ミヤマノキシノブ Lepisorus ussuriensis  (Regel et Maack) Ching
         var. distans  (Makino) Tagawa
  山地・着生シダ 兵庫県RDB Cランク種 ウラボシ科 ノキシノブ属
Fig.1 (兵庫県養父市・ミズナラの樹幹 2016.9/17)

Fig.2 (兵庫県養父市・トチノキの樹幹 2015.8/16)

温帯域の樹幹や岩上などに着生する常緑性シダ。
根茎は細く、長く横走し、径1〜1.5mm、、先端にやや密に鱗片をつける。
鱗片は小さく、長さ0.5〜0.7mm、三角状卵形〜広卵形、鋭尖頭、黒褐色、圧着してつき、早落性。
葉柄は黒褐色、長さ5cm以下、葉身は硬い紙質、線状披針形、長さ8〜20cm、幅5〜15mm、全縁、鋭尖頭。
葉身基部はしだいに狭くなって葉柄に流れ、ときに葉身辺縁は反曲し、下面に早落性の0.3〜0.5mmの卵形の鱗片を圧着する。
中肋は下部で黒褐色、両面に隆起する。ソーラスは葉の上半部につき、中脈と縁の間につく。
若いソーラスは楯状鱗片に覆われ、その長さ0.1〜0.2mm。染色体数は n=35, 2n=70,74 があり2倍体。

ヒメノキシノブL. onoei)は葉をまばらにつけ線形、鈍頭、葉柄はごく短く、胞子嚢群は葉先に数個つく。楯状鱗片は0.2〜0.3mm。
ノキシノブL. thunbergianum)は葉がやや密に生じ革質、葉柄は短い。根茎は径2mm以上。楯状鱗片は0.3〜0.5mm。
葉柄は明瞭で、黒褐色、長さ2〜4cm。
近縁種 : ノキシノブヒメノキシノブホテイシダビロードシダ

■分布:北海道、本州、四国、九州、屋久島 ・ 南千島、朝鮮半島
■生育環境:温帯域の樹幹や岩上など。

Fig.3 全草標本。(兵庫県養父市・樹幹 2015.8/16)
  根茎は細く、長く横走し、径1〜1.5mm、、先端にやや密に鱗片をつける。

Fig.4 葉柄は黒褐色、長さ5cm以下。(兵庫県養父市・樹幹 2015.8/16)

Fig.5 葉。(兵庫県養父市・樹幹 2015.8/16)
  葉身は硬い紙質、線状披針形、長さ8〜20cm、幅5〜15mm、全縁、鋭尖頭。
  葉身基部はしだいに狭くなって葉柄に流れ、ときに葉身辺縁は反曲する。中肋は下部で黒褐色になり隆起する。

Fig.6 葉身上部。(兵庫県養父市・樹幹 2015.8/16)
  表面は深緑色、小さな孔が点在し、ソーラスがつく場所は少しふくらむ。ノキシノブのような光沢はない。

Fig.7 葉身上部裏面。(兵庫県養父市・樹幹 2015.8/16)
  ソーラスは葉の上半部につき、中脈と縁の間につく。

Fig.8 ソーラス。(兵庫県養父市・樹幹 2015.8/16)
  ソーラスは幅1.8mm以内で、ノキシノブのような大きなものにはならない。
  若いソーラスには楯状鱗片がつく。

Fig.9 楯状鱗片(1目盛=26μ)。(兵庫県養父市・樹幹 2015.8/16)
  楯状鱗片は小さく、長さ0.1〜0.2mm。画像のものは0.13mm。

生育環境と生態
Fig.10 立ち枯れたトチノキの樹幹に生育するミヤマノキシノブ。(兵庫県養父市・樹幹 2015.8/16)
立ち枯れて間もない、まだ樹皮がよく残っているトチノキの樹幹についていた。

Fig.11 ブナの樹幹に着生するミヤマノキシノブ。(兵庫県養父市・樹幹 2014.6/25)
ブナやトチノキの大木で見かけることが多く、横走する根茎で面的に広がっていることが多い。


最終更新日:9th.Aug.2016

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