ヤマジノタツナミソウ | Scutellaria amabilis H.Hara | ||
里山・林縁・林床の植物 兵庫県RDB Aランク種 | シソ科 タツナミソウ属 |
Fig.1 (兵庫県摂津地方・疎水脇林縁 2014.5/20) |
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Fig.2 (兵庫県摂津地方・疎水脇林縁 2014.5/20) 丘陵〜低山の林縁や林内に生育する多年草。 地下茎は細くて匍匐する。茎は茎は直立して高さ15〜25cm、4稜形で、稜上には上向きに細毛が生える。 葉は広卵形〜卵心形で長さ1〜2cm、幅0.8〜2cm、縁に粗い鈍鋸歯があり、基部は浅心形、両面に腺点があり、質は薄く、葉柄は長さ1〜2cm。 花序は短く、花はまばらにつき、花冠は長さ2〜2.5cm、青紫色で基部で折れ曲がってほぼ直角に立ち上がる。 萼は2.5〜3mmで腺毛がある。 【メモ】 タツナミソウの仲間では稀な種。スッキリした草姿で、茎の毛は肉眼ではほとんど分からない点で他種と区別できる。 近縁種 : タツナミソウ、 コバノタツナミ、 ホクリクタツナミソウ、 ヤマタツナミソウ、 シソバタツナミ、 トウゴクシソバタツナミ、 ホナガタツナミソウ、 オカタツナミソウ、 イガタツナミ、 デワノタツナミソウ 関連ブログ・ページ 『Satoyama, Plants & Nature』 タツナミソウの迷宮 ■分布:本州 ■生育環境:丘陵〜低山の林縁や林内など。 ■花期:5〜6月 |
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↑Fig.3 草姿(果実期)。(兵庫県摂津地方・疎水脇林縁 2013.6/2) 茎は地下茎からまばらに叢生する。薄い葉が水平に開き、スッキリとした繊細な草姿である。 |
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↑Fig.4 茎と葉。(兵庫県摂津地方・疎水脇林縁 2013.6/2) 茎には稜上に上向きの細毛が生えるが、肉眼ではその様子はほとんど分からない。 葉の質は薄く、表面にはほとんど毛はなく、縁は粗く大きな鋸歯縁となる。 |
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↑Fig.5 茎の拡大。(兵庫県摂津地方・疎水脇林縁 2013.6/2) 茎の稜上には上向きの細毛が密生している。 |
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↑Fig.6 葉の表面。(兵庫県摂津地方・疎水脇林縁 2013.6/2) 毛は見られず、微細は腺点を散布する。 |
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↑Fig.7 葉裏面の拡大。(兵庫県摂津地方・疎水脇林縁 2013.6/2) 表面と同様に微細な腺点を散布する。脈上にはまばらに細毛が見られた。 |
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↑Fig.8 花序。(兵庫県摂津地方・疎水脇林縁 2014.5/20) 花序は短く花が3段つくものがほとんどだった。 |
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↑Fig.9 花。(兵庫県摂津地方・疎水脇林縁 2014.5/20) 花はまばらにつき、花冠は長さ2〜2.5cm、青紫色で基部で折れ曲がってほぼ直角に立ち上がる。 下唇の切れ込みは県下の近縁種のうちでは切れ込み、斑紋も明瞭であるが、タツナミソウ属の花は変異が多く、区別点にはならない。 |
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↑Fig.10 閉鎖花。(兵庫県摂津地方・疎水脇林縁 2013.6/2) 開花期が終わるとほぼ同時に、別のシュートが閉鎖花をつける。 |
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↑Fig.11 種子。(兵庫県摂津地方・疎水脇林縁 2013.6/2) 種子は扁円形〜楕円形、表面には円錐形で先の丸い突起が並ぶ。熟す直前であったが、この時点で長径約1.7mm。 |
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↑Fig.12 白花品。(京都府中丹地方・林床 2015.5/29) タツナミソウの仲間では白花品は稀であり、シロバナヤマジノタツナミソウという和名新称が与えられた。 |
生育環境と生態 |
Fig.13 林縁に生育するヤマジノタツナミソウ。(兵庫県摂津地方・疎水脇林縁 2014.5/20) 低山の山麓の雑木林内に流れる疎林の疎水脇にヤマジノタツナミソウが点在していた。 適湿な場所で、同所的にタチドコロとトウゴクシソバタツナミが多く、トボシガラ、ヤマヌカボ、ササユリ、クサスゲ、ヒメシラスゲ、アオイスミレ、 タチツボスミレ、ナガバノタチツボスミレ、シハイスミレ、ニョイスミレ、ウマノアシガタ、スイカズラ、フデリンドウ、ヤマトウバナ、イヌトウバナ、 ニガナが生育し、周辺にはミゾシダ、シケシダ、ジュウモンジシダ、ハカタシダ、マルバベニシダ、ベニシダ、コバノヒノキシダ、ヒメカンスゲ、シライトソウ、 ギボウシsp.、チダケサシ、トキワイカリソウなどが生育している。 |
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Fig.14 植林地の細流脇に生育するシロバナヤマジノタツナミソウ。(京都府中丹地方・植林地 2014.6/25) 植林地化された低山の谷筋の細流脇にシロバナヤマジノタツナミソウが点々と生育している。 地表はクラマゴケで覆われている部分が多く、同所的にミゾシダ、シケシダ、ジュウモンジシダ、リョウメンシダ、ウラジロ、オオヒメワラビ、ヤマイヌワラビ、 ハリガネワラビ、ゼンマイ、コチヂミザサ、ミゾイチゴツナギ、オタルスゲ、クサイチゴ、ビロードイチゴ、ミヤマフユイチゴ、ヤブヘビイチゴ、オオバタネツケバナ、 ミズタビラコ、ヤブタビラコ、ムラサキニガナ、ツルニガクサなどが生育している。 ここでは周辺を含め200個体超が生育しており、近畿地方では最も大きな個体群だと思われる。 |