ヒメノキシノブ Lepisorus onoei  (Franch. et Sav.) Ching
  山地・着生シダ ウラボシ科 ノキシノブ属
Fig.1 (兵庫県宍粟市・樹幹 2016.11/19)

Fig.2 (兵庫県宍粟市・樹幹 2016.11/19)

山地のやや明るい岩上や樹幹などに着生する常緑性シダ。
根茎は細く、径1〜1.5mm、長く横走し、やや密に鱗片をつける。
鱗片は圧着し、長さ2.5〜3mm、披針形〜線状披針形、鋭頭〜鋭尖頭、基部は円形〜心形、縁に不規則な突起があり、暗褐色、膜質で格子状。
葉柄は短く、葉身は線形で、上端付近が広くて幅2〜5mm、長さ3〜10cm、全縁、鈍頭〜鋭頭、革質で無毛、脈は不明瞭。
胞子嚢群は数個、葉身の上部の中肋と辺縁の中間に並んでつく。染色体数はn=25の2倍体。

ノキシノブL. thunbergianus)は根茎の径2mm以上。葉はやや接してつき、鋭尖頭〜尾状、長さ12〜30cm。
ミヤマノキシノブL. ussuriensis var. distans)は葉がまばらに生じ紙質。根茎の鱗片は黒褐色で透明、長さ0.5〜0.8mm、早落性。
葉柄は明瞭で、黒褐色、長さ2〜4cm。
近縁種 : ノキシノブミヤマノキシノブビロードシダ

■分布:北海道西南部以南、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島
■生育環境:山地のやや明るい岩上、樹幹など。

Fig.3 全草標本。(兵庫県宍粟市・樹幹 2016.11/19)
  根茎は細く、長く横走し、葉は離れて根茎上に並んで生じる。葉柄は短く、葉身は線形、長さ3〜10cm。

Fig.4 根茎と葉柄。(兵庫県宍粟市・樹幹 2016.11/19)
  葉柄は短い。根茎は細く、径1〜1.5mm、長く横走し、やや密に鱗片をつける。
  鱗片は圧着し、披針形〜線状披針形、鋭頭〜鋭尖頭、基部は円形〜心形、縁に不規則な突起があり、暗褐色、膜質で格子状。

Fig.5 葉身。(兵庫県宍粟市・樹幹 2016.11/19)
  葉身は線形で、上端付近が広くて幅2〜5mm、全縁、鈍頭〜鋭頭、革質で無毛、中肋はふくらみ、脈は不明瞭。

Fig.6 葉身上部裏面。(兵庫県宍粟市・樹幹 2016.11/19)
  葉の裏面は淡緑色で、中脈はいちじるしく隆起する。胞子嚢群は数個、葉身の上部の中肋と辺縁の中間に並んでつく。

Fig.7 胞子嚢群。(兵庫県宍粟市・樹幹 2016.11/19)
  胞子嚢群は径約2mmでほぼ円形。時期的なものか楯状鱗片は見られなかった。

生育環境と生態
Fig.8 空中湿度の高い渓流沿いのカエデ類の樹幹に着生したヒメノキシノブ。(兵庫県宍粟市・樹幹 2016.11/19)
渓流沿いのややまばらで明るく湿度の高い落葉広葉樹林の樹幹のあちこちにヒメノキシノブが着生していた。
空中湿度が高いため、周辺ではビロードシダ、クラガリシダ、サジラン、イヌイワイタチシダなどが着生し、地表にはコウヤノマンネングサが見られた。

Fig.9 樹幹にビロードシダとともに着生するヒメノキシノブ。(兵庫県宍粟市・樹幹 2016.11/19)
明るい緑色のものがヒメノキシノブ。小さくて細く、くすんだような暗緑色のものがビロードシダ。Fig.8と同じ渓谷で見られたもの。


最終更新日:25th.Feb.2017

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