タチツボスミレ Viola grypoceras  A.Gray
  里山・林縁・草地の植物 スミレ科 スミレ属
Fig.1 (西宮市・草地斜面 2009.3/31)

Fig.2 (兵庫県篠山市・社寺の石垣 2010.4/18)

Fig.3 (兵庫県丹波市・社寺の草地 2014.4/9)

低地〜山地の日当たり良い林縁、草地、道端などに普通に見られる多年草。
根茎は短く横たわり、やや木化する。茎は数本叢生して分枝し、果実期には高さ30cm程度になる。
葉身は心形または扁心形、長さ1.5〜2.5cm、低い鋸歯があり、基部は心形、先は下方の葉では鈍く、上方の葉では急にとがる。
托葉は幅の狭い裂片に深く羽裂する。花柄は長さ6〜10cm、根生または茎上に腋生する。
花は淡紫色。萼片は披針形。花弁は長さ3.5〜5mmでやや幅が狭く、側弁は無毛。距は長さ6〜8mmで細い。
近縁種 : タチツボスミレ 2ナガバノタチツボスミレニオイタチツボスミレ、 ケイリュウタチツボスミレ、 ツヤスミレ、 オオタチツボスミレ、 ツルタチツボスミレ

■分布:北海道、本州、四国、九州、沖縄 ・ 朝鮮南部、台湾、中国中部
■生育環境:低地〜山地の林縁、草地、道端、疎林内など。
■花期:4〜5月

Fig.4 托葉。(兵庫県丹波市・林縁 2010.4/23)
  托葉の縁は櫛の歯状に深く切れ込む。

Fig.5 葉。(西宮市・農道脇土手 2011.4/18)
  葉身は心形または扁心形、低い鋸歯があり、基部は心形、先は下方の葉では鈍く、上方の葉では急にとがる。
  画像のものは茎のやや上方についている葉である。

Fig.6 開花中のタチツボスミレ。(西宮市・農道脇土手 2011.4/18)
  全盛期には花数が非常に多くなる。

Fig.7 花柱。(西宮市・農道脇土手 2011.4/18)
  花柱は細く、先端は下向きに曲がる。側弁に毛はない。

Fig.8 距と萼片。(兵庫県篠山市・林縁土手 2011.4/15)
  距は紫色を帯び、細長いが、形には変異が多く、画像には同じ個体であるにも関わらず、曲がったものや短いものが混じっている。
  萼片は披針形。

Fig.9 花後の草体。(西宮市・林床 2010.5/13)
  花後には草体は大きく立ち上がり、葉も少し大きくなる。

Fig.10 ニホンカイタチツボスミレ(仮称)。(兵庫県丹波市・林縁 2010.3/27)
  葉はタチツボスミレよりも小型で、基部は切形〜浅い心形、葉脈の側脈は目立たない。
  また花後、匍匐性が強いのも特徴としてあげられている。

Fig.11 オトメスミレ型。(兵庫県篠山市・溜池畔 2011.4/15)
  タチツボスミレの白花品で、距は淡紅紫色を帯びる。画像のものは下弁に少し紫条が残っている。

生育環境と生態
Fig.12 石垣の間に生育するタチツボスミレ。(西宮市・墓地の石垣 2010.4/13)
石垣の間に点在する。同じ場所ではナガバノタチツボスミレも見られた。

Fig.13 道ばたのコンクリートの隙間に群生するタチツボスミレ。(西宮市・道ばた 2010.4/13)
人里付近によく見られるスミレ類はこのように道ばたのコンクリートの隙間を埋めている光景をよく見かける。

Fig.14 林縁の農道脇の土手に群生するタチツボスミレ。(西宮市・農道脇 2012.4/24)
林縁を通る農道脇のネザサが刈り取られている半日陰の土手にタチツボスミレが群生している。
周囲にはコハコベ、オニタビラコ、キュウリグサ、ヒメウズ、ヒメジョオン、ヤブジラミなどが見られた。


最終更新日:25th.Aug.2014

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