トキワハゼ Mazus pumilus  (Burm.f.) van Steenis ゴマノハグサ科 サギゴケ属
湿生植物
Fig.1 (兵庫県篠山市・湿った林道 2008.5/8)

畦や耕作地周辺の湿った場所、道端や庭などに普通な小型の1年草。
茎には毛があり、高さ5〜15cmになり、匍匐枝は出さない。
葉は長さ(柄をふくむ)2〜6cm、幅8〜15mm、先は円く、縁には数個の鈍鋸歯がある。
花は総状花序にまばらにつき、、5〜12mmの花柄がある。
萼は5中裂し長さ5〜8mm。花冠は2唇形で長さ1〜1.2cm、下唇は大きく3裂して開出、基部に黄褐色紋の入る2本のうねがあって腺毛がある。
刮ハは扁平な球形で、長さ3〜4mm。

似たものにムラサキサギゴケM. miquelii)がある。
水田の畦に多く、花後に長く匍匐枝を出し、花冠はトキワハゼよりも大きく、長さ1.5〜2cm。多年草。
近似種 : ムラサキサギゴケヤマサギゴケウリクサ

■分布:日本全土 ・ 朝鮮半島、中国、東南アジア、インド
■生育環境:水田の畦、耕作地周辺の湿った場所、道端、庭先など。
■花期:4〜10月
■西宮市内での分布:山地帯を除いた市内全域に普通。

Fig.2 春先のトキワハゼ。(西宮市・庭先 2007.3/29)
  春先に開花しはじめた個体。このころはまだ花茎は立ち上がらず、地に張り付いている印象が強い。

Fig.3 開花したトキワハゼ。(西宮市・庭先 2007.4/26)
  花冠は2唇形。上唇は卵形で2浅裂し、ふつうその切れ込みはムラサキサギゴケよりも浅い。
  下唇は大きく、3裂して、基部には黄褐色の斑紋があって、うね状に2本盛り上がる。うねには腺毛が生える。


Fig.4,5 初夏の頃の全草(上)と花茎の一部拡大(下)。(西宮市・庭先 2008.6/26)
  匍匐枝は出さず、茎は下部では斜上、中部以上ではほぼ直立して、まばらに花をつける。
  茎には短毛が生える。

Fig.6 葉のバリエーション。(西宮市・庭先 2008.6/26)
  葉柄は短く、葉身は狭倒卵形で先は鈍頭または円い。葉縁には鈍鋸歯がある。

Fig.7 刮ハ。(西宮市・庭先 2008.6/26)
  刮ハは扁平な球形で萼よりも短く、熟すと2裂する。


Fig.8,9 痩果。(西宮市・庭先 2008.6/26)
  長さ約0.4mm、灰褐色で扁卵形、表面には隆起の低い不規則は網目模様がある。

西宮市内での生育環境と生態
Fig.10 庭先に見られるトキワハゼ。(西宮市・庭先 2008.6/26)
トキワハゼはさまざまな環境に対して適応範囲が広く、湿った場所から乾いた場所まで生え、踏みつけにも強いので庭先で見ることも多い。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
山崎敬, 1981. ゴマノハグサ科サギゴケ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本3 合弁花類』 pp.104. pls.88. 平凡社
北村四郎・村田源・堀勝, 2004 ゴマノハグサ科サギゴケ属. 『原色日本植物図鑑 草本編(1) 合弁花類』 pp.152. pls.46. 保育社
牧野富太郎, 1961 トキワハゼ. 前川文夫・原寛・津山尚(補遺・編) 『牧野 新日本植物図鑑』 558. 北隆館
城川四郎. 2001. ゴマノハグサ科サギゴケ属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 1262〜1263. 神奈川県立生命の星・地球博物館
小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. トキワハゼ. 『六甲山地の植物誌』 191. (財)神戸市公園緑化協会
村田源. 2004. トキワハゼ. 『近畿地方植物誌』 39. 大阪自然史センター

<<<戻る TOPページ