エゾヒカゲノカズラ | Lycopodium clavatum L. var. robustius (Hook. et Grev.) Nakai |
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山地・半裸地・草地の植物 | ヒカゲノカズラ科 ヒカゲノカズラ属 |
Fig.1 (兵庫県養父市・登山道脇 2015.8/16) |
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Fig.2 (兵庫県養父市・草原 2015.7/19) ヒカゲノカズラの変種で、高地のやや乾いた明るい林縁の半裸地や草地に生育する地上性の常緑草本。 茎は匍匐する主軸と、直立〜斜上する側枝とがあり、主軸は地表付近を長くはい、不規則に叉状分枝し、ところどころに根を生じる。 側枝は1〜数回分枝し、主茎と枝となり、葉を密生する。 葉は斜上または開出し、線形または線状披針形、先端は尖り、膜質の糸状体をつけ、全縁、緑色〜鮮緑色。 胞子嚢穂の柄(総梗)は直立し、長さ10c未満m、線形の小さな葉が圧着し、先端に無柄の(小梗なしに)1〜4個の胞子嚢穂をつける。 胞子嚢穂は長さ2〜10cm、径3.5〜5mm、円柱状で直立する。 胞子葉は広卵形、辺縁は膜質、波状に鋸歯がある。胞子表面には網状の模様がある。 母種ヒカゲノカズラ(L. clavatum)は胞子嚢穂の柄(総梗)が長さ5〜15cm、胞子嚢穂には短い柄(小梗)がある。北海道〜九州。 ナンゴクヒカゲノカズラ(var. wallichianum)は葉の質が硬く、胞子嚢穂の柄は長さ15cm以上となることがある。四国、九州。 近縁種 : ヒカゲノカズラ、 マンネンスギ、 ミズスギ、 アスヒカズラ、 ヤチスギラン ■分布:北海道、本州、四国の高地 ■生育環境:高地のやや乾いた明るい林縁の半裸地や草地など。 |
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↑Fig.3 主軸と側枝。(兵庫県養父市・草原 2015.7/19) 茎は匍匐する主軸と、直立〜斜上する側枝とがあり、主軸は地表付近を長くはい、不規則に叉状分枝する。 |
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↑Fig.4 主軸。(兵庫県養父市・草原 2015.7/19) 主軸と側枝の分化はヒカゲノカズラほど顕著ではなく、葉を含めて径7〜10mm。側枝はそれより1〜2mmほど太い程度。 |
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↑Fig.5 主軸はところどころで発根する。(兵庫県養父市・草原 2015.7/19) |
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↑Fig.6 葉。(兵庫県養父市・草原 2015.7/19) 葉は線形または線状披針形、先端は尖り、膜質の糸状体をつけ、全縁、緑色〜鮮緑色。 |
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↑Fig.7 胞子嚢穂を上げはじめた個体。(兵庫県養父市・登山道脇 2015.6/13) この時期のものでも小梗はなく、ヒカゲノカズラと区別できる。 |
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↑Fig.8 胞子嚢穂。(兵庫県養父市・草原 2015.7/19) 胞子嚢穂の柄(総梗)は直立し、長さ10c未満m、線形の小さな葉が圧着し、先端に無柄の(小梗なしに)1〜4個の胞子嚢穂をつける。 胞子嚢穂は長さ2〜10cm、径3.5〜5mm、円柱状で直立する。 |
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↑Fig.9 胞子嚢穂の柄(総梗)の拡大。(兵庫県養父市・草原 2015.7/19) |
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↑Fig.10 胞子嚢穂の拡大。(兵庫県養父市・草原 2015.7/19) 胞子葉がらせん状に中軸を取り巻き、その内側(向軸側)基部に胞子嚢がつく。 詳しくはヒカゲノカズラを参照のこと。 |
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↑Fig.11 胞子。1目盛=1.6μ。(兵庫県養父市・草原 2015.8/2) 胞子は1頂点が明瞭な球状4面体で、表面には網目模様があり、径36〜39μ。 |
生育環境と生態 |
Fig.12 登山道脇の裸地に生育するエゾヒカゲノカズラ。(兵庫県養父市・登山道脇 2015.8/16) エゾノヒカゲノカズラはヒカゲノカズラ同様に裸地〜半裸地状の場所を好む。 ここはブナ帯に位置するが、兵庫県内では低山地でも自生地が見つかっているようだ。 |
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Fig.13 ススキ草原の半裸地に生育するエゾヒカゲノカズラ。(兵庫県養父市・草原 2015.7/19) ここでも地表が見えるような半裸地状の部分に、数個体が生育していた。 春に野焼きの行われるススキ草原で、他の場所は表土が黒ボクとなっているが、ここは表土が流出するらしく、基岩の風化土が剥き出しになっている。 ススキ、オオアブラススキ、ワラビ、ヤマハギ、ヤマヤナギ幼木がまばらに生育し、同所的にイトハナビテンツキ、アリノトウグサ、ヒメハギ、オトギリソウ、 ウメバチソウ、センブリなどが見られた。 |