ギフベニシダ | Dryopteris kinkiensis Koidz. ex Tagawa | ||
里山・崖地・石垣・路傍・林縁斜面のシダ | オシダ科 オシダ属 |
Fig.1 (兵庫県篠山市・乾いた路傍の岩壁 2013.11/12) |
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Fig.2 (兵庫県篠山市・社寺境内 2014.1/23) |
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Fig.3 (兵庫県丹波市・植林地の林床 2014.2/21) 里山の石垣、崖地、林縁斜面、路傍などに生育する常緑性シダ。 根茎は斜上、葉柄や中軸の鱗片はサイゴクベニシダほど密ではない。 葉柄基部の鱗片は褐色〜暗褐色、中軸の鱗片は褐色〜淡褐色、ともに軸に圧着してつく傾向がある。 羽軸の鱗片はサイゴクベニシダやヌカイタチシダマガイに見られるような袋状鱗片はなく、鱗片基部は扁平。 葉身は卵状長楕円形〜長楕円形、長さに比して幅が狭く、光沢があり、厚い紙質。 典型的なものでは葉先はしだいにせまくなって鋭尖頭となるが、そうでないものもある。 小羽片は基部が耳状になり、小さなものではほぼ全縁だが、大きいものでは中〜やや深裂する。 ソーラスは中肋寄りのものから辺縁寄りのものまで様々なつきかたがある。苞膜は灰白色で全縁。 染色体数はn=82の4倍体。 【メモ】 兵庫県内ではあまり見かけないシダで、なぜか村落内にのみ生育していることの多い不思議な性質を持つシダである。 サイゴクベニシダ、オオマルバベニシダ、ヌカイタシダマガイに似るが、羽軸には袋状鱗片がないことにより区別できる。 ギフベニシダとオオイタチシダの種間雑種との説もあるシビイタチシダ(D. shibipedis)は両種の中間的特長があるが、野生絶滅した。 近縁種 : サイゴクベニシダ、 アツギノヌカイタチシダマガイ、 ヌカイタチシダマガイ、 ヌカイタチシダモドキ、 マルバベニシダ、 オオマルバベニシダ、 ベニシダ、 トウゴクシダ、 ハチジョウベニシダ、 タカサゴシダ ■分布:本州(宮城県および千葉県以西)、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国 ■生育環境:里山の石垣、崖地、林縁斜面、路傍など。 |
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↑Fig.4 地上部標本。(兵庫県篠山市・乾いた路傍の岩壁 2013.2/25) 葉身は卵状長楕円形〜長楕円形、長さに比して幅が狭く、光沢があり、厚い紙質。 ソーラスの付いている部分は表面が膨出している。 |
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↑Fig.5 林床に生育していたもの。(兵庫県丹波市・植林地の林床 2014.2/21) 葉表面は濃緑色で、光沢がある。 |
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↑Fig.6 葉柄下部の鱗片。(兵庫県篠山市・乾いた路傍の岩壁 2013.2/25) 葉柄基部の鱗片は披針形、褐色〜暗褐色、軸に圧着気味につく。 |
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↑Fig.7 最下羽片下部。(兵庫県篠山市・乾いた路傍の岩壁 2013.2/25) 羽片には明らかに柄がある。小羽片にも柄があり、最下羽片下側第1小羽片は小さい。小羽片基部は耳状となり、辺縁は浅裂している。 |
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↑Fig.8 小羽片が中裂〜深裂したもの。(兵庫県篠山市・乾いた岩壁 2013.3/14) このようなものはヌカイタチシダマガイと誤認しそうだが、羽片や小羽片に柄があり、羽軸の鱗片が扁平であればギフベニシダである。 |
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↑Fig.9 中軸の鱗片。(兵庫県篠山市・乾いた岩壁 2013.3/14) 中軸の鱗片は褐色〜淡褐色、卵状披針形〜披針形で線形のものが混じり、軸に圧着気味についている。 |
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↑Fig.10 羽軸裏の鱗片。(兵庫県篠山市・乾いた路傍の岩壁 2013.2/25) 羽軸の鱗片は基部が扁平となり、袋状とはならない(サイゴクベニシダ、ヌカイタチシダマガイとの区別点)。 |
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↑Fig.11 羽片裏面。(兵庫県篠山市・乾いた路傍の岩壁 2013.2/25) ソーラスは様々なつきかたをするが、この個体はやや辺縁寄りについていた。 ソーラスの付く部分は葉面が膨出する。 |
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↑Fig.12 フィドルヘッド。(兵庫県篠山市・乾いた路傍の岩壁 2013.5/13) 地色は緑色で、淡色の鱗片に覆われるが、鱗片は先端から次第に褐色を帯びてきている。 |
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↑Fig.13 若い葉。(兵庫県篠山市・乾いた路傍の岩壁 2013.5/13) 若い葉は鮮やかな黄緑色。 |
生育環境と生態 |
Fig.14 人家の石垣に生育するギフベニシダ。(西宮市・人家の石垣 2015.3/12) 宅地の古い石垣の間に1個体だけだが、生育良好なギフベニシダが見られた。 西宮市内で確認できたのはこの1ヶ所1個体のみで、兵庫県東南部では比較的稀な種であり、神戸市ではRDBのBランクとされている。 石垣の間にはベニシダ、ヤマイタチシダ、ヤブソテツ、オニヤブソテツ、イノモトソウなどのシダ類が沢山着いていた。 |
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Fig.15 日当たり良い乾いたチャートの露岩に生育するギフベニシダ。(兵庫県篠山市・乾いた岩壁 2013.11/12) 里山の田園地帯の山麓のチャートの露頭にギフベニシダが点在していた。 露頭にはノガリヤス、コブナグサ、アキノキリンソウ、ノコンギク、タチツボスミレ、ミツバアケビ、スズメノヒエなどが生育し、上半部は半日陰となり オオスギゴケのマットが広がり、ギフベニシダはオオスギゴケのマット上に多く、他にシダ類ではノキシノブ、トラノオシダが見られた。 |
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Fig.16 社寺の石垣に生育するギフベニシダ。(兵庫県篠山市・社寺の石垣 2014.1/6) ギフベニシダは里山の古い社寺の石垣の間に生育していることがある。 石垣の間には他にトラノオシダ、オクマワラビ、ヤブソテツ、イヌシダなどのシダ類、オニタビラコ、チチコグサ、コナスビなど が生育していた。 |