オオマルバコンロンソウ Cardamine arakiana  Koidz.
  里山・林縁・林床の植物 
環境省絶滅危惧TB類(EN)・兵庫県RDB Bランク種
アブラナ科 タネツケバナ属
Fig.1 (丹波地方・落葉広葉樹林の林床 2011.3/21)

Fig.2 (丹波地方・落葉広葉樹林の林床 2011.4/19)

Fig.3 (丹波地方・落葉広葉樹林の林床 2011.3/29)

低山や里山の林縁や林床に生育する多年草。
根茎は太いが短く、茎は高さ10〜25cm、ふつう枝はなく数個の葉をつけ、多くは茎に毛がある。
根生葉はほぼ3小葉状で、葉柄は長く、側小片には明瞭な柄がある。
頂小片は円形〜腎円形で、長さ1.5〜3cm、幅1.5〜4cm、葉縁には上が平らな低い鋸歯が並ぶ。
花序は数個から10個あまりの花からなり、萼片は無毛かわずかに毛がある。花弁は長さ4〜5mm。
果実は長さ2〜3cm、無毛、先はしだいに細くなる。

【メモ】 タイプ産地は京都府福知山市であるが、京都府では絶滅したという。また、徳島県の個体群も現状不明という。
     丹波地方では1ヵ所しか自生地が知られていなかったが、新たに自生地を発見した。
近縁種 : マルバコンロンソウニシノオオタネツケバナ、 オオケタネツケバナ、 ミツバコンロンソウ、 コンロンソウ、 ハダカコンロンソウヒロハコンロンソウ

■分布:本州(京都・兵庫・三重・岡山・広島)、四国(徳島)、九州(宮崎)
■生育環境:里山の林縁、落葉広葉樹の林床など。
■花期:3〜5月

Fig.4 茎。(丹波地方・落葉広葉樹林の林床 2011.3/21)
  茎は直立し、太く、分枝や茎葉は少ない。

Fig.5 茎に生えた毛。(丹波地方・落葉広葉樹林の林床 2011.3/21)
  茎には稜が見られ、開出またはやや下向きの毛が密に生えている。

Fig.6 根生葉は大きい。(丹波地方・落葉広葉樹林の林床 2011.3/29)
  根生葉は近縁のマルバコンロンソウよりも大きく、特に頂小片の大きさが目立つ。

Fig.7 根生葉。(丹波地方・落葉広葉樹林の林床 2011.3/21)
  根生葉には長い柄がある。葉面には毛が多い。側小片はふつう1対だが、稀に2対のものがある。
  側小片は円形〜腎円形、やや長い柄がある。

Fig.8 頂小片。(丹波地方・落葉広葉樹林の林床 2011.3/21)
  頂小片は円形〜腎円形で、長さ1.5〜3cm、幅1.5〜4cm、葉縁には上が平らな低い鋸歯が並ぶ。

Fig.9 茎につく葉の葉柄基部。(丹波地方・落葉広葉樹林の林床 2011.3/29)
  茎葉の葉柄基部にはマルバコンロンソウに見られるような耳状の付属物はない。
  ただし、マルバコンロンソウの中にも耳状付属物のないものもあり、同定には総合的な判断が必要である。

Fig.10 咲き始めの花序。(丹波地方・落葉広葉樹林の林床 2011.3/21)
  花序は数個から10個あまりの花からなり、花柄は無毛、萼片は無毛かわずかに毛がある。

Fig.11 開花した花序。(丹波地方・落葉広葉樹林の林床 2011.3/29)
  花はアブラナ科に共通した十字花。花弁は長さ4〜5mm。雄蕊の数も同属のものと同様で、4強雄蕊がある。

Fig.12 花後の子房。(丹波地方・落葉広葉樹林の林床 2011.4/19)
  開花直後の花弁の落ちた子房には毛はなく、平滑。マルバコンロンソウのような斜上する毛はない。

Fig.13 果実形成期。(丹波地方・落葉広葉樹林の林床 2011.4/29)
  林床でオドリコソウが開花すると、オオマルバコンロンソウの開花はすっかり終り、長角果が充実し始める。

Fig.14 長角果。(丹波地方・落葉広葉樹林の林床 2011.5/18)
  長角果は果柄とともに斜上し、長さ2〜3cm、無毛、先はしだいに細くなる。
  熟した長角果は何かが触れると鞘が弾けて巻き上がり、種子を飛ばす。
  画像右下方の長角果は弾けて隔壁だけが残っているのが見える。

Fig.15 種子。(丹波地方・落葉広葉樹林の林床 2011.5/18)
  種子は扁平な楕円形、散布直後は緑色を帯びた淡黄褐色で、表面は薄い粘液で覆われる。
  この粘液はタネツケバナ属が共通して持つ特徴のようで、動物などに付着して散布されるようである。
  後に種子は黄褐色〜褐色となり、長さ1.8mm前後、扁平な片方面は縁に沿って溝があり、それより外側は翼となる。

Fig.16 早春の草体。(丹波地方・落葉広葉樹林の林床 2012.3/3)
  オオマルバコンロンソウは不完全なロゼットを形成して越冬する。
  根生葉は3出葉か、単葉となることが多く、葉裏は強く紫色を帯びる。

生育環境と生態
Fig.17 明るい林床に生育するオオマルバコンロンソウ。(丹波地方・落葉広葉樹林の林床 2011.3/21)
ケヤキなどからなる落葉広葉樹林の明るい林床に比較的多くの個体が生育していた。
林床にはヤエムグラ、オドリコソウ、コハコベ、ヒガンバナ、シオン属sp.、ヤブニンジン、セントウソウ、ムラサキケマン、キンキエンゴサク、
アオイスミレ、オオタチツボスミレ、キバナノアマナ、カキドオシ、スイカズラ、ツルマサキ、ヤブサンザシなどが生育していた。

Fig.18 やや湿った林縁に生育するオオマルバコンロンソウ。(丹波地方・林縁 2011.4/19)
2011年に新たに発見した自生地で、コクサギの多い落葉広葉樹林の林縁に生育している。
ここでは同所的にハナウド、イチリンソウ、ミヤマカタバミ、ヤブヘビイチゴ、ウマノミツバ、ムラサキケマン、ミヤマフユイチゴ、
コハコベ、ヨツバムグラなどが生育している。

Fig.19 林床に生育するオオマルバコンロンソウ。(丹波地方・落葉広葉樹林の林床 2011.4/19)
Fig.17と同じ場所で、こちらは斜面の落葉広葉樹林下に生育しているもの。
ここでは同所的にヒトリシズカ、エビネ、アマナ、イチリンソウが多く見られ、他にオオタチツボスミレ、アオイスミレ、ナガバノタチツボスミレ、
シシウド、ヤブニンジン、ヤブジラミ、ジャノヒゲ、ヤブソテツなどが見られる。

Fig.20 植林地の林縁に生育するオオマルバコンロンソウ。(丹波地方・植林地林縁 2011.3/29)
植林地林縁部のセリバオウレンとキンキエンゴサクの群落中にヤエムグラやジャノヒゲなどとともに点在していた。


最終更新日:9th.Mar.2013

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