ナガバノタチツボスミレ Viola ovate-oblonga  (Miq.) Makino
  里山・林床・林縁の植物 スミレ科 スミレ属
Fig.1 (淡路島・林縁 2010.4/10)

Fig.2 (神戸市・林縁草地 2013.3/21)

平地〜低山の林縁、草地、落葉広葉樹林の林床などに生育する多年草。
根茎は短くやや木化し、茎は叢生して分枝し、高さ20〜40cm。
根生葉は円心形、幅2〜3cm、基部は心形。
茎葉は長くなり、卵状狭3角形または披針形で次第にとがり、托葉は狭披針形でやや粗く羽裂する。
花柄は根生、または茎上に腋生し、花は淡紫色。
萼片は披針形、花弁は長さ12〜15mm、側弁はふつう無毛だが、毛があることもある。距は長さ7〜8mm。
葉脈に沿って紅紫色を帯びるものはマダラナガバノタチツボスミレ(f. variegata)とすることがある。
また距まで白色の白花品はシロバナナガバノタチツボスミレ(f. albiflora)とされる(Fig.8参照)。

【メモ】 ナガバノタチツボスミレ、マダラナガバノタチツボスミレともに兵庫県南部では最も普通に見られ、両種に生態的な差は見られない。
近縁種 : タチツボスミレニオイタチツボスミレ、 ツヤスミレ、 オオタチツボスミレ

■分布:本州(中部地方以西)、四国、九州 ・ 朝鮮南部
■生育環境:里山の林縁、草地、2次林の林床など。
■花期:4〜5月

Fig.3 葉。(兵庫県篠山市・林床 2010.4/18)
  根生葉は円心形、幅2〜3cm、基部は心形。
  茎葉は長くなり、卵状狭3角形または披針形で次第にとがる。葉脈周辺は赤紫色を帯びることが多い。

Fig.4 托葉。(兵庫県篠山市・林床 2010.4/18)
  托葉の縁は櫛の歯状で、タチツボスミレよりも切れ込みが深い。

Fig.5 開花初期の個体。(西宮市・林縁 2008.4/5)
  花の色はタチツボスミレよりも少し色が濃い。タチツボスミレとともに関西では馴染み深い種である。
  開花初期の頃は、特徴となる狭披針形の葉はまだ見られない。

Fig.6 花冠。(西宮市・林縁の土手 2010.4/5)
  側弁はふつう無毛、ときに有毛。画像のものはごくわずかに毛がある。

Fig.7 果実。(京都府福知山市・林道脇の崖 2015.4/24)
  果実は卵形、横断面は鈍3稜形、黄緑色〜緑白色、無毛、稜の両脇には浅く窪んだ溝がある。

Fig.8 シロバナナガバノタチツボスミレ。(兵庫県三田市・疎林の林床 2015.4/17)
  ナガバノタチツボスミレに混じって現れる白花の品種(f. albiflora)。ふつう距も白色。

Fig.9 林床に見られた斑入り個体。(西宮市・雑木林の林床 2015.5/24)

生育環境と生態
Fig.10 石垣の間に生育するナガバノタチツボスミレ。(西宮市・墓地の石垣 2010.4/13)
里山の社寺や墓地の石垣の間には決まってナガバノタチツボスミレが生育している。ここではタチツボスミレも混じっていた。

Fig.11 竹林の林縁で群生するナガバノタチツボスミレ。(姫路市・林縁 2013.4/4)
管理の行き届いた竹林の林縁の半日陰地にナガバノタチツボスミレが群生していた。
被植はナガバノタチツボスミレ以外は少なく、オオバコ、ヘクソカズラ、フユイチゴ、アキノタムラソウが疎らに見られる程度だった。


最終更新日:8th.July.2015

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