ナキリスゲ | Carex lenta D.Don ex Spreng. | ||
林縁・草地の植物 | カヤツリグサ科 スゲ属 ナキリスゲ節 |
Fig.1 (西宮市・林縁 2009.11/4) 平地〜低山の林縁や林床に生育する多年草。 根茎は短く叢生し、匍匐枝は出さない。基部の鞘は葉身があり、濃褐色で、後に繊維に分解する。 葉は硬く、幅2〜4mm、濃緑色。有花茎は高さ40〜80cm。苞は上方のものは刺状、下方のものは小穂よりも長い葉身がある。 小穂は1節に1〜3個つき、ときに枝分かれし、長さ1〜2cm、幅3〜3.5mm。全て雄雌性で、雄花部は短い。 果胞は長さ3〜3.5mm。脈が目立ち、開出した短毛がある。柱頭は2岐する。 近縁種 : コゴメスゲ、 フサナキリスゲ、 キシュウナキリスゲ、 センダイスゲ、 オオナキリスゲ、 ジングウスゲ ■分布:本州(関東および新潟以西)、四国、九州、対馬、屋久島、種子島、トカラ列島、伊豆諸島 ・ 朝鮮南部、中国、ヒマラヤ ■生育環境:平地〜低山の林縁や林床など。 ■果実期:9〜11月 |
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↑Fig.2 全草標本。(西宮市・登山道脇 2010.11/14) 根茎は短く叢生する。匐枝は出さない。 |
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↑Fig.3 基部。(西宮市・登山道脇 2009.11/26) 基部の鞘には葉身があり、濃褐色、後に繊維状に分解する。 右方向に出ているのは昨年の古い根茎であり、匐枝ではない。 |
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↑Fig.4 有花茎。(西宮市・登山道脇 2010.11/15) 節に雄雌性の小穂が1〜3個つく。小穂は他のナキリスゲ属の草本よりも白味を帯びているものが多い。 |
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↑Fig.5 小穂。(西宮市・渓流畔 2010.11/14) 小穂はふつう全て雄雌性で、雄花部は短いが、頂小穂では多少とも雄花部は長くなる。 |
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↑Fig.6 果胞。(西宮市・渓流畔 2010.11/14) 果胞は長さ3〜3.5mm。脈が目立ち、開出した短毛がある。柱頭は2岐している。 |
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↑Fig.7 痩果。(西宮市・渓流畔 2010.11/14) 痩果は倒広卵状円形、黒褐色、柱基を除いて長さ1.5mm前後。 |
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↑Fig.8 頂小穂の変異。頂小穂が雄小穂に見えるもの。(西宮市・渓流畔 2010.11/14) 小穂の上部は褐色で、その部分は雄花であるが、下半部は緑色となっており、雌花の退化したものか不完全なものと思われる。 頂小穂が雄小穂となるオオナキリスゲでは頂小穂全体が濃褐色となる。 |
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↑Fig.9 頂小穂の変異。一部の雌花が不完全なもの。(西宮市・登山道脇 2009.11/26) 頂小穂の雌花部の下方が不完全な雌花となっている。 |
生育環境と生態 |
Fig.10 林道脇に生育するナキリスゲ。(西宮市・林道脇 2008.11/23) 谷津の棚田へと向う雑木林林縁を通る林道脇のやや湿った路傍に生育している。 同所的にショウジョウバカマ、キツネノボタン、シュンラン、キンミズヒキ、アシボソ、オオバタネツケバナ、オヘビイチゴなどが見られた。 |
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Fig.11 導水路脇に生育するナキリスゲ。(西宮市・林道脇 2010.11/14) 山間渓流から耕作地に用水を供給する雑木林内を流れる導水路の脇に点在している。 環境は半日陰でやや湿り気があり、周辺にはハコネシダ、シシガシラ、ベニシダ、コモチシダなどのシダ類、センボンヤリ、コメヒシバ、 ササガヤ、ノガリヤス、アキノキリンソウ、ヨシノアザミ、アキノタムラソウ、タツナミソウ、アリマイトスゲなどが生育している。 |