コミヤマスミレ Viola maximowicziana  makino
  山地・林床の植物 

  兵庫県RDB Cランク種
スミレ科 スミレ属
Fig.1 (兵庫県丹波市・渓流畔の林床 2013.5/9)

Fig.2 (兵庫県姫路市・渓流畔の林床 2014.5/8)

山地の湿った日陰の林床に生育する多年草。
葉、葉柄、花柄および萼にもやや長めの毛が生えている。地下茎は短く、ときに地下匐枝の上に苗をつくることがある。
葉はやわらかく、卵状楕円形で、長さ2〜3.5cm、鈍鋸歯があり、基部は心形、裏面はふつう紫色を帯び、表面は変異が多く、白斑が入ることがある。
葉柄はふつう紫色を帯び、長さ2〜5cm。花柄は長さ5〜10cm。花は白色。萼片は広披針形で、反り返り、長さ約3mm。
花弁は長さ8〜10mmで、幅は狭く、側弁には少し毛があり、唇弁は他の弁よりも短くて、紫条が入り、距は短く、長さ2〜3mm。

フモトスミレV. sieboldii)が似るが、萼が反り返らない。
近縁種 : フモトスミレシハイスミレマルバスミレ

■分布:本州(福島県以西)、四国、九州
■生育環境:山地の湿った日陰の林床など。
■花期:4〜5月

Fig.3 葉。(兵庫県丹波市・渓流畔の林床 2013.5/9)
  葉はやわらかく、卵状楕円形で、縁に鈍鋸歯があり、基部は心形
  表面は長い毛が生え、模様や色には変異が多く、白斑が入ることがある。

Fig.4 若い葉は模様が鮮やかだ。(兵庫県丹波市・渓流畔の林床 2013.5/9)

Fig.5 開花したコミヤマスミレ。(兵庫県丹波市・渓流畔の林床 2013.5/9)
  スミレの仲間でも開花期の遅いものの一つで、兵庫県では5月に入ってから開花する場所が多い。

Fig.6 花の拡大。(兵庫県丹波市・渓流畔の林床 2013.5/9)
  花弁は細いものが多く、ふつう側弁には毛がある。

Fig.7 萼と距。(兵庫県丹波市・渓流畔の林床 2013.5/9)
  萼片には長い開出毛があり、反り返る。距は小さく丸い。

生育環境と生態
Fig.8 湿った林床に生育するコミヤマスミレ。(兵庫県丹波市・渓流畔の林床 2009.5/5)
渓流の本流に支流が交わる場所に砂が堆積しており、そこにヒノキが植林されていて、コミヤマスミレが点在していた。
同所的にニシノヤマクワガタ、タニギキョウ、サワハコベ、ウワバミソウ、イラクサ、マツカゼソウ、ミズタビラコ、キクムグラ、
ミヤマカンスゲ、クラマゴケなどが生育していた。
この自生地は2009年の豪雨によってほとんど土砂に埋まってしまったが、2013年になって一角で5個体を確認することができた。

Fig.9 渓流に面した歩道脇に群生するコミヤマスミレ。(兵庫県姫路市・渓流畔の林床 2014.5/9)
渓流に面した林下歩道脇の半裸地状の斜面にコミヤマスミレが群生していた。


最終更新日:24th.Apr.2015

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