タツナミソウ Scutellaria indica  L.
  里山・草地の植物 シソ科 タツナミソウ属
Fig.1 (西宮市・棚田の土手 2013.5/27)

丘陵〜低山の里山の草地や林縁に生育する多年草。
茎は短くはった地下茎から立ち上がり、高さ20〜40cm、白色の粗い開出毛が多い。
葉は数対あってまばらにつき、長さ5〜20mmの葉柄があり、広卵心形〜3角状卵形、両面ともに軟毛が多く、縁には鈍い鋸歯が5〜14対あり、
葉先は丸みを帯び、基部は心形で、長さ幅ともに1〜2.5cm。
花序は開出毛が多く3〜8cmでやや密に花をつける。花は青紫色、ときに淡紅紫色または白色のものがあり、長さ2cm内外。
萼は開花時に長さ約3mm、果実期には6〜7mmになる。分果は黒色で約1mm、鋭い円錐状の細突起が密にある。

【メモ】 変種のコバノタツナミ(var. parvifolia)は葉の長さ8〜12mmと小さく、鋸歯は3〜7対、茎の基部は地表をはう傾向が強い。
     ときに同様な環境で見られるイガタツナミS. kurokawae)は茎に開出毛があるが、葉裏に腺点がない。
近縁種 :  コバノタツナミホクリクタツナミソウヤマタツナミソウヤマジノタツナミソウシソバタツナミトウゴクシソバタツナミ、 ホナガタツナミソウ、
        オカタツナミソウイガタツナミ、 デワノタツナミソウ
関連ブログ・ページ 『Satoyama, Plants & Nature』 タツナミソウの迷宮

■分布:本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国、台湾
■生育環境:丘陵〜低山の里山の草地、林縁など。
■花期:5〜6月

Fig.2 花序。(西宮市・棚田の土手 2013.5/27)
  やや密に花をつける。花は一方向を向く。

Fig.3 花。(神戸市・棚田の土手 2014.5/28)
  ふつう青紫色。花筒基部はほぼ直角に上向きに曲がる。下唇には斑紋がある。

Fig.4 茎の開出毛。(西宮市・棚田の土手 2013.5/27)
  茎には長短のある開出〜はねあがったような毛が生える。

Fig.5 葉。(西宮市・棚田の土手 2013.6/12)
  葉は対生して数組まばらにつき、両面ともに軟毛が生え、葉縁の鋸歯はふつう7対以上ある。

Fig.6 葉裏。(西宮市・棚田の土手 2013.6/12)
  葉裏には明瞭な黄色透明な腺点を散布する。

Fig.7 分果。(西宮市・棚田の土手 2013.6/12)
  分果は楕円形で、長さ1.2〜1.5mm、表面には円錐形の突起を密布する。

Fig.8 秋期に不時開花した集団。(兵庫県小野市・溜池土堤 2010.11/15)
  タツナミソウは秋に返り咲きしているのをよく見かける。特に南の地方ほど多い。
  この場所のものは花茎の約半数が閉鎖花をつけていたが、残る半数は通常開花していた。
  黄色い花はヤクシソウのもの。

生育環境と生態
Fig.9 棚田の土手に生育するタツナミソウ。(西宮市・棚田の土手 2010.6/6)
手入れの行き届いた土手に生育している。草地は刈り込まれて矮小化したネザサが優占するが、多数の草原性の草本が生育している。
ツリガネニンジン、ワレモコウ、シバスゲ、ショウジョウスゲ、ヌカボ、トボシガラ、スズメノヤリ、スギナが多く、アキノキリンソウ、アキノタムラソウ、
クロカワズスゲ、ツボクサ、オカトラノオ、ナツフジ、アオスゲ、イヌシダが点在する。


最終更新日:20th.Nov.2014

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