キンシベボタンネコノメソウ Chrysosplenium kiotoense  Ohwi
 f. xanthandrum  (Araki) Wakab. et H.Ohba
  山地・渓流の植物 ユキノシタ科 ネコノメソウ属
Fig.1 (兵庫県神河町・渓流畔 2015.5/3)

Fig.2 (兵庫県宍粟市・渓流畔 2013.5/8)

ボタンネコノメソウの変種。
岐阜県以西の山地の谷間の湿地や渓流畔に生育する多年草。
根生葉は開花時にも残る。花後、走出枝を伸ばし、先端に2〜3対の葉を相接してつける。
花茎は高さ10cm程度、ほぼ無毛、無葉かまたは1対の葉を対生する。
葉は緑色または赤紫色を帯び、有柄、脈は顕著で、円形〜卵形〜楕円形、基部は切形〜広いくさび形、鈍鋸歯がある。
下部の苞葉は葉と同形、上部の苞葉は広楕円形〜卵形で鮮黄色。萼裂片は直立し、淡緑色〜淡黄色、楕円形、鈍頭。
雄蕊は8個で萼裂片の2/3長で萼から出ない。葯は黄色。花柱は2個。2個の心皮は大きさが異なる。

以下のものはキンシベボタンネコノメソウに似て、萼片が直立するタイプのもの。特にヒメヒダボタンに酷似する。
ボタンネコノメソウC. kiotoense)…萼は帯褐色。葯は赤色で萼の外に飛び出さない。分布:本州(岐阜県以西の日本海側)。
ヒダボタンC. nagasei)…萼は黄緑色。葯は赤色。雄蕊は萼とほぼ同長。雄蕊の先端は次第に細くなる。分布:岐阜、福井、滋賀。
ヒメヒダボタンC. nagasei var.luteoflorum)…萼は黄緑色。葯は黄色。雄蕊は萼とほぼ同長。雄蕊の先端は次第に細くなる。分布:岐阜、滋賀。
アカヒダボタンC. nagasei var.porphyranthes)…萼は紫色を帯びる。葯は暗赤色。雄蕊は萼とほぼ同長。雄蕊の先端は次第に細くなる。
サンインネコノメC. fauriei f.ferruginiflorum)…萼は淡橙色または淡茶褐色。葯は濃橙色から暗赤褐色で、萼から飛び出す。分布:山陰(島根〜京都)。
ホクリクネコノメC. fauriei)…萼は黄緑色。葯は暗赤色で萼の外に飛び出す。分布:新潟〜島根の日本海側。
近縁種 : ボタンネコノメソウヒダボタン、 ヒメヒダボタン、 アカヒダボタン、 サンインネコノメ、 ホクリクネコノメ

■分布:本州(岐阜県以西の日本海側)
■生育環境:渓流沿いや谷間の湿地。
■花期:4〜5月

Fig.3 花茎と茎葉。(兵庫県養父市・渓流畔 2013.5/8)
  花茎は高さ10cm程度、横断面は4角形、ほぼ無毛、多くは赤味を帯び、無葉かまたは1対の葉を対生する。
  茎葉は緑色または赤紫色を帯び、有柄、脈は顕著で白色を帯び、卵形〜楕円形、基部は切形〜広いくさび形、鈍鋸歯がある。

Fig.4 花序。(兵庫県宍粟市・渓流畔 2013.5/8)
  下部の苞葉は葉と同形、上部の苞葉は広楕円形〜卵形で鮮黄色。
  花序の枝は開花がすすむにつれて、伸びて斜開する。

Fig.5 花。(兵庫県宍粟市・渓流畔 2013.5/8)
  萼裂片は直立し、淡緑色〜淡黄色、楕円形、鈍頭。
  雄蕊は8個で萼裂片の2/3長で萼から出ない。葯は黄色。花柱は2個。

Fig.6 心皮。(兵庫県宍粟市・渓流畔 2013.5/8)
  心皮2個のうち、外側のものが大きい。果実は花柱の部分が刺状に突き出し、熟すと洋杯状に開く。

Fig.7 開花が進んだ花序は間延びする(右下)。(兵庫県宍粟市・渓流畔 2013.5/8)

Fig.8 若い無花茎の葉と走出枝の葉。(兵庫県宍粟市・渓流畔 2013.5/8)
  大きな円形の葉は若く花茎を上げない無花茎の葉で、周囲の小さな葉は走出枝の先に付いているもの。

生育環境と生態
Fig.9 細流脇に生育するキンシベボタンネコノメソウ。(兵庫県宍粟市・細流脇 2013.5/8)
温帯林を通る林道脇の斜面から細流が流れており、その畔で群生している。
ここではツルネコノメソウとともに群生しているのが見られた。

Fig.10 林道脇の多湿な斜面に生育するキンシベボタンネコノメソウ。(兵庫県養父市・林道脇斜面 2013.5/8)
林道脇の多湿な半裸地状の斜面に点々と生育している。
同所的にタチネコノメソウ、ギンバイソウ、ヤマルリソウ、ツルアジサイ、フキ、オシダ、ジュウモンジシダ、イヌガンソクなどが見られた。

Fig.11 渓流畔の岩上に生育するキンシベボタンネコノメソウ。(兵庫県神河町・渓流畔 2015.5/3)
オオカサゴケなどの蘚類が着生する渓流畔の多湿な岩上に群生しているもの。
岩上には同所的にハバビロスゲ、クサアジサイが生育し、飛沫の及ばない場所ではコカンスゲ、イワイタチシダが生育している。



最終更新日:22nd.June.2015

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