ヤシュウスミレ (フモトスミレ雌蕊親×サクラスミレ花粉親) |
Viola sieboldii Maxim. × V. hirtipes S. Moore |
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里山・林縁・草地の植物 雑種 | スミレ科 スミレ属 |
Fig.1 (兵庫県但馬地方・ススキ草原 2015.5/14) フモトスミレとサクラスミレの自然交雑種で、両種の混生地に生じる。 両種の中間的な形質が現れるが、今回の例ではフモトスミレの形質が多く現れているため、フモトスミレが雌蕊親と推定される。 本個体は以下のような形質が見られた。 ・葉には毛が生えている・・・両種に共通する形質。 ・花柄は赤い・・・両種に共通する形質。 ・花の色は紅紫色・・・サクラスミレの形質。 ・唇弁に紫条が網状に発達している・・・フモトスミレの形質。 ・側弁に毛がある・・・両種に共通する形質。 ・距は短くぼってりとしている・・・フモトスミレの形質。 他に、地中に少数の白くて太い根を横に伸ばすのも特徴とのことだが、個体数が少ないため、なかなか掘るわけにもいかない。 両親種 : フモトスミレ、 サクラスミレ 近縁種 : アカネスミレ、 シハイスミレ、 コンピラスミレ、 ヒメミヤマスミレ、 ヒナスミレ ■分布:本州、四国、九州 ■生育環境:フモトスミレとサクラスミレの混生地。 ■花期:4〜5月 |
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↑Fig.2 葉。(兵庫県但馬地方・ススキ草原 2015.5/14) 葉は卵形〜広卵形、鈍頭、低い鋸歯があり、基部は心形、表面や葉縁には毛が見られた。 |
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↑Fig.3 葉面の毛の様子。(兵庫県但馬地方・ススキ草原 2015.5/14) |
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↑Fig.4 葉裏は無毛で紫色を帯びている。(兵庫県但馬地方・ススキ草原 2015.5/14) |
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↑Fig.5 花。(兵庫県但馬地方・ススキ草原 2015.5/14) 花は直径約2cm(サクラスミレの形質)、紅紫色(サクラスミレの形質)、側弁には毛がある(両種に共通する形質)。 上弁や側弁は細く、反曲気味で、唇弁は他の弁より短く紫条が網状に発達している(フモトスミレの形質)、一部花弁の先は窪む(サクラスミレの形質)。 |
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↑Fig.6 花柄、萼、距。(兵庫県但馬地方・ススキ草原 2015.5/14) 花柄は赤味が強い(両種に共通する形質)。萼片は広披針形。距は短くぼってりしている(フモトスミレの形質)。 |
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-------------------- 両親種の参考画像 -------------------- |
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↑Fig.7 フモトスミレ(左)とサクラスミレ(右)。(兵庫県但馬地方・ススキ草原 2015.5/14) |
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↑Fig.8 フモトスミレ(左)とサクラスミレ(右)の花と距。(兵庫県小野市,但馬地方ほか) |
生育環境と生態 |
Fig.9 ススキ草原に生育するヤシュウスミレ。(兵庫県但馬地方・ススキ草原 2015.5/14) 両親種が生育するススキ草原に1個体が生育していた。 同じ草原にはアケボノスミレやシハイスミレも生育しているが、花径が大きなこと、一部の花弁の先が少し窪むことなどから、 ヤシュウスミレと考えられる。しかし、フモトスミレ×シハイスミレとの差は微妙に思う。 |