ホテイシダ | Lepisorus annuifrons (Makino) Ching | ||
山地・着生シダ 兵庫県RDB Bランク種 | ウラボシ科 ノキシノブ属 |
Fig.1 (兵庫県但馬地方・倒木上 2013.5/8) |
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Fig.2 (兵庫県但馬地方・倒木上 2016.8/4) 温帯から暖帯上部の比較的明るい樹幹や岩上などに着生する夏緑性シダ。 根茎は長く横走し、やや密に鱗片をつける。鱗片は卵状披針形で淡褐色、格子状。 葉柄は長さ3〜5cm、緑色〜わら色、基部に鱗片がある。 葉身は披針形、多くの場合下から1/5以下のところで幅が最大になり、基部はくさび形、大きなものは長さ25cmになる。 葉質は紙質、淡黄緑色で、葉縁は不規則に波状になることが多い。 ソーラスは円形で比較的小さく、径約2mm、やや中肋より〜中間につき、楯状鱗片がつく。染色体数は n=35の2倍体。 ミヤマノキシノブ(L. ussuriensis var. distans)は常緑性で、硬い紙質。葉柄と中肋下部は黒褐色。 ツクシノキシノブ(L. tosaensis)は常緑性で、葉柄は長さ0.5〜3cm、ソーラスはほとんど全長にわたってつく。 近縁種 : ミヤマノキシノブ、 ノキシノブ、 ヒメノキシノブ、 ビロードシダ ■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島 ■生育環境:温帯から暖帯上部の比較的明るい樹幹や岩上など。 |
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↑Fig.3 全草標本。(兵庫県但馬地方・倒木上 2016.8/4) 葉身は披針形、多くの場合下から1/5以下のところで幅が最大になり、基部はくさび形。 葉質は紙質、淡黄緑色で、葉縁は不規則に波状になることが多い。 |
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↑Fig.4 葉柄と根茎。(兵庫県但馬地方・倒木上 2016.8/4) 葉柄は長さ3〜5cm、緑色〜わら色。根茎は横走し、径1.5〜2mm。やや密に鱗片をつける。 |
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↑Fig.5 根茎と葉柄基部には鱗片がつく。(兵庫県但馬地方・倒木上 2016.8/4) 鱗片は卵状披針形で淡褐色、格子状、長さ1〜1.5mm。 |
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↑Fig.6 葉身上部。(兵庫県但馬地方・倒木上 2016.8/4) 表面は淡黄緑色、ソーラスがつく場所は少しふくらむ。表面の孔は浅く、ミヤマノキシノブのようには目立たない。 |
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↑Fig.7 葉身上部裏面。(兵庫県但馬地方・倒木上 2016.8/4) ソーラスは円形で比較的小さく、やや中肋より〜中間につく。 |
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↑Fig.8 ソーラス。(兵庫県但馬地方・倒木上 2016.8/4) ソーラスは幅約2mm、若いソーラスには楯状鱗片がつく。 |
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↑Fig.9 楯状鱗片(1目盛=26μ)。(兵庫県但馬地方・倒木上 2016.8/4) 楯状鱗片は小さく、長さ0.1〜0.2mm。 |
生育環境と生態 |
Fig.10 倒木上に生育するホテイシダ。(兵庫県但馬地方・倒木上 2016.8/4) 立ち枯れたトチノキの大木が倒壊して、間近に観察することができた。 積雪が遅くまで残る谷に面した冷涼な斜面に、大木の多い温帯林が広がり、多くの着生種が見られる。 シノブ、オシャグジデンダは普通に見られ、ホテイシダが着生する大木もこの温帯林内に点在し、大株のスギランも見られる。 倒木上のホテイシダは、着生している樹が朽ちてしまうと消滅してしまうのだろう。地表に近いためかナメクジ類による食害が多かった。 |