スズメノヒエ Paspalum thunbergii  Kunth ex Steud.
  里山・草地・道端の植物 イネ科 スズメノヒエ属
Fig.1 (西宮市・農道脇 2011.9/6)
低地〜低山の里山の草地、畦、道端などに生育する多年草。
高さ40〜100cmになり、全体に基部がいぼ状になる軟毛が生える。
葉は線形扁平で、長さ10〜30cm、幅5〜8mm、鋭頭、辺縁は肥厚し、鋸歯はほとんどない。両面ともに脈間に長さ2〜3mmの軟毛がある。
葉舌は膜質、鋭形または切形、高さ1.5〜2mm。葉耳はない。葉鞘は縁が重合し、表面の脈は明瞭、脈間に長さ1〜2mmの軟毛があり、辺縁に毛はない。
節は肥厚し、表面に軟毛を密生し、茎の断面は円形で中空、表面は平滑無毛。
花序は有花茎の先端、長さ5〜20cmの中軸上に2〜5個の総を斜開してつけ、総の基部には3〜5mmの長軟毛を束生する。
総は長さ5〜10cm、枝の左右に1か所から2個ずつの小穂を交互につける。各小穂には柄があり、上の小穂の柄が下よりも長い。
小穂は広楕円形、扁平で、長さ2.5〜2.8mm、淡緑色、膜質で、鈍頭、縁は無毛。
第1苞頴は長さ2.5mm、第2苞頴は長さ2.4mm、ともに膜質、3脈があり、表面は無毛。護頴と内頴は革質、淡黄色に熟す。開花時の葯は黄色。

スズメノコビエP. scrobiculatum)がよく似るが、最下の葉鞘のみ有毛で、ほかはほぼ無毛。
主に丘陵部にある中栄養〜やや富栄養な溜池畔に生える。
近縁種 : シマスズメノヒエ、アメリカスズメノヒエ、タチスズメノヒエ、 スズメノコビエキシュウスズメノヒエ、 チクゴスズメノヒエ、 ナルコビエ

■分布:本州、四国、九州、沖縄、小笠原 ・ 朝鮮半島、中国
■生育環境:里山の草地、畦、道端など。
■花期:8〜10月

Fig.2 全草標本。(西宮市・農道脇 2011.9/6)
  高さ40〜100cmになり、全体に軟毛が生える。葉の長さ10〜30cm、幅5〜8mm。

Fig.3 葉鞘や葉の脈間には軟毛が多い。(西宮市・農道脇 2011.9/6)

Fig.4 葉表面の軟毛。(西宮市・農道脇 2011.9/6)
  軟毛は長さ2〜3mm、基部は小さないぼ状となる。

Fig.5 葉鞘口部の拡大。(西宮市・農道脇 2011.9/6)
  葉舌は膜質で鋭形または切形、高さ1.5〜2mm。葉耳はない。

Fig.6 花序。(西宮市・農道脇 2011.9/6)
  長さ5〜20cmの中軸上に、2〜5個の総を斜開してつける。

Fig.7 花序の拡大。(西宮市・農道脇 2011.9/6)
  総の基部には長軟毛が生える。総の枝の上側は平坦で幅広く、無毛。

Fig.8 開花中の小穂。(西宮市・農道脇 2011.9/6)
  小穂は広楕円形、外側は扁平で、長さ2.5〜2.8mm、淡緑色、鈍頭、縁は無毛。
  葯は黄色、柱頭は黒紫色。

生育環境と生態
Fig.9 スズメノヒエの生育する、山へと続く農道。(西宮市・農道脇 2011.9/6)
農道脇の草地部分にススキ、トダシバ、クサイ、アオスゲ、リンドウ、センブリ、カナビキソウ、アリノトウグサなどとともに生育している。


最終更新日:3rd.Nov.2011

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