コゴメスゲ (コゴメナキリ) | Carex brunnea Thunb. | ||
林縁・草地の植物 | カヤツリグサ科 スゲ属 ナキリスゲ節 |
Fig.1 (西宮市・涸れ沢 2015.2/12) 丘陵〜低山の林縁や草地に生育する多年草。 根茎は短く、密に叢生する。基部の鞘は葉身があり、濃褐色で、後に繊維に分解する。 葉は硬く、幅2〜4mm、黄緑色で、ナキリスゲよりも明るい色をしている。 有花茎は高さ40〜80cm。苞は上方のものは刺状、下方のものは小穂よりも長い葉身がある。 小穂は1節に2〜5個つき、下部のものは枝分かれし、長さ1〜2.5cm、幅2〜2.5mm。全て雄雌性で、雄花部は短い。 雌鱗片は果胞の肩の高さまであり、果胞全体を隠すことが多い。鱗片は褐色部分が多いため、小穂は茶褐色を帯びて見えることが多い。 果胞はやや小さく、長さ2.5〜3mm。細脈が多数あり、短い伏毛がある。柱頭は2岐する。 近縁種 : ナキリスゲ、 フサナキリスゲ、 キシュウナキリスゲ、 センダイスゲ、 オオナキリスゲ、 ジングウスゲ ■分布:本州(関東南部以南)、四国、九州、対馬、伊豆諸島、沖縄 ・ 台湾、中国東部、東南アジア ■生育環境:丘陵〜低山の林縁や草地など。 ■果実期:9〜11月 |
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↑Fig.2 全草標本。(西宮市・涸れ沢 2015.2/12) 涸れ沢のやや湿った場所に生育して大株となっていた個体。 |
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↑Fig.3 基部。(西宮市・林縁 2009.11/21) 基部の鞘には葉身があり、濃褐色、後に繊維状に分解する。 画像のものは越冬芽が形成されており、その最下付近の鞘には葉身がない。 |
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↑Fig.4 花序。(上:西宮市・林縁 2009.11/21 下:洲本市・棚田の土手 2009.11/7) 日当たりよい場所に生育していた個体の花序。Fig.2 のものよりもコゴメスゲの典型に近い花序である。 小穂は1節に2〜5個つき、茶褐色を帯び、ナキリスゲよりも細い。 |
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↑Fig.5 小穂は雄雌性。(洲本市・棚田の土手 2009.11/7) 小穂の上部には雄花群が、下方には雌花群がつく雄雌性である。最上部の小穂を除いて、雄花群は短い。 稀に頂小穂にほとんど雌花が見られないことがあるが、痕跡的な雌鱗片は残存している。 |
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↑Fig.6 小穂の拡大。(洲本市・棚田の土手 2009.11/7) 痩果は完全に熟し、雌鱗片はほとんど脱落してしまっていた。 |
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↑Fig.7 小穂の雄性部の拡大。(洲本市・棚田の土手 2009.11/7) 雄鱗片は卵形、鈍頭。 |
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↑Fig.8 雌鱗片。(西宮市・涸れ沢 2015.2/12) 鱗片は褐色部分が多く、卵形、鈍頭。 |
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↑Fig.9 果胞。(洲本市・棚田の土手 2009.11/7) 果胞はナキリスゲよりも小さく、長さ2.5〜3mm。細脈が多数あり、短い伏せ毛がある。 |
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↑Fig.10 痩果。(洲本市・棚田の土手 2009.11/7) 痩果は扁平な広卵形〜円形、栗褐色、長さ約1.4mm。 |
生育環境と生態 |
Fig.11 水田の土手に生育する、花茎を上げ始めたコゴメスゲ。(長崎県・棚田土手 2009.10/21) 管理の行き届いた農耕地周辺の土手では、刈り込みに遭ってザンギリとなった葉の間から沢山の花茎を上げているのを見かける。 コゴメスゲは人里近い場所で生育していることが多く、刈り込みに遭いやすいため、葉が完全な標本はなかなか得られない。 |