アイノコシラスゲ | Carex pseudoaphanolepis Ohwi | ||
林縁・草地の植物 | カヤツリグサ科 スゲ属 ヒメシラスゲ節 |
Fig.1 (西宮市・林道脇 2010.5/27) 原記載ではシラスゲとエナシヒゴクサの雑種とされたが、現在ではシラスゲの1型または別種とされる。 丘陵〜山地の湿った林縁や明るい林床に生育する多年草。 やや叢生し、地中に匐枝を出す。基部の鞘は淡色で、わずかに糸網がある。 葉幅5〜10mm、葉裏はシラスゲほど白味を帯びず、淡緑色。 有花茎は高さ40〜70cm。小穂にはほとんど柄がなく、苞の葉身は発達し、鞘はない。 頂小穂は雄性で、長さ3〜6cm、直立する。側小穂は2〜4個、雌性で、長さ3〜6cm、斜上し、ほとんど垂れ下がらない。 鱗片は黄緑色、鋭頭。果胞は長さ3〜4mm、シラスゲよりも嘴は短く、口部は凹形、表面は光沢が強い。 【メモ】 シラスゲは葉裏に微小な乳頭状突起が並ぶため、粉白色となり、側小穂の多くは垂れ下がる。 近縁種 : シラスゲ、 ヒメシラスゲ、 エナシヒゴクサ ■分布:分布域は不明。シラスゲよりも暖地に多いという。 ■生育環境:丘陵〜低山の湿った林縁や疎林下など。 ■果実期:5〜6月 |
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↑Fig.2 全草標本。(西宮市・林道脇 2010.5/27) やや叢生する。葉裏はシラスゲほど粉白色を帯びない。 |
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↑Fig.3 基部。(西宮市・林道脇 2010.5/27) 基部の鞘は淡色、わずかに糸網がある。地中に匐枝を伸ばす。 |
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↑Fig.4 花序。(西宮市・林道脇 2010.5/27) 頂小穂は雄性で細長く直立し、側小穂は雄性で斜上する。シラスゲのように下垂することは少ない。 |
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↑Fig.5 小型の個体。(西宮市・林道脇 2010.5/27) このような小型のものでは一見するとヒメシラスゲのように見え、周辺の個体の花序もよく確認する必要がある。 |
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↑Fig.6 雌小穂。(西宮市・林道脇 2010.5/27) 雌小穂はシラスゲのように白味を帯びない。雌鱗片は果胞と同長またはやや短い。 |
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↑Fig.7 果胞。(西宮市・林道脇 2010.5/27) 左は鱗片のついたもの。雌鱗片は鋭頭。果胞は長さ3〜4mm、シラスゲより嘴は短く、表面には光沢がある。 |
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↑Fig.8 痩果。(西宮市・林道脇 2010.5/27) 痩果は倒卵形、長さ約1.6mm。ヒメシラスゲのような曲がった嘴はない。 |
生育環境と生態 |
Fig.9 林道脇の湿った草地に生育するアイノコシラスゲ。(西宮市・林道脇 2010.5/27) 手前の黄緑色の草体がアイノコシラスゲで、シラスゲのように白味を帯びていない。 同所的にマスクサ、トウバナ、オオジシバリ、オオニワゼキショウ、トボシガラなどとともに見られた。 |