ヌカイタチシダマガイ | Dryopteris simasakii (H. Ito) Kurata | ||
山地・岩壁・林床のシダ 兵庫県RDB Aランク種 |
オシダ科 オシダ属 |
Fig.1 (兵庫県丹波市・岩壁 2013.4/15) |
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Fig.2 (兵庫県丹波市・岩場 2014.7/25) 低山〜山地の岩壁や林床などに生育する常緑性シダ。 根茎は斜上して塊状となり、葉柄や中軸の鱗片はアツギノヌカイタチシダマガイやサイゴクベニシダほど密ではない。 葉柄基部や葉柄の鱗片は褐色〜淡褐色、基部辺縁の突起はごくわずか。葉柄基部の鱗片は軸に圧着気味につき、広披針形〜長卵形。 葉身は2回羽状複生し、表面に光沢はなく、紙質。各羽片は中軸に対して、直交してつき、ほとんど無柄。羽軸裏には袋状の鱗片がまばらにつく。 小羽片は基部がやや耳状になり、深〜中裂し、大きな裂片には低い鋸歯がある。 ソーラスは中肋と辺縁の中間につき、苞膜は灰白色で、全縁。染色体数は'n'=123の3倍体で、無融合生殖。 【メモ】 全国的に稀産種で、兵庫県ではシカの食害により林床ではみられず、岩壁に残存するものが稀に見られる。 アツギノヌカイタチシダマガイ(var. paleacea)は葉に光沢があり、やわらかい革質で、葉柄と中軸に褐色の鱗片を密生する。 ヌカイタシダモドキ(D. simasakii)は葉に光沢があり、葉柄基部の鱗片は線形〜線状披針形で、黒色〜黒褐色。 ヌカイタシダ(D. gymnosora)は葉が薄い草質で、ソーラスに苞膜はなく、葉柄基部の鱗片は線形〜線状披針形で、黒褐色。 ギフベニシダ(D. kinkiensis)は葉に光沢があり、羽軸裏には基部が扁平の鱗片がつく。 トウゴクシダ(D. nipponensis)やオオベニシダ(D. hondoensis)は羽軸が中軸と直交せず斜めにつき、羽片には明瞭な柄がある。 近縁種 : アツギノヌカイタチシダマガイ、 ヌカイタチシダモドキ、 ギフベニシダ、 サイゴクベニシダ、 トウゴクシダ、 オオベニシダ、 マルバベニシダ、 オオマルバベニシダ、 ベニシダ、 ハチジョウベニシダ、 タカサゴシダ ■分布:本州(静岡・長野・奈良・京都・兵庫)、四国、九州(大分) ■生育環境:低山〜山地の岩壁や林床など。 |
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↑Fig.3 地上部標本。(兵庫県丹波市・岩壁 2013.4/15) 葉身は広卵状長三角形〜卵状三角形、2回羽状複葉で、表面には光沢がなく、紙質。 羽片は中軸に対して直交してつく。 |
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↑Fig.4 葉柄下部の鱗片。(兵庫県丹波市・岩壁 2013.4/15) 葉柄基部の鱗片は広披針形〜長卵形、褐色〜淡褐色、軸に圧着気味につく。 |
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↑Fig.5 最下羽片基部。(兵庫県丹波市・岩壁 2013.4/15) 羽片にはほとんど柄がない。最下羽片下側第1小羽片は小さい。小羽片基部はやや耳状となり、辺縁は深〜中裂する。 |
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↑Fig.6 羽軸裏の鱗片。(兵庫県丹波市・岩壁 2013.4/15) 羽軸裏には基部が袋状となる鱗片がつく。 |
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↑Fig.7 羽片裏面。(兵庫県丹波市・岩壁 2013.4/15) ソーラスは中肋と辺縁の中間につく。 |
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↑Fig.8 植物体の基部。(兵庫県丹波市・岩壁 2013.4/15) 褐色の鱗片が顕著だ。 |
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↑Fig.9 フィドルヘッド。(兵庫県丹波市・岩壁 2013.4/15) 強く赤味を帯びて、淡褐色の鱗片に覆われている。 |
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↑Fig.10,11 新葉の展開。(兵庫県丹波市・岩壁 2013.5/31) 赤というよりは紅色味が強く、見慣れたベニシダの赤い新葉とは印象が異なる。 葉先や羽片の先が巻いているうちは多少光沢があるが、展開するにつれて光沢はなくなる。 その後、中軸下方周辺からしだいに緑色へと変色してゆく。 |
生育環境と生態 |
Fig.12 半日陰の岩壁に生育するヌカイタチシダマガイ。(兵庫県丹波市・岩壁 2013.4/15) 尾根の先端部に露出したメランジェの緑色岩露頭の岩壁下方に多数の個体が生育していた。 同所的にカミガモシダ、ニセヌリトラノオ、トウゴクシダが見られ、岩壁の北面する部分ではアツギノヌカイタチシダマガイ、シシランが混生していた。 岩壁の上部にはヌカイタチシダマガイは見られず、シモツケヌリトラノオ、ヒトツバ、セッコクが着生している。 |