マルバコンロンソウ | Cardamine tanakae Franch. et Savat. | ||
山地・林床・渓流の植物 | アブラナ科 タネツケバナ属 |
Fig.1 (兵庫県篠山市・渓流畔の林縁 2009.4/7) |
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Fig.2 (兵庫県篠山市・渓流畔の林縁 2012.4/29) 山地の湿った林床、渓流畔などに生育する越年草。葉や毛の多少に変異が多い。 茎は高さ約7〜20cmになり、葉とともに白い毛が多い。 葉は短い柄のある1〜7個の裂片からなる奇数羽状裂葉で、長さ約13cm。 葉柄の基部には耳状の付属物があり、茎を抱く。 裂片は円形〜卵形、基部は心形で、鋸歯は粗く鈍い。頂小片は大きく、長さ1〜3cm。 総状花序は短く毛がある。花弁は倒卵形、白色、長さ5〜7mm。子房には毛がある。 長角果は密に毛があり、広線形で、長さ1.8〜2.5cm。 【メモ】 マルバコンロンソウとオオバタネツケバナの中間のような草体のものを別分類群マルバコンロンソウモドキ(仮称)とする考えがある。 特徴は葉柄基部の耳状の付属物が発達せず、茎や長角果が無毛で、頂小片は円形〜広楕円形、小片は鋸歯縁、茎基部の葉の頂小片は 基部が心形、ということである。 ◎文献 堀内洋, 2003 タネツケバナ属. 千葉県資料研究財団(編)『千葉県の自然誌 別編4.千葉県植物誌』 246〜250. 千葉県資料研究財団 近縁種 : ジャニンジン、 タネツケバナ、 オオバタネツケバナ、 ニシノオオタネツケバナ、 オオケタネツケバナ、 ミツバコンロンソウ、 オオマルバコンロンソウ、 コンロンソウ、 ハダカコンロンソウ、 ヒロハコンロンソウ ■分布:本州、四国、九州 ■生育環境:山地の林床や半日陰〜日陰の渓流畔。 ■花期:4〜6月 |
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↑Fig.3 茎と葉柄基部。(兵庫県篠山市・渓流畔 2010.3/30) 茎はふつう白毛を密生するが、ときに無毛なものも混在する。 葉柄の基部にはふつう耳状の付属物があり、茎を抱くが、稀に耳状の付属物のないものが見られる。 |
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↑Fig.4 根生葉。(兵庫県篠山市・渓流畔 2010.3/30) 裂片は円形〜卵形、基部は心形で、鋸歯は粗く鈍い。頂小片は側小片に比べて大きく、長さ1〜3cm。 前年に展開した越冬葉は長い柄を持った単葉であることが多い。 マルバコンロンソウの裂片は、オオマルバコンロンソウのものに比べて小さく、鋸歯の切れ込みが深い。 |
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↑Fig.5 側小片の多い根生葉をもつもの。(兵庫県篠山市・渓流畔 2011.3/31) 側小片は広卵形〜倒卵形、多くは柄があり、鋸歯の切れ込みはやはり深い。 |
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↑Fig.6 花。(兵庫県三田市・林道脇斜面 2015.4/17) 花はアブラナ科に共通する十字花で、花弁は4個、倒卵形、白色、長さ5〜7mm。子房には毛がある。 花柄や萼片外側にも顕著な毛が見られる。 |
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↑Fig.7 長角果。(兵庫県篠山市・渓流畔 2008.5/8) 長角果はふつう密に毛があり、広線形で、長さ1.8〜2.5cm。 毛の多少には変異があり、長角果基部付近にわずかに毛がある個体も見られる。 |
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↑Fig.8 マルバコンロンソウの変異個体 1。(兵庫県三田市・渓流畔 2015.4/17) マルバコンロンソウは変異幅が広いことで知られる。 この個体は茎や葉が無毛で、子房にわずかに毛が見られるもの。葉柄基部には付属体があるが、ニシノオオタネツケバナのような印象である。 |
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↑Fig.9 マルバコンロンソウの変異個体 2。(兵庫県篠山市・植林地林床 2015.4/28) 頂小片の鋸歯の切れ込みが深く、花弁の幅が狭いタイプ。 |
生育環境と生態 |
Fig.10 渓流畔の林縁斜面にミヤマカタバミとともに生育するマルバコンロンソウ。(兵庫県篠山市・渓流畔の林縁 2009.4/7) 渓流畔の林縁から林床にかけて、マルバコンロンソウが点々と生育していた。 周辺にはヌカボシソウ、ショウジョウバカマ、シロバナネコノメソウ、ニッコウネコノメ、ネコノメソウ、トウゴクサバノオ、ツルカノコソウ、ミヤマカタバミ、 キヅタ、ミヤマキケマン、ニシノヤマクワガタ、ミヤマハコベ、オオバチドメ、ジュウモンジシダ、リョウメンシダ、ニシノホンモンジスゲなどが見られた。 |