スズシロソウ | Arabis flagellosa Miq. | ||
山地・林縁・草地の植物 | アブラナ科 ヤマハタザオ属 |
Fig.1 (兵庫県淡路市・林縁 2009.4/18) |
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Fig.2 (兵庫県丹波市・農道脇 2014.4/9) 丘陵〜山地の林縁や斜面に生育する多年草。 茎は高さ10〜25cmになり、葉とともに星状毛を密生し、基部から葉をつけた長い匐枝を伸ばす。 葉は倒卵形〜へら状長楕円形、基部は細まり、縁には粗い鋸歯があり、長さ1.5〜20cm、幅1〜3.3cm。 総状花序は直立する。萼は長楕円形、長さ4〜5cmで、上を向く。花弁は倒卵形、白色、長さ7〜10mm。 花柱は細長く、長さ2〜3mm。長角果は線形で、ふつう無毛ときに毛があり、長さ1.2〜3cm。種子にはごく狭い翼がある。 変種カワチスズシロソウ(var. kawachiensis)は基部から匐枝を出さないもので、大阪府のみに生育。 ハクサンハタザオ(A. halleri subsp. gemmifera)は匐枝は出さず、花後に茎が倒伏して新苗をだす。長角果は数珠状にくびれる。 タチスズシロソウ(A. kamchatica subsp. kawasakiana)は匐枝は出さず、高さ15〜40cm、長角果はくびれず、海岸や湖畔の砂地に生える。 近縁種 : カワチスズシロソウ、 ハクサンハタザオ、 タチスズシロソウ、 ハマハタザオ、 ヤマハタザオ、 イワハタザオ、 シコクハタザオ、 ハタザオ ■分布:本州、四国、九州、沖縄 ■生育環境:丘陵〜山地の林縁や斜面など。 ■花期:5〜7月 |
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↑Fig.3 基部近くの葉。(兵庫県丹波市・農道脇 2014.4/9) 葉は倒卵形〜へら状長楕円形、基部はくさび状たなって細まり、縁には粗い鋸歯がある。 |
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↑Fig.4 茎と茎葉。(兵庫県丹波市・農道脇 2014.4/9) 茎は葉とともに星状毛を密生する。茎葉は基部近くの葉に比べて短くなり、丸みを帯びる。 |
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↑Fig.5 ハクサンハタザオの葉との比較。(兵庫県丹波市・農道脇 2014.4/9) ハクサンハタザオの葉には明瞭な葉柄がある。 |
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↑Fig.6 開花したスズシロソウ。(兵庫県丹波市・農道脇 2014.4/9) 総状花序は直立し、十数個の花をつける。 |
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↑Fig.7 星状毛が密生する花序軸。(兵庫県丹波市・農道脇 2014.4/9) 星状毛は茎や花序軸ばかりでなく、小花梗や葉、匐枝などにも密生する。 |
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↑Fig.8 萼。(兵庫県丹波市・農道脇 2014.4/9) 萼は長楕円形、長さ4〜5cmで、上を向き、星状毛が散生する。 |
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↑Fig.9 花。(兵庫県丹波市・農道脇 2014.4/9) 花は十字花で、花弁は倒卵形、白色、長さ7〜10mm。花柱は細長く、長さ2〜3mm。 |
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↑Fig.10 未熟な長角果。(兵庫県丹波市・農道脇 2014.4/9) |
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↑Fig.11 匐枝を出した個体。(兵庫県丹波市・農道脇 2014.4/9) 匐枝は花茎が上がるとほぼ同時に伸び始める。画像のものは開花後期のもので、かなり長く伸びている。 |
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↑Fig.12 匐枝の葉。(兵庫県丹波市・農道脇 2014.4/9) 匐枝の葉は茎葉に似る。匐枝、葉ともに星状毛が密生する。 |
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↑Fig.13 果実期。(兵庫県養父市・林縁斜面 2015.6/13) 長角果が熟す頃には花茎は倒伏していることが多い。 |
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↑Fig.14 熟した長角果。(兵庫県養父市・林縁斜面 2015.6/13) 長角果は線形で、ふつう無毛ときに毛があり、長さ1.2〜3cm。 |
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↑Fig.15 開いた長角果。(兵庫県養父市・林縁斜面 2015.6/13) 長角果は下方から2裂する。内部は2室に別れ、各室に種子が1列に並ぶ。 |
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↑Fig.16 種子。(兵庫県養父市・林縁斜面 2015.6/13) 種子は褐色に熟し、方形を帯びた楕円形で、長さ1.7〜2mm、表面に平滑な瘤粒を密布し、縁に狭い翼がある。 |
生育環境と生態 |
Fig.17 農道脇の土手に生育するスズシロソウ。(兵庫県丹波市・農道脇 2014.4/9) 畑地が広がる農道脇にある、緑色岩系の砂利によって盛り上げられた土手の斜面にスズシロソウが群生していた。 同所的にアオスゲ、ヒメヤブラン、ヤブカンゾウ、ツルボ、ノジスミレ、コスミレ、カテンソウ、ギシギシ、チドメグサ、ミミナグサ、コハコベ、 コモチマンネングサ、ヒメウズ、マルバヤハズソウ、カンサイタンポポ、ハルジオン、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、カキドオシ、 ホタルブクロなど、畑地畦畔に多い草本が生育していた。 |
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Fig.18 山地の斜面に生育するスズシロソウ。(兵庫県姫路市・谷筋の斜面 2014.5/8) 冷涼な渓流が流れる谷筋の、緑色岩の岩場の混じる斜面にスズシロソウが点在していた。 ここでは岩屑の溜まった岩棚でツルカノコソウやダイモンジソウとともに生育していた。 すでに花後からかなり経ており、画像の個体の匐枝の先には新苗が形成されている。 |