トゲミノキツネノボタン Ranunculus muricatus  L. キンポウゲ科 キンポウゲ属 キンポウゲ亜属
湿生植物・帰化植物
Fig.1 (兵庫県明石市・畑地 2007.4/5)

Fig.2 (兵庫県丹波市・畑地の畦 2013.4/23)

昭和以降に帰化したヨーロッパ・西アジア原産の越年草。
都市近郊の畑地や畦、道端などのやや湿った場所に生える。西日本に多い。
茎は下部から分枝して斜上し、高さ15〜40cm、茎にはごくまばらに毛が生える。
葉には長い柄があり、葉鞘には毛を散生する。
葉身は3中裂し、無ぞろいな粗い鋸歯があり、長さ1.5〜6cmで、少し粗い毛が生える。基部は心形または切形。
花は萼片5、花弁5、雄蕊多数、雌蕊多数からなる。萼片は卵状披針形、長さ6.5〜7mmで、反り返る。
花弁は明るい黄色、狭倒卵形で、長さ6.5〜8mm、基部は狭まり密腺がある。
果実は痩果多数からなる球形の集合果。
痩果は卵形、花柱を含め長さ5〜6mm、扁平で縁取りがあり、両面に先端がやや曲がった柔らかい棘が多数ある。

近似種 : キツネノボタンケキツネノボタンオトコゼリウマノアシガタタガラシ
■分布:本州、九州
■生育環境:畑地や畦、道端などのやや湿った場所。
■花期:4〜5月
■西宮市内での分布:市内では甲陽園大池の池畔に生育している。

Fig.3 トゲミノキツネノボタンの花。(兵庫県明石市・畑地 2007.4/5)
  花弁はレモンイエローに近い、明るい黄色で光沢がある。
  花弁基部の密腺はよく発達し、花弁の下部には密がにじむ。

Fig.4 果実。(兵庫県明石市・畑地 2007.4/5)
  痩果が多数集まって集合果をなす。   痩果には縁取りがあり、その内側には多数の刺がある。

生育環境と生態
Fig.5 農地の道端の湿った場所に生育するトゲミノキツネノボタン。(兵庫県明石市・畑地 2007.4/5)
多花性であり、在来のキツネノボタンやケキツネノボタンに比べて花数がはるかに多い。

Fig.6 畑地の畦に群生するトゲミノキツネノボタン。(兵庫県丹波市・畑地の畦 2013.4/23)
山間にある道路沿いの畑地の畦がトゲミノキツネノボタンの花で黄色に染まっていた。
客土によって持ち込まれたものが殖えたのだろう。間にスギナ、ギシギシ、ノビル、ヤハズエンドウ、オランダミミナグサなどが生えている。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
田村道夫・清水建美, 1982. キンポウゲ科キンポウゲ属キンポウゲ亜属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本2 離弁花類』 p.77〜79. pls.75〜79. 平凡社
北村四郎, 2004 キンポウゲ科キンポウゲ属. 北村四郎・村田源『原色日本植物図鑑 草本編(U) 離弁花類』 p.240〜248. pl.55. 保育社
門田祐一. 2001. キンポウゲ科キンポウゲ属. 清水建美(編)『日本の帰化植物』 p.75〜77. pl.24. 平凡社
清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七. 2001. トゲミノキツネノボタン. 『日本帰化植物写真図鑑』 77. 全国農村教育協会
長田武正・長田喜美子, 1984 トゲミノキツネノボタン. 『野草図鑑 6 おきなぐさの巻』 p.149. pl.147. 保育社
小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. トゲミノキツネノボタン. 『六甲山地の植物誌』 121. (財)神戸市公園緑化協会
村田源. 2004. トゲミノキツネノボタン. 『近畿地方植物誌』 111. 大阪自然史センター

最終更新日:7th.Mar.2014

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