ナツトウダイ Euphorbia sieboldiana  Morr. et Decne.
  里山・林縁・疎林の植物 トウダイグサ科 トウダイグサ属
Fig.1 (兵庫県篠山市・渓流畔 2011.5/16)

Fig.2 (兵庫県養父市・草地 2014.6/15)

丘陵〜山地の湿った里山の林縁や明るい林床、渓流畔に生育する多年草。
根茎は細く横走し、茎は細長い円柱形で直立し、高さ約40cm、無毛、ときに紅紫色を帯び、切ると白い乳液が出る。
茎葉は互生し、無柄、倒披針形〜狭長楕円形、鋸歯はなく、鈍頭、基部はくさび形、ほとんど無毛。
狭長菱状楕円形の5枚の葉を茎頂に輪生し、5個の散形枝を腋生し、枝は杯状花序を頂生し、2叉分枝を繰り返す。
花序下の苞は3角状卵形〜卵状広楕円形。子房の外面も、刮ハの外面も平滑である。
腺体は内側に弧をもった三日月形で、先は細くとがる。
近縁種 : トウダイグサ、 イワタイゲキ、 ノウルシタカトウダイ

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島
■生育環境:丘陵〜山地の湿った里山の林縁や明るい林床、渓流畔など。
■花期:4〜5月

Fig.3 葉。(兵庫県篠山市・渓流畔 2011.5/16)
  茎葉は互生し、無柄、倒披針形〜狭長楕円形、鋸歯はなく、鈍頭、基部はくさび形で、両面ともにほとんど無毛。

Fig.4 開花直前。(兵庫県三田市・林道脇 2015.4/17)
  第1段目の枝が伸び、2個の苞葉の中につぼみがある。

Fig.5 開花期。(兵庫県篠山市・渓流畔 2011.5/6)
  茎頂に葉が5輪生し、葉腋から枝を伸ばし、先に2個の苞葉を持った杯状花序をつける。
 杯状花序は苞葉の葉腋から分枝して、2叉分枝を繰り返し、分枝部に次々に杯状花序を形成する。

Fig.6 枝先についた杯状花序。(兵庫県篠山市・渓流畔 2011.5/6)
  杯状花序は直下に2個の3角状卵形〜卵状広楕円形の苞葉がつく。

Fig.7 杯状花序。(兵庫県篠山市・渓流畔 2011.5/16)
  杯状花序は総苞に包まれた1本の雄蕊からなる3個の雄花と、中央から柄を伸ばした雌花とからなる。
  特徴的な三日月形の腺体は、枝につく杯状花序には4個あり、総苞の縁についている。
  画像のものは1個の雄蕊が直立し、1個の雄花が開花中である。
  雌花は広円形の子房を下垂し、先に3個の花柱があり、柱頭は2岐している。

Fig.8 花後の杯状花序。(兵庫県篠山市・渓流畔 2011.5/16)
  開花中の腺体は緑色だが、開花後は腺体が黄色〜赤褐色となる。

生育環境と生態
Fig.9 植林地の林床に生育するナツトウダイ。(兵庫県篠山市・植林地林床 2011.5/16)
植林地の谷筋の平坦地に細流により多湿となった場所がやや開けて半日陰となり、そこにナツトウダイが数多く生育していた。
同所的にオオバタネツケバナ、ドクダミ、ホソバシケシダ、ツタウルシなどで、多湿と日陰のためか出現種数はごく少なかった。

Fig.10 渓流畔の斜面に生育するナツトウダイ。(兵庫県篠山市・渓流畔 2011.5/16)
かなり日当たり良い渓流畔の斜面にナツトウダイが点在していた。日照条件も水分条件もよいため、しっかりした大きな株が多い。
同所的に生育する種も数多く、シシガシラ、ベニシダ、ジュウモンジシダ、ミヤマカンスゲ、アオバスゲ、ダイセンスゲ、ニシノホンモンジスゲ、
ヤマスズメノヒエ、ヌカボシソウ、ホガエリガヤ、ヤマヌカボ、ササユリ、ショウジョウバカマ、ミヤマカタバミ、キクバヤマボクチなどが見られた。


最終更新日:19th.June.2015

<<<戻る TOPページ