イワハタザオ | Arabis serrata Franch. et Sav. var. japonica (H.Boissieu) Ohwi |
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山地・林縁・岩上の植物 | アブラナ科 ヤマハタザオ属 |
Fig.1 (兵庫県養父市・渓流畔の岩上 2015.4/30) |
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Fig.2 (兵庫県養父市・渓流畔の岩上 2015.5/14) 低山〜山地の林縁や渓流畔の岩上、ときに草地などに生育する多年草。地下に細い地下茎がある。 茎は直立または斜上して、分枝は少なく、高さ30〜45cmになり、星状毛がある。 根生葉は基部が細まり、かなり長い柄になる。茎葉は低く粗い鋸歯縁を持ち、基部は矢じり状となって茎を抱く。 葉面には両面共に星状毛があるか、または無い。 萼は長楕円形。花弁は倒卵形、白色、長さ4〜5mm。 長角果は開出し、長線形で、無毛、長さ4〜6cm、幅1.5〜2mm。種子は楕円形、長さ約1.5mmで、上部に翼がある。 母種のフジハタザオ(A. serrata)は高さ10〜35cmで、根生葉は広倒披針形で柄は短い。富士山の砂礫地に生育する。 シコクハタザオ(var. shikokiana)は全体に大きく、長角果は長さ7〜9cmになる。本州太平洋側〜四国、九州。 ヤマハタザオ(A. hirsuta)は長角果が直立し主軸に接する。茎や葉のは2叉する毛がある。花弁の長さは6〜10mm。 ミヤマハタザオ(A. kamchatica)は根生葉は羽状となり2叉する毛があるが、茎の毛は分岐しない。長角果は開出し、長さ1.5〜4cm。 近縁種 : ヤマハタザオ、 スズシロソウ、 ハクサンハタザオ、 タチスズシロソウ、ハマハタザオ、シコクハタザオ、ハタザオ ■分布:本州 ■生育環境:低山〜山地の林縁や渓流畔の岩上、ときに草地など。 ■花期:4〜6月 |
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↑Fig.3 根生葉。(兵庫県養父市・渓流畔の岩上 2015.5/14) 根生葉は倒披針形、粗い鋸歯があるか、または無く、基部は細まって長い柄となる。 葉身には両面ともに星状毛があるか、または無い。画像のものは星状毛はなく、平滑。 |
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↑Fig.4 茎下部の星状毛。(兵庫県養父市・渓流畔の岩上 2015.6/13) この集団は毛が薄いものが多く、茎の下部付近にのみ星状毛が見られた。2叉する毛も混じっている。 |
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↑Fig.5 茎葉。(兵庫県養父市・渓流畔の岩上 2015.5/14) 茎葉は長楕円形〜楕円形、粗い鋸歯縁、円頭〜鋭頭。両面ともに星状毛があるか、または無い。 |
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↑Fig.6 茎葉の両面の拡大。(兵庫県養父市・渓流畔の岩上 2015.6/13) この集団では、茎葉には両面ともに全く星状毛は見られず、平滑だった。 |
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↑Fig.7 開花したイワハタザオ。(兵庫県養父市・渓流畔の岩上 2015.4/30) 花はアブラナ科に共通の十字花。花弁は倒卵形、白色で、長さ6〜10mm。 小型のガガンボの仲間が訪花していた。 |
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↑Fig.8 果実形成期。(兵庫県養父市・渓流畔の斜面 2015.6/13) 長角果は長線形で、軸から開出する。 |
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↑Fig.9 長角果は無毛、長さ4〜6cm、幅1.5〜2mm。(兵庫県養父市・渓流畔の岩上 2015.6/13) |
生育環境と生態 |
Fig.10 渓流畔の岩上に生育するイワハタザオ。(兵庫県養父市・渓流畔の岩上 2015.4/30) 深く切れ込んだ谷筋の緑色岩の小さな岩崖に多数のイワハタザオが生育していた。 渓流畔で空中湿度は高く、同所的にジュウモンジシダ、ツルデンダ、ウワバミソウ、ナガバノタチツボスミレなどが生育している。 |