ヤマサギゴケ Mazus miquelii  Makino f. rotundifolius  (Franch. & Sav.)T.Yamaz. ゴマノハグサ科 サギゴケ属
湿生植物
Fig.1 (兵庫県丹波市・溜池畔 2010.6/3)

半日陰の渓流畔や山間の溜池畔などに生育する小型の越年草。
盛んに匍匐枝をのばし、節から発根して栄養繁殖する。
ムラサキサギゴケの品種で、匍匐枝につく葉は小さくて丸く、毛や腺毛が多いものをいう。
ムラサキサギゴケと中間的なものも見られ、あえて分けないこともある。

基本種ムラサキサギゴケM. miquelii)はふつう腺毛がなく、水田の畦や耕作地周辺の湿った場所に生える。
トキワハゼM. pumilus)は水田の畦や休耕田から畑や道端、庭先など、ムラサキサギゴケよりも広範囲な場所に
ごく普通に見られ、花冠の長さ1〜1.2cmと小さく、匍匐枝は出さない点で区別できる。花期は4〜10月と長い。
近似種 : ムラサキサギゴケトキワハゼウリクサ

■分布:本州、四国、九州
■生育環境:渓流畔や山間の溜池畔など。
■花期:4〜5月
■西宮市内での分布:市内では確認できていない。

Fig.2 茎と匍匐枝。(兵庫県篠山市・渓流畔 2014.4/26)
  茎、匍匐枝ともに毛と腺毛が生える。

Fig.3 葉。(兵庫県篠山市・渓流畔 2014.4/26)
  下方につく葉には粗い鋸歯があり、葉縁と脈上に毛が生えていた。

Fig.4 開花すると同時に四方に匍匐枝を伸ばす。(兵庫県篠山市・渓流畔 2011.5/4)

Fig.5 萼には腺毛が多数生える。(兵庫県篠山市・渓流畔 2014.4/26)

Fig.6 匍匐枝につく葉。(兵庫県丹波市・溜池畔 2010.6/3)
  匍匐枝につく葉は小さくて丸い。

Fig.7 花。(兵庫県篠山市・渓流畔 2014.4/26)
  花はムラサキサギゴケとほとんど変わらないが、色が少し薄いものが多い。

Fig.8 わずかに紅色を帯びた花を持つ個体。(兵庫県篠山市・湿った林縁 2014.5/20)

他地域での生育環境と生態
Fig.9 半日陰の溜池畔に生育するヤマサギゴケ。(兵庫県丹波市・溜池畔 2010.6/3)
山間の溜池の樹林の被った半日陰の流れ込み部分に匍匐枝を四方に広げたヤマサギゴケが生育していた。
同所的にミゾシダ、コジュズスゲ、シラコスゲ、オオバタネツケバナ、ノミノフスマ、ドクダミ、ニシノヤマクワガタ、ミゾホオズキ、
ミズタビラコ、トウバナなどが見られた。

Fig.10 渓流畔の斜面に生育するヤマサギゴケ。(兵庫県篠山市・渓流畔 2011.5/4)
植林地内を流れる渓流畔の斜面にヤマサギゴケが点在している。
ここではクサソテツ、ニシノホンモンジスゲ、ヌカボシソウ、カテンソウ、オオバタネツケバナ、チャルメルソウ、サワハコベ、ツルカノコソウ、
ヤマルリソウ、ミズタビラコ、ミゾホオズキなどとともに見られた。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
山崎敬, 1981. ゴマノハグサ科サギゴケ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本3 合弁花類』 p.104. pl.88. 平凡社
北村四郎・村田源・堀勝, 2004 ゴマノハグサ科サギゴケ属. 『原色日本植物図鑑 草本編(1) 合弁花類』 p.152. pl.46. 保育社
城川四郎. 2001. ゴマノハグサ科サギゴケ属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 1262〜1263. 神奈川県立生命の星・地球博物館

最終更新日:6th.Sept.2014

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