イワトラノオ Asplenium tenuicaule  Hayata
  山地・着生シダ チャセンシダ科 チャセンシダ属
Fig.1 (兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.2/6)
山中の日陰の湿った岩上、樹幹などに着生する小型の常緑性シダ。北国では冬期に葉が枯れる。
根茎は小型で短く斜上し、3〜10個の葉を束生する。
葉は長さ5〜12cm、薄い草質で柔らかく、葉柄や中軸は細く、緑色、鱗片は少ない。
葉身は2回羽状複葉、羽片は羽状に深裂して、少数の裂片をつくるか、または少数の鋸歯を持つ。
羽片は倒卵状くさび形、ややまばらに生じる。裂片の鋸歯にはそれぞれ1脈が流れ込む。
胞子嚢群は脈上に生じ、苞膜は黄白色。
近縁種 : トラノオシダコバノヒノキシダトキワトラノオ、 コウザキシダ、ヒメイワトラノオ

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 台湾、中国、ヒマラヤ
■生育環境:山地の日陰の湿った樹幹、岩上、石垣など。

Fig.2 全草標本。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.2/6)
  短い根茎から葉を束生する。この仲間では小型の種である。

Fig.3 イワトラノオの葉。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.2/6)
  小型の個体の葉で、単羽状となっている。大形の個体では2回羽状複葉となる。
  葉柄は葉身よりやや短く、緑色で、鱗片はほとんど見られない。質は薄い草質で柔らかい。

Fig.4 羽片と葉身中軸。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.2/6)
  羽片は倒卵状くさび形、ややまばらに生じる。裂片の鋸歯にはそれぞれ1脈が流れ込む。
  葉身の中軸には溝があるが、コバノヒノキシダのような中央の隆条は見られないか、あってもごく細い線状の隆起がとぎれがちにある。

Fig.5 羽片裏面。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.2/6)
  胞子嚢群は脈上に生じ、線形〜三日月状長楕円形、苞膜は黄白色。

Fig.6 新葉を展開中の集団。(兵庫県姫路市・渓流畔の岩上 2014.5/8)

生育環境と生態

Fig.7 山腹の岩上に点在するイワトラノオ。(兵庫県篠山市・山腹斜面の岩上 2011.2/6)
コケが着生する流紋岩質凝灰岩の岩壁に小型の個体が多数着生していた。
岩上には画像に見えるマメヅタの他、ヌリトラノオ、ヤブソテツ、小型のオオカナワラビなどが見られた。

Fig.8 渓流畔の岩壁に生育するイワトラノオ。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.2/6)
渓流畔の岩壁にチャルメルソウやタチネコノメソウなどとともに生育している。


最終更新日:25th.Feb.2017

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