コウザキシダ | Asplenium ritoense Hayata | ||
山地・岩上のシダ 兵庫県RDB Cランク種 | チャセンシダ科 チャセンシダ属 |
Fig.1 (兵庫県摂津地方・岩上 2015.11/10) 山林中や路傍の岩上、稀に地上に生育する常緑性シダ。 根茎は短く斜上〜直立し、葉を叢生する。鱗片は暗褐色で格子状、披針形〜線形、生鮮等、長さ3〜6mm、縁に不斉な突起がある。 葉柄は扁平で、長さ5〜20cm、緑色で、基部に鱗片をつける。 葉身は2〜4回羽状に深裂し、卵形〜3角状長楕円形、鋭頭、長さ10〜18cm、先は1〜4cm尾状に伸びる。 各軸には翼があり、羽片や小羽片には短柄がある。葉質はやや厚くてやわらかく、無毛で緑色。 終裂片は披針形、鋭頭〜鈍頭で、全縁、長さ約3mm、幅1〜1.5mm程度、脈は単生する。 ソーラスは裂片の縁に1個つき、長楕円形、包膜は長さ2〜4mmで、宿存性。染色体数はn=72, 2n=144の4倍体。 ヒノキシダ(A. prolongatum)は葉身が2回羽状複生、狭長楕円形〜披針形、先に無性芽ができる。 コバノヒノキシダ(A. sarelii)は葉質が厚くない草質、ソーラスは終裂片の脈と辺縁の中間に1〜3個つく。 トキワトラノオ(A. pekinense)はソーラスは終裂片の脈と辺縁の中間に1〜3個つき、鱗片基部の背部に褐色毛が密生する。 アオガネシダ(A. pekinense)は中軸の溝の中央は盛り上がらず、葉柄背軸側は黒褐色、葉身先端は尾状に伸びない。 イワトラノオ(A. tenuicaule)は葉質がやわらかい草質、葉身は2回羽状複生、裂片は円頭、ソーラスは裂片に1〜4個つく。 近縁種 : ヒノキシダ、 コバノヒノキシダ、 トキワトラノオ、 アイトキワトラノオ(雑種)、 アオガネシダ、 イワトラノオ ■分布:本州(房総半島以西)、四国、九州、沖縄 ・ 済州島、台湾、中国南部 ■生育環境:山林中や路傍の岩上、稀に地上など。 |
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↑Fig.2 葉柄基部。(兵庫県摂津地方・岩上 2015.11/10) 葉柄は扁平で、長さ5〜20cm、緑色で、基部に鱗片をつける。 鱗片は暗褐色で格子状、披針形〜線形、生鮮等、長さ3〜6mm、縁に不斉な突起がある。 |
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↑Fig.3 葉身。(兵庫県摂津地方・岩上 2015.11/10) 葉身はやや小型で、2〜4回羽状に深裂し、卵形〜3角状長楕円形、鋭頭、長さ10〜18cm、先は1〜4cm尾状に伸びる。 葉質はやや厚くてやわらかく、無毛で緑色。ソーラスのつかない右下のような小さな葉はコバノヒノキシダに似る。 |
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↑Fig.4 中軸の溝の中央は盛り上がる。(兵庫県摂津地方・岩上 2015.11/10) |
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↑Fig.5 羽片。(兵庫県摂津地方・岩上 2015.11/10) 各軸には翼があり、羽片や小羽片には短柄がある。 終裂片は披針形、鋭頭〜鈍頭で、全縁、長さ約3mm、幅1〜1.5mm程度、脈は単生する。 |
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↑Fig.6 羽片裏面。(兵庫県摂津地方・岩上 2015.11/10) ソーラスは裂片の縁に1個つき、長楕円形、包膜は長さ2〜4mmで、宿存性。 |
生育環境と生態 |
Fig.7 植林地斜面の岩上に生育するコウザキシダ。(兵庫県摂津地方・岩上 2015.11/10) 緑色岩地の谷筋の植林地斜面にある岩上で、コウザキシダが1個体のみ着生していた。 多湿な環境で、岩上に生育する蘚類とマメヅタを生育の温床としていた。周辺ではヌリトラノオ、クルマシダも見られる。 |