつくり越冬する。

Fig.4 塊茎は大きさ1.5cm程度で白〜淡褐色、根茎先端に数個連なってつく。(兵庫県芦屋市・溜池畔 2007.11/22)
  塊茎を繋ぐ根茎はくびれて屈曲する。

Fig.5 小穂は披針形で鋭頭。長さ8〜10mm。鱗片の先端はやや鋭頭で、ヒメホタルイと区別は困難。(兵庫県芦屋市・溜池畔 2007.10/25)

Fig.6 痩果は広倒卵形で、長さ1.5〜1.7mm。(兵庫県芦屋市・溜池畔 2007.10/25)
  刺針状花被片を欠く(左)か、痩果の基部に痕跡的に残る(右)。


Fig.7 茎の表面には不明瞭な肋があり、径1.5〜2mm。(兵庫県芦屋市・溜池畔 2007.11/22)
  茎の内部は中実で、中心には1本の維管束組織が導通し、外縁の不明瞭な肋の部分にも維管束組織が通る。
  茎の上下を貫く隔壁によって数個の気室に分けられ、その長い気室をまばらに横の隔壁が仕切る。
  横の隔壁は多孔質で無数の小孔があり、気室内には綿糸状の組織がまばらに見られる。

生育環境と生態
Fig.8 ヒメガマ群落の外縁に抽水〜沈水状態で生育するコツブヒメホタルイ。(兵庫県芦屋市・溜池畔 2007.10/18)
比較的水位変動の少ない溜池では、抽水〜沈水状態で生育することが多く、陸上ではあまり見られない。
沈水状態ではほとんど小穂をつけず、根茎をのばして栄養繁殖してパッチ状の群落をつくるが、ときに池底全体を覆うこともある。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
大滝末男, 1980 ホタルイ. 大滝末男・石戸忠 『日本水生植物図鑑』 158〜159. 北隆館
大井次三郎, 1982 カヤツリグサ科ホタルイ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本T 単子葉類』 p.176〜179. pls.160〜163. 平凡社
角野康郎, 1994 カヤツリグサ科ホタルイ属. 『日本水草図鑑』 96〜100. 文一統合出版
星野卓二・正木智美, 2003 ホタルイ属. 星野卓二・正木智美・西本眞理子『岡山県カヤツリグサ科植物図譜(U)』 108〜137. 山陽新聞社
谷城勝弘, 2007 フトイ属. 『カヤツリグサ科入門図鑑』 152〜164. 全国農村教育協会


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