センニンモ Potamogeton maackianus  A. Benn. ヒルムシロ科 ヒルムシロ属
水生植物 > 沈水植物
Fig.1 (滋賀県・小河川 2008.9/8)

Fig.2 (滋賀県・湧水河川 2011.8/28)

湖沼、溜池、河川、水路などで沈水状態で生育する常緑の多年草。浮葉は生じない。
地下茎から1節置きに水中茎がのびるが、第一節間がほとんど伸長しないため、各節から水中茎がのびるように見える。
水中茎は1mを超えるものもあるが、普通30〜50cm程度。葉は線形、無柄で基部は托葉と合着して長さ2〜6mmの葉鞘となる。
葉身は長さ2〜6cm、幅1.5〜4mm、鋸歯があり、先端は凸状となる。
開花はあまりみられないが、花茎は長さ1〜5cm、花穂の長さ4〜10mm、花はまばらにつき、2心皮。
果実は長さ3〜4mm、幅1.5〜2.5mmで柱頭部分が嘴状に突き出る。

近似種に関してはエビモの項を参照。
近似種 : エビモ、 ヤナギモ、 ヒロハノエビモサンネンモヒロハノセンニンモ
■分布:日本全土 ・ アジア東部
■生育環境:湖沼や溜池、河川、水路など。
■花期:6〜8月
■西宮市内での分布:市内には分布しない。

Fig.3 全草の様子。(滋賀県 2007.11/4)
  水中茎は1mを超えるものもあるが、普通30〜50cm程度。葉は線形、無柄で基部は托葉と合着して長さ2〜6mmの葉鞘となる。

Fig.4 センニンモの葉先。(滋賀県・小河川 2008.9/8)
  葉縁には鋸歯があり、先端は凸状となる。

Fig.5 流水中では長くなびいた茎の下部が匍匐茎状となり、節からは発根する。(滋賀県・小河川 2008.9/8)

Fig.6 Potamogeton近縁6種。(滋賀県・湖沼 2011.8/18)
  6種のうちヒロハノセンニンモやサンネンモは片親がセンニンモの種間雑種であると推定されている。

生育環境と生態
Fig.7 湧水起源の小河川に生育するセンニンモ。(滋賀県・小河川 2008.9/8)
水の澄んだ湧水河川の砂礫底にヤナギモ、バイカモ、コカナダモなどとともに生育している。

Fig.8 湧水の流入する水路内に生育するセンニンモ。(滋賀県・水路 2011.9/28)
集落が点在する湖東の田園地帯の道路脇を流れる水路内に、エビモ(手前)のほか、ヤナギモ、ホザキノフサモ、ナガエミクリなどとともに
生育していた。水の透明度は高く、湧水の流入が多いと考えられる。

Fig.9 琵琶湖の水底に生育するセンニンモ。(滋賀県・湖沼 2014.8/31)
琵琶湖北部では水深80cmから3m程度の水底に見られ、個体数は非常に多く、ヒロハノエビモ、オオササエビモ、サンネンモ、
ヒロハノセンニンモ、ホザキノフサモ、ネジレモ、クロモ、コカナダモ、オトメフラスコモなどと混生している。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
大滝末男, 1980. センニンモ. 大滝末男・石戸忠 『日本水生植物図鑑』 244〜245. 北隆館
山下貴司, 1982. ヒルムシロ科ヒルムシロ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)『日本の野生植物 草本T 単子葉類』
       p.10〜12. pls.6〜9. 平凡社
北村四郎, 2004 ヒルムシロ科ヒルムシロ属. 北村四郎・村田源・小山鐡夫 『原色日本植物図鑑 草本編(3) 単子葉類』 p.411〜418. pls.106〜107. 保育社
角野康郎, 1994 センニンモ. 『日本水草図鑑』 p.40. pls.43. 文一統合出版
角野康郎, 2014 ヒルムシロ科ヒルムシロ属. 『日本の水草』 110〜136. 文一統合出版
内山寛. 2001. ヒルムシロ属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 178〜183. 神奈川県立生命の星・地球博物館
村田源. 2004. センニンモ. 『近畿地方植物誌』 199. 大阪自然史センター
角野康郎, 1981. 鴨川の水草. 水草研究会会報 3:6〜8
角野康郎, 1984. ヒルムシロ属同定の実際 (2)広葉性の沈水植物. 水草研究会会報 16:6〜11
浜端悦治 2005. 琵琶湖の沈水植物群落. 琵琶湖研究所記念誌 22:105〜119

最終更新日:9th.Nov.2014

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