ツクバキンモンソウ Ajuga yezoensis  Maxim. ex. Franch. et Sav
 var. tsukubana  Nakai
  里山・林床・林縁の植物 シソ科 キランソウ属
Fig.1 (西宮市・林縁 2015.4/21)

主に太平洋側の丘陵〜山地の林床や林縁に生育する多年草。
ニシキゴロモの変種で、花冠の上唇が短く1mm程度で半円形となるもの。

母種のニシキゴロモA. yesoensis)は、花冠上唇が2.5〜3mmと長く、直立して2裂する。主に日本海側に分布する。
近縁種 : ニシキゴロモキランソウオウギカズラジュウニヒトエ

■分布:本州(関東以西)、四国の太平洋側。
■生育環境:丘陵〜山地の林床や林縁など。
■花期:4〜5月

Fig.2 葉。(西宮市・林縁 2015.4/21)
  葉は数対あり、長楕円形〜広卵形、1〜3cmの葉柄がある。

Fig.3 葉表の毛。(西宮市・林縁 2015.4/21)
  葉縁や葉表の脈周辺には微毛があるが、キランソウほど毛深くはない。

Fig.4 葉裏。(西宮市・林縁 2015.4/21)
  葉裏は紫色を帯び、腺点を散布し、脈上にまばらに上向きに曲がった毛がある。母種のニシキゴロモも同様な特徴がある。

Fig.5 開花したツクバキンモンソウ。(西宮市・林縁 2015.4/21)
  花は茎に対生した葉の葉腋に2〜6個ずつつく。

Fig.6 上から見た花と横から見た花。(西宮市・林縁 2015.4/21)
  花は唇形花で、下唇は3裂して中央裂片は小さく、上唇は長さ1mm程度で2裂する。
  母種のニシキゴロモの上唇は2〜3.5mmと、長いことにより区別できる。

Fig.7 果実形成期。(西宮市・林縁 2013.5/27)
  分果が2個見えている。分果にはアリが集まっているが、腺点の精油に惹かれたのか、アリマキでもいたのか・・・。

Fig.8 大株となった個体。(神戸市・林縁 2015.4/26)
  腐植質に富んだ場所では大株となり、多くの花をつける。

生育環境と生態
Fig.9 林縁に点在するツクバキンソンソウ。(西宮市・林縁 2015.4/21)
雑木林の林縁に点在しているが、西宮市内では画像のものを含め、わずか6個体が狭い地域に見られるだけであった。
周辺にはベニシダ、オオベニシダ、マルバベニシダ、シシガシラ、ナキリスゲ、ヒカゲスゲ、トウゴクシソバタツナミなどが生育している。
西宮市内ではごく少ないが隣の神戸市では比較的よく見られる種である。

Fig.10 山間道路脇の法面に生育するツクバキンモンソウ。(兵庫県上郡町・林縁斜面 2015.5/6)
山間の車道脇の雑木林へと続く斜面の林縁部にツクバキンモンソウが点在していた。
周辺にはシシガシラ、オクマワラビ、ベニシダ、タチクラマゴケ、タガネソウ、イトアオスゲ、ノゲヌカスゲ、ヒカゲスゲ、ヌカボシソウ、タチツボスミレ、
ナガバノタチツボスミレ、アオイスミレ、シハイスミレ、ヒメカンアオイ、ヤマムグラ、ヤマルリソウ、ミヤマヨメナ、ニガナ、コガクウツギが見られた。


最終更新日:26th.June.2015

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