オオイタチシダ | Dryopteris pacifica (Nakai) Tagawa | ||
里山・山地・林縁のシダ | オシダ科 オシダ属 |
Fig.1 (兵庫県神崎郡・道端の林縁 2011.12/18) 里山や山地の林縁や斜面に生育する、変異の多い常緑性のシダ。 根茎は短く斜上し、塊状となり、葉を叢生し、鱗片をつける。 葉柄下部の鱗片は黒褐色〜黒色、線状披針形。葉身上部はやや急に狭くなるが、ふつう明瞭な鉾形とはならない。 葉質は硬い紙質、黄緑色〜濃緑色(〜黒緑色)、ふつうは表面に光沢があるが、ときに光沢のないものもある。 葉身はやや5角状の広卵形、2回羽状複生、羽片は詰まってつき、有柄、羽軸の鱗片は扁平で、ほとんど袋状にならない。 裂片はふつう微鋸歯縁、辺縁はふつう反曲しない。 ソーラス葉身全体につき、裂片の中間かやや辺縁寄りに並ぶ。 【メモ】 オオイタチシダは変異が多く、ベニオオイタチシダ、アケボノオオイタチシダ、ツヤナシオオイタチシダ、アツバオオイタチシダ、 アオニオオイタチシダの5変異群に分けて同定する方法があり、web上では山口純一氏のサイト 「日本の野生植物検索表」の 《オオイタチシダ物語》が詳しい。 近縁種 : ヤマイタチシダ、 ヒメイタチシダ、 ナンカイイタチシダ、 ナガバノイタチシダ、 ミヤマイタチシダ、 ミサキカグマ ■分布:本州(東北南部以西)、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国 ■生育環境:里山や山地の林縁や斜面など。 |
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↑Fig.2 地上部標本。(兵庫県神崎郡・道端の林縁 2011.12/18) 葉質は硬い紙質、黄緑色〜濃緑色(〜黒緑色)、ふつうは表面に光沢があるが、ときに光沢のないものもある。 羽片は詰まってつき、有柄。最下羽片の第1下向小羽片が第2羽片より長い。 画像のものを5変異群を採用して分けるとすると、葉面緑色、光沢と厚みがあって、辺縁やや反曲し、小羽片上部に鋭鋸歯があるため アツバオオイタチシダということになる。 |
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↑Fig.3 葉柄基部の鱗片。(兵庫県神崎郡・道端の林縁 2011.12/18) 葉柄下部の鱗片は黒褐色〜黒色、線状披針形、光沢がある。 |
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↑Fig.4 葉先。(兵庫県神崎郡・道端の林縁 2011.12/18) 葉身上部はやや急に狭くなるが、ナンカイイタチシダのような明瞭な鉾形とはならない。 |
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↑Fig.5 中軸の鱗片。(兵庫県神崎郡・道端の林縁 2011.12/18) 基部が扁平な鱗片がつき、先は線状披針形〜線形。 |
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↑Fig.6 羽軸の鱗片。(兵庫県神崎郡・道端の林縁 2011.12/18) 羽軸の鱗片基部は扁平で、ほとんど袋状にならない。 |
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↑Fig.7 ソーラス。(兵庫県神崎郡・道端の林縁 2011.12/18) 葉身全体につき、裂片の中間かやや辺縁寄りに並ぶ。ヒメイタチシダより大きい。 |
生育環境と生態 |
Fig.8 道端の林縁に点在するオオイタチシダ。(兵庫県神崎郡・道端の林縁 2011.12/18) 中山間地の集落の道端に小さなアラカシ林があり、その林縁の緩い斜面にオオイタチシダが点在していた。 地表は乾燥気味でテイカカズラやフユイチゴが茂り、シダ類では他にトウゴクシタが少数みられた。 |
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Fig.9 湿った岩壁に生育するオオイタチシダ。(兵庫県姫路市・岩壁 2012.12/11) 明るい湿った岩壁に大きな葉身のオオイタチシダがまとまって生育していた。 岩壁は一部がホウオウゴケに覆われ、カタヒバ、トウゴクシダ、タチツボスミレ、イタビカズラが生育していた。 |