ヤマタツナミソウ Scutellaria pekinensis  Maxim.
 var. transitra  (Makino) Hara
  山地・林床の植物 シソ科 タツナミソウ属
Fig.1 (兵庫県宝塚市・林床 2010.6/11)

Fig.2 (西宮市・林縁 2015.5/24)

丘陵〜山地の林床に生育する多年草。
茎は4稜あり、高さ10〜25cm、上向きの白毛が多く、細長い地下匐枝を出す。
葉は1〜2cmの葉柄があり、卵状3角形で長さ1.5〜4cm、幅1〜3cm、両面にあらい毛があり、縁には鋸歯があってその先は鈍頭、基部は切形〜浅い心形。
花序は3〜6cmでまばらに一方向に花をつける。花は青紫色、基部で約60度に斜上し、下唇は上唇より長い。
分果は赤褐色で長さ1〜1.2mm、円錐状の細突起が密にある。

【メモ】 ヤマタツナミソウは花冠筒部の基部から斜上し、葉身の鋸歯が丸みを帯びず狭い3角状となり、茎の毛は上向き。
     変種のエゾタツナミソウは葉が薄く、ほとんど無毛で、本州近畿地方以北、北海道に分布する。
近縁種 : タツナミソウコバノタツナミホクリクタツナミソウヤマジノタツナミソウシソバタツナミトウゴクシソバタツナミ、 ホナガタツナミソウ、
        オカタツナミソウイガタツナミ、 デワノタツナミソウ
関連ブログ・ページ 『Satoyama, Plants & Nature』 タツナミソウの迷宮

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島
■生育環境:丘陵〜低山の里山の草地、林縁など。
■花期:5〜6月

Fig.3 葉。(兵庫県宝塚市・林床 2010.6/11)
  葉は卵状3角形。縁の鋸歯は近縁種に比べてあまり丸みを帯びず、狭い3角状となる。

Fig.4 茎の毛。(兵庫県宝塚市・林床 2010.6/11)
  茎には縮れ気味の上向きの毛がやや多く生える。

Fig.5 花序。(西宮市・林縁 2015.5/24)
  まばらに花をつけ、花は一方向を向く。花冠の筒部は基部から斜上する。

Fig.6 花。(西宮市・林縁 2015.5/24)
  花は青紫色、基部で約60度に斜上し、下唇は上唇より長い。

Fig.7 秋の草体。(西宮市・林床 2014.10/19)
  閉鎖花が結実しかかっていた。

生育環境と生態
Fig.8 林床の崩壊気味の斜面に生育するヤマタツナミソウ。(兵庫県宝塚市・林床 2010.6/11)
川沿いの急斜面の崩壊気味の斜面に点在していた。おそらくもっと個体数は多かっただろうが、最近の土砂の崩落によって埋まりかけているものが多い。

Fig.9 林縁に生育するヤマタツナミソウ。(西宮市・林縁 2015.5/24)
川沿いの明るい林床から林縁部にかけてヤマタツナミソウが点々と生育していた。
周辺はまばらなアリマイトスゲの群落が広がっており、そこにチヂミザサ、ナガバノタチツボスミレ、アオイスミレ、ミヤマハコベ、
ミツバアケビやボタンヅルの幼木などとともに生育していた。


最終更新日:9th.july.2015

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