タニガワカワモズク Batrachospermum turgidum Kumano カワモズク科 カワモズク属
 淡水藻類 

 環境省絶滅危惧U類(VU)
Fig.1 (西宮市・山間渓流 2013.1/13)

Fig.2 (西宮市・山間渓流 2013.1/13)

山間渓流の源流近くの水中の岩や礫に付着する。
雌雄同株。藻体はオリーブ緑色、やや粘質。不規則に密に分枝し、太さ0.4〜0.5mm、長さ3〜5cm。
輪生枝叢は楕円形、分離または密集する。
精子嚢(造性器)は球形で直径5〜7μm、輪生枝に頂生する。
造果器をつける枝は、真っすぐで、5〜8個の樽形細胞よりなる。
受精毛は不規則な円柱形、湾曲し、長さ30〜50μm、直径3〜6μm。
果胞子体は球形、1輪生枝叢内1〜2個生じ、有柄、直径120〜210μ、輪生枝叢の周辺に位置する。
晩秋から春の時期に見られる。

近似種 :  カワモズクニホンカワモズクチャイロカワモズクアオカワモズク、 ツマグロカワモズク

■分布:本州(埼玉・三重・岐阜・兵庫県)
■生育環境:山間渓流の源流近くの水中など。
■西宮市内での分布:西宮市内では六甲山系の渓流中に見られる。

Fig.3 藻体。(西宮市・山間渓流 2013.1/13)
  藻体はオリーブ緑色、やや粘質。不規則に密に分枝し、太さ0.4〜0.5mm、長さ3〜5cm。

Fig.4 藻体枝先付近の一部を拡大。(西宮市・山間渓流 2013.1/13)
  藻体はカワモズクやチャイロカワモズクなどよりも細く、分枝した枝先近くの太さはほぼ一定し、先端は丸みが強い。

Fig.5 藻体の拡大。(西宮市・山間渓流 2014.3/18)
  輪生枝叢は楕円形、分離または密集する。

Fig.6 輪生枝叢の拡大。(西宮市・山間渓流 2014.3/18)
  時期的に早いのか、果胞子体がほとんど見られず、受精毛が見られる。

Fig.7 精子嚢(造性器)。(西宮市・山間渓流 2014.3/18)
  精子嚢は球形で直径5〜7μm、輪生枝に1〜2個頂生する。

Fig.8 初期の受精毛。(西宮市・山間渓流 2014.3/18)
  初期の受精毛は不規則な円柱形。後に湾曲し、長さ30〜50μm、直径3〜6μm。

Fig.9 果胞子体。(西宮市・山間渓流 2014.3/18)
  果胞子体は球形、1輪生枝叢内1〜2個生じ、有柄、直径120〜210μ。

Fig.10 端毛が見られた。(西宮市・山間渓流 2014.3/18)

西宮市内での生育環境と生態
Fig.11 渓流中の礫の表面に生育するタニガワカワモズク。(西宮市・山間渓流 2013.1/13)
六甲山系の渓流の上部では比較的よく見かける。源流部に多い。
年によって消長があり、2013年度はよく繁茂していたが、2014年度は発生が少なかった。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
廣瀬弘幸・山岸高旺, 1997. カワモヅク科. 『日本淡水藻類図鑑』 159〜175. 内田老鶴圃
熊野茂, 2010 タニガワカワモズク(新称). 改訂レッドリスト付属説明資料 14. 環境省自然環境局野生生物課
佐藤裕司, 2013 兵庫県産淡水藻類目録. 人と自然 24:63〜83. 兵庫県立人と自然の博物館



最終更新日:11th.May.2014

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