セツブンソウ Eranthis pinnatifida  Maxim.
  里山〜山地の植物 兵庫県RDB C種 キンポウゲ科 イチリンソウ属
Fig.1 (兵庫県篠山市・林縁 2011.3/8)

Fig.2 (兵庫県丹波市・草地斜面 2011.2/8)

やや内陸で山地よりの、落葉広葉樹や植林地林縁の斜面に生える多年草。
関西を含む西日本では、石灰岩を基岩とするような堆積岩が砕破した斜面に見られることが多い。
地下に球形の塊茎があり、1本の花茎を出し、花後、根生葉を単生する。
総苞葉は花茎の先端につき、無柄、ふぞろいに深裂し、裂片は線形。
根生葉は5角形で3全裂し、幅3〜5cm、側小片はさらに2深裂して、各小片は羽状に細裂する。
花は茎頂に1個つき径約2cm、花柄は長さ1cm前後、萼片は白色で大きく、ふつう5個。
花弁は先端が黄色で小さく、下部で2岐して蜜弁となり、分岐部に蜜を溜める。
雌蕊は多数あって、葯はふつう淡紫色を帯びる。
雌蕊は1心皮からなり、1〜5個あり、花後、袋果となり中には数個の種子ができる。
種子は褐色円形、平滑、径約2mm。
近縁種 : アズマイチゲキクザキイチゲユキワリイチゲイチリンソウニリンソウ

■分布:本州(関東地方以西)
■生育環境:西日本では山地よりの植林地林縁や、広葉樹林の林床などに見られ、石灰岩を基岩とする地域に多いが、
      兵庫県下では多くは破砕した堆積岩の斜面に見られる。
■花期:2〜3月

Fig.3 セツブンソウの萌芽。(兵庫県篠山市・林縁 2009.2/19)
  つぼみと総苞葉が同時に上がってくる。花と総苞葉が開くのはほぼ同時で、総苞葉は花が開いた後にも成長する。
  ※画像右下の新芽はツルカノコソウのもの。

Fig.4 開花したセツブンソウ。(兵庫県篠山市・クリ園の林床 2012.3/3)
  萼片、花弁、葯の配色が美しい。
  この花は開花したばかりで、雄蕊が伸びきっておらず、先が鉤状になった雌蕊は半ば埋もれている。

Fig.5 紫色の色素を欠いた個体。(兵庫県篠山市・クリ園の林床 2012.3/3)
  兵庫県では紫色の色素を持つものが勝り、紫色の色素は群落の中に少数が混じる。

Fig.6 訪花したハナバチの仲間。(兵庫県篠山市・クリ園の林床 2012.3/3)

Fig.7 開花晩期のセツブンソウ。(兵庫県篠山市・植林地の林縁 2008.3/25)
  雌蕊の心皮は、はやくも膨らみはじめている。

Fig.8 群生するセツブンソウ。(兵庫県篠山市・林縁 2008.3/25)
  種子の発芽率はよく、種子によって繁殖し群生をつくる。画像のセツブンソウは果実形成期に入っている。

Fig.9 未熟な果実をつけたセツブンソウ。(兵庫県篠山市・林縁の斜面 2013.4/9)
  果実は袋果で、中に数個の種子をつくる。結実率は良いようで、刮ハの痩せているものをほとんど見かけない。
  おそらく、自家受粉も可能なのではないかと思うがどうだろうか。

Fig.10 幼植物。(兵庫県篠山市・林縁の斜面 2011.3/29)
  発芽初年度の葉は小さな先の凹んだ広楕円形。2年目は数の少ない裂片を持つ、小さな裂葉となる。

生育環境と生態

Fig.11,12 急斜面で群生するセツブンソウ。(兵庫県篠山市・林縁 上:2008.3/20 下:2009.2/19)
植林地の林縁にある急な斜面で、土壌は細かく破砕した堆積岩が堆積している。
斜面にはハナウドやシシウドなどの大型の草本も生育するが、セツブンソウは大型の草本が生育する前に開花して、
小さな葉で光合成して地下の塊茎に養分を蓄え、5月には早々と葉を枯らして休眠に入る。

Fig.13 果樹園林床に生育するセツブンソウ。(兵庫県篠山市・林床 2011.2/26)
クリの植えられた植林地林縁の緩やかな東向きの斜面に群生していた。この場所の群落は非常に生育密度が高い。

最終更新日:7th.Mar.2014

<<<戻る TOPページ