シラヤマギク | Aster scaber Thunb. | ||
丘陵・林縁の植物 | キク科 シオン属 |
Fig.1 (西宮市・林縁草地 2011.9/6) |
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Fig.2 (西宮市・林縁 2014.10/16) 丘陵〜山地の林縁、草地、生育する多年草。 茎は高さ1〜1.5m、根生葉は卵心形で長い柄があるが、開花時には枯れて無くなる。 下部の葉は6〜15cmの柄があり、柄にはしばしば翼がある。葉身は卵心形、長さ9〜24cm、幅6〜18cm、 短く鋭尖頭、歯牙縁、両面にはやや密に短毛があってざらつき、洋紙質。 中部〜上部の葉は上のものほど小さく、葉柄も短い。 花は茎上部にゆるい散房状につき、頭花は径18〜24mmで白色。花柄は1〜3cm。 総苞は長さ4〜5mm、片は3列、ゆるく瓦状に並び、縁は乾膜質、円頭で微毛がある。外片は長楕円形、長さ1.5mm。 筒状花の花冠は長さ5.5mm。痩果は倒披針状長楕円形、やや円くて、長さ3〜3.5mm、幅1mm、無毛。 冠毛は長さ3.5〜4mm、毛は不同長で多数あり、ざらついて、もっとも長い毛は先がわずかに太い。 近縁種 : イナカギク、 ケシロヨメナ、 タマバシロヨメナ、 ゴマナ、 ノコンギク、 ヨメナ ■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国 ■生育環境:丘陵〜山地の林縁や草地など。 ■花期:8〜10月 |
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↑Fig.3 根生葉(左下)と初夏に伸び始めた茎。(西宮市・林縁草地 2010.5/29) 根生葉は卵心形で長い柄があるが、開花時には枯れて無くなる。茎下部につく初期の葉も根生葉とほぼ同形。 この頃の葉や若い茎は食用となる。 |
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↑Fig.4 茎と上部の葉。(西宮市・林縁草地 2011.9/6) 葉は茎にまばらに互生してつき、中部以上で葉腋からよく分枝する。 茎上部につく葉は、上に向かうにつれて卵形から狭卵形と小さくなり、基部はくさび形、葉柄もしだいに短くなる。 |
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↑Fig.5 開花したシラヤマギク。(西宮市・林縁草地 2011.9/6) 花は茎上部にゆるい散房状につき、頭花は径18〜24mm、外縁に白色の舌状花が並び、内側に黄色の筒状花が集まる。 |
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↑Fig.6 横から見た花。(西宮市・林縁草地 2011.9/6) 総苞は長さ4〜5mm、片は3列、ゆるく瓦状に並ぶ。 |
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↑Fig.7 訪花したコアオハナムグリ。(西宮市・林縁草地 2011.9/6) |
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↑Fig.8 晩秋に開花した個体。(兵庫県小野市・溜池土堤 2010.11/25) 強度の草刈りを受けるような場所では、晩秋に開花が見られることがある。 |
生育環境と生態 |
Fig.9 山道の道端に生育するシラヤマギク。(西宮市・山道脇 2011.9/6) 年に数度草刈りの入る山道の道端に、刈り込まれて小型の草体で開花するシラヤマギクが見られた。 道端にはシシガシラ、コシダ、アオスゲ、ヒカゲスゲ、ナキリスゲ、トダシバ、ススキ、矮小化したネザサ、チョウセンガリヤス、メリケンカルカヤ、 ナルコビエ、オトギリソウ、ナガバノタチツボスミレ、シハイスミレ、カナビキソウ、アリノトウグサ、コマツナギ、ワレモコウ、オミナエシ、リンドウ、 センブリ、ツリガネニンジン、クチナシグサ、ノアザミ、ヤクシソウ、アキノキリンソウ、リュウノウギク、イナカギクなど里山の雑木林の林縁に生育する種が 一通り生育していた。 |
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Fig.10 林縁草地にまばらに群生するシラヤマギク。(西宮市・林縁草地 2011.9/6) かつて溜池があった土堤上が、年に2度ほど草刈りされる草地となっており、その雑木林との境界付近にシラヤマギクが群生している。 ススキ、チガヤ、トダシバ、ワラビが多く、ゼンマイ、アブラガヤ、ワレモコウ、コマツナギ、ヤブマメ、オミナエシ、リンドウ、ツルリンドウ、 ツリガネニンジン、オオヒキヨモギ、ウツボグサ、ノアザミ、ヨシノアザミ、アキノキリンソウが生育し、シラヤマギクの最盛期が終わると、 代わってイナカギクが満開となり、これもまばらに群生している。 |