ニッコウネコノメ | Chrysosplenium macrostemon Maxim. var. shiobarenes (Franch.) Hara |
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山地・渓流の植物 | ユキノシタ科 ネコノメソウ属 |
Fig.1 (兵庫県篠山市・渓流畔 2008.5/8) イワボタンの変種。 本州、四国の山地〜低山の谷間の湿地や渓流畔に生育する多年草。 ふつう根生葉は開花時には残らず、広卵形で柄があり、脈は白味を帯びて目立つ。 花茎は直立し高さ5〜20cm、ふつう暗紅紫色を帯び、葉腋を除いてほとんど毛はない。 苞葉は卵形〜三角状卵形、最頂部の花の苞葉はほとんど淡黄緑色、下部の花の苞葉は下半部が淡黄緑色。 花には花弁はなく、萼片は平開し淡黄緑色。 雄蕊は8個で萼より飛び出し、葯は赤褐色となる。花柱は2個。 種子の突起は先端が鈍頭で、イワボタンよりやや長い。 この仲間には非常に似たものが多く、(特にキシュウネコノメに酷似)花の細部を調べることによって区別する。 以下はニッコウネコノメに酷似する母種イワボタンとその変種群だが、分類学的には再検討が必要だとする指摘もある。 イワボタン(C. macrostemon)…萼は淡緑色。萼片は平開。雄蕊8、葯は黄色色で花外に飛び出す。分布:本州(太平洋側)、四国、九州。 ヨゴレネコノメ(var.atrandrum)…萼は帯褐色。萼片はふつう直立。雄蕊4、葯は暗赤色で萼の外に飛び出す。 分布:本州(関東以西の太平洋側)、四国、九州。 キシュウネコノメ(var.calicitrapa)…萼は淡黄緑色。萼片は平開〜斜開。雄蕊8、葯は暗紅紫色で萼の外に飛び出す。 種子の突起が著しく長い。分布:紀伊半島。 サツマネコノメ(var.viridescens)…茎はやや横臥。萼は直立。雄蕊8、葯は黄色。種子の突起はほそくて長い。分布:岐阜、九州南部。 近縁種 : ホクリクネコノメ、 サンインネコノメ、 ボタンネコノメソウ、 キンシベボタンネコノメソウ、 ヒダボタン、 ヒメヒダボタン、 アカヒダボタン ■分布:本州,四国 ■生育環境:太平洋側の渓流沿いや谷間の湿地。 ■花期:4〜5月 |
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↑Fig.2 開花し始めたつぼみ。(兵庫県篠山市・渓流畔 2009.3/26) 萼片が開き始めると、最初にとがった花柱が現れる。 |
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↑Fig.3,4 花序。(兵庫県篠山市・渓流畔 上:2009.3/26 下:2008.4/20) 花被はやや接して密につき、萼片はほぼ平開し、淡黄緑色。 雄蕊8個で、花糸は萼片よりも長く、葯は萼から飛び出し赤褐色。 苞葉は上部のものは卵形で淡黄緑色、下方につくものは三角状卵形で基部から下半が淡黄緑色を帯びる。 |
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↑Fig.5 花をつけない茎。(兵庫県篠山市・渓流畔 2008.4/20) 花茎ではない、走出枝から伸びる茎の葉は対生し広卵形で柄があり、脈は白味をおびて目立つ。 |
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↑Fig.6 果実期。(兵庫県篠山市・渓流畔 2008.5/16) 心皮2個のうち、外側のものが大きい。果実は花柱の部分が刺状に突き出し、熟すと洋杯状に開く。 雨滴が落ちると種子が飛び散る雨滴散布型。 |
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↑Fig.7 種子。(兵庫県篠山市・渓流畔 2008.5/8) 長さ約0.9mm。表面の肋上にはやや長い根棒状の突起が縦に並ぶ。 |
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↑Fig.8 花後は花茎下部から走出枝を周囲に伸ばして地表を覆う。(兵庫県篠山市・渓流畔 2008.5/8) |
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↑Fig.9 早春に見られる草体は強く赤味を帯びる。(兵庫県篠山市・渓流畔 2009.3/1) 間から出ている小さな緑色の株は春先に発芽した実生苗。 |
生育環境と生態 |
Fig.10 渓流中で沈水状態で生育する開花前の草体。(兵庫県篠山市・渓流畔 2009.3/1) ニッコウネコノメは渓流のほとりに見られることが多いが、ときに水中に生育していることがある。 山地性のネコノメソウ属のものには沈水状態でも生育できるものが多い。 左下の緑色の草体はオオバタネツケバナ。 |
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Fig.11 渓流畔で開花した群落。(兵庫県篠山市・渓流畔 2009.4/12) 植林地の脇を流れる渓流畔にパッチ状に群生が見られた。 同所的にネコノメソウ、チャルメルソウ、ミズタビラコ、ニシノオオタネツケバナ、ユリワサビ、ミズヒキ、ダイコンソウなどが生育する。 |
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最終更新日:21st.Feb.2011 |