フモトスミレ
 (フイリフモトスミレを含む)
Viola sieboldii  Maxim.
  里山・林縁・林床の植物 スミレ科 スミレ属
Fig.1 (兵庫県小野市・社寺の参道 2015.4/12)

Fig.2 (兵庫県宍粟市・高原の湿地 2011.6/8)

低地〜亜高山帯の明るく乾いた疎林から暗く湿った植林地にまで生育する多年草。
ふつう葉の表面には毛がある。地下茎は短い。葉は卵形〜広卵形、鋭頭または鈍頭ときに円頭、長さ1〜3cm。
葉縁には低い鋸歯があり、基部は心形、脈に沿って白斑が入るものが多い。裏面は紫色を帯び、葉柄は長さ2〜5cm。
花柄は長さ4〜7cm。花は小さく直径約1cm、白色。萼片は広披針形。花弁は長さ7〜8mm、側弁はふつう毛があり、稀に無毛のものもある。
唇弁は他の弁より短く、幅が狭く、紫条が入る。距は短く、長さ2〜3mm。
脈に沿って白斑の入るものはフイリフモトスミレ(f. variegata)とされる。

亜種のヒメミヤマスミレ(subsp. boissieuana)は葉の長さ0.8〜2cm、花茎の長さ5〜10cmと高く、花弁は丸味を帯びず尖り気味。
シハイスミレV. violacea)は花が淡紅色〜濃紅色、側弁基部はふつう無毛、葉は3角状狭卵形。
前種の変種マキノスミレ(var. makinoi)は葉が長披針形で直立気味、葉の裏面はあまり紫色とならない。
ヒナスミレV. tokubuchiana var. takedana)は葉を水平に近く広げ、葉先が急に狭くなり鋭頭、側弁はふつう有毛、茎や葉は有毛。
近縁種 : ヒメミヤマスミレ、 シハイスミレ、 マキノスミレ、 コンピラスミレ、 ヒナスミレ、 ヤシュウスミレ(雑種)

■分布:本州(岩手県以西)、四国、九州、屋久島
■生育環境:低地〜亜高山帯の明るく乾いた疎林から暗く湿った植林地など。
■花期:4〜5月

Fig.3 葉。(兵庫県小野市・社寺の参道 2015.4/12)
  葉はふつう表面に毛があり、卵形〜広卵形、鋭頭または鈍頭ときに円頭、長さ1〜3cm。
  葉縁には低い鋸歯があり、基部は心形、脈に沿って白斑が入るものが多い。葉柄は長さ2〜5cm。

Fig.4 葉裏は紫色を帯びる。(兵庫県小野市・社寺の参道 2015.4/12)

Fig.5 花。(兵庫県小野市・社寺の参道 2015.4/12)
  花は小さく直径約1cm、白色。花弁は長さ7〜8mm、側弁はふつう毛があり、稀に無毛のものもある。
  唇弁は他の弁より短く、幅が狭く、紫条が入る。

Fig.6 花柄、萼、距。(兵庫県小野市・社寺の参道 2015.4/12)
  花柄は長さ4〜7cm、無毛。萼片は広披針形。距は短く、長さ2〜3mm。

Fig.7 フイリフモトスミレ。(兵庫県小野市・社寺の参道 2015.4/12)
  葉表に脈に沿って白斑が入る品種で、母種に混じってよく見られる。

生育環境と生態
Fig.8 社寺の参道脇に生育するフモトスミレ。(兵庫県小野市・社寺の参道 2015.4/12)
洪積台地上にある古い社寺の参道脇でシハイスミレとともに点在しており、明るい社寺林内にも生育している。
兵庫県では他県と違ってフモトスミレは比較的高所で見られることが多く、このような低地に生育する例は割と少ない。

Fig.9 高原の湿地に生育するフモトスミレ。(兵庫県宍粟市・高原の湿地 2011.6/8)
標高1000m強の周氷河地形を成す高原にある、日当たり良い湿地に、フモトスミレが点在していた。
湿地は多くの部分でヤマテキリスゲが優占しているが、周縁のオオミズゴケ群落中や、シバスゲ群落中にモウセンゴケとともに点在している。


最終更新日:24th.Apr.2015

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