溜池畔などの日当たりのよい湿地に稀に生育する多年草。
走出枝はなく、茎は細く、高さ16～65cm、上部で分枝する。
根生葉は開花期にも残り、線状披針形、長さ5～20cm、幅3～8mm、ほぼ全縁、基部は葉柄に向かって流れる。
茎葉は1～3個（ふつう3個）、線状披針形で、全縁、基部はしだいに狭くなり、茎を抱かない。
花序は散形状。頭花は小さくニガナの約1/2程度の大きさで、径5～7mm程度、小花はふつう6個。
総苞は細く、開花時に長さ4～5mm、幅約1mm。痩果は褐色、長さ約3mm。冠毛は汚白色。
ニガナ（I. dentata）は花の径約15mm。総苞の長さ7～8mm。小花は5～7個。茎葉は茎を抱く。
ハイニガナ（I. dentata var. stolonifera）は走出枝を出し湿地に生育し、ニガナよりやや小型。小花は5個。
ハナニガナ（I. dentata var. albiflora f. amplifolis）はニガナよりも丈夫で大型。総苞の長さ7～8mm。小花は8～11個。
カワラニガナ（I. tamagawaensis）は葉の長さ8～15cm、幅3～5mm、ときにまばらな歯牙縁がある。頭花の径15～20mm。総苞の長さ9～10mm。本州中部以北。
ノニガナ（I. polycephala）は花の径約8mm。小花は15個前後。茎葉は基部が矢じり状となって茎を抱く。
近似種 ： ニガナ、 ハイニガナ、 ハナニガナ、 オオジシバリ、 スイラン
■分布：本州（関東地方以西）、四国、九州 ・ 中国、ベトナム、ヒマラヤ
■生育環境：溜池畔、湿地など。
■花期：4～10月
■西宮市内での分布：市内では見られない。兵庫県下でも自生地は数ヶ所しかない、もともと稀な種である。
根生葉は開花期にも残り、線状披針形。
抽水状態で生育するものは、水深が深いものほど葉が長く伸びるようだ。
左のものほど生育初期に出た根生葉。いずれの葉にも顕著な鋸歯や歯牙突起はなく、ほぼ全縁。
根生葉は柄状の部分があり、長さ5～20cm、幅3～8mm、基部は葉柄に向かって流れる。
茎には1～3個の葉をつけ、線形～線状披針形、基部はしだいに狭くなり、茎を抱かない。
茎は上部で分枝し、散形状の花序を形成する。
花はニガナの1/2程度で、径5～7mm程度。小花はふつう6個。開花時の総苞は長さ4～5mm、幅約1mm。
花後の総苞は下方が少しふくらむ。
痩果は褐色で長さ約3mm、翼状の肋が10個ある。
冠毛は汚白色で、長さは不揃いで2.2～3mm、上向きの微細な鋸歯がある。
左：ニガナ、右：ホソバニガナ。ホソバニガナの痩果は小さい。
