アイヌリトラノオ | A. normale × A. oligophlebium | ||
山地・岩上・着生シダ・雑種 | チャセンシダ科 チャセンシダ属 |
Fig.1 (兵庫県篠山市・岩壁 2013.4/25) |
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Fig.2 (兵庫県篠山市・岩壁 2013.7/16) ヌリトラノオ(A. normale)と カミガモシダ(A. oligophlebium)の推定種間雑種で、両種の中間的な形質を持ち常緑性。 成熟した草体は両親種よりも大きくなり、長さ30〜50cmに達する。 葉身は長い披針形、1回(単)羽状腹葉、中軸先端近くに無性芽を盛んに生じ、先端まで正常に伸びることは少ない。 羽片は多数、開出し、互いにやや接近してつき、3角状長楕円形、紙質、やや光沢がある。 羽片基部の前側は耳状に出て、無柄、縁にはあらい鋸歯がある。 胞子嚢群(ソーラス)は線形〜長楕円形、苞膜はやや三日月形の長楕円形、中脈と縁の間に並び、胞子は不稔。 シモツケヌリトラノオ(A. boreale)は羽片が長楕円形で、基部前側はほとんど耳状とならない。 ヌリトラノオ(A. normale)は羽片の形が3角状楕円形、円頭、葉身の先端近くの中軸に盛んに無性芽をつくり、葉身はその先から正常に伸びないことが多い。 テンリュウヌリトラノオ(A. shimurae)は無性芽をつけてもその先に伸び、数個の無性芽をつけ、静岡、紀伊半島、四国、宮崎に分布。 シモダヌリトラノオ(A. normale × A. boreale) はシモツケヌリトラノオとヌリトラノオの種間雑種でほとんど無性芽をつけない。 ニセヌリトラノオ(A. normale × A. oligophlebium) はシモツケヌリトラノオとカミガモシダの種間雑種で無性芽をつけず、葉先はスムーズに伸びる。 近縁種 : カミガモシダ、 ヌリトラノオ、 シモツケヌリトラノオ、 テンリュウヌリトラノオ、 チャセンシダ、 イヌチャセンシダ、 ニセヌリトラノオ、 シモダヌリトラノオ、 エンシュウヌリトラノオ ■分布:本州(関東以西)、四国、九州 ■生育環境:低山〜山地の半日陰〜日陰の岩上や岩壁で、ヌリトラノオとカミガモシダの混生地。 |
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↑Fig.3 地上部標本。(兵庫県篠山市・岩壁 2013.4/25) 雑種強勢で、成熟した個体は両親種よりも大きくなり、30〜50cmに達する。 葉質は紙質で、やや光沢があり、葉先近くの中軸に無性芽をよく生じる。 |
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↑Fig.4 羽片。(兵庫県篠山市・岩壁 2013.4/25) 羽片はやや接近してつき、3角状長楕円形、あらく低い鋸歯があり、不定に切れ込むことがあり、円頭〜鈍頭。 羽片基部の前側は耳状に出て、ヌリトラノオとカミガモシダの中間的な形となる。 |
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↑Fig.5 羽片裏面。(兵庫県篠山市・岩壁 2013.4/25) 胞子嚢群(ソーラス)は線形〜長楕円形、中脈と縁の間に並ぶ。 |
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↑Fig.6 ソーラスの拡大。(兵庫県篠山市・岩壁 2013.4/25) 苞膜は開いているが、胞子嚢は弾けておらず、胞子は不稔である。 |
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↑Fig.7 葉先。(兵庫県篠山市・岩壁 2013.4/25) 葉先には無性芽を盛んに生じ、葉先はそこで途切れることが多く、先まで素直に伸びることはほとんどない。 |
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↑Fig.8 ヌリトラノオとの羽片比較。(兵庫県篠山市・岩壁 2013.4/25) 左:ヌリトラノオ、右:アイヌリトラノオ。 |
生育環境と生態 |
Fig.9 日陰の岩壁に生育するアイヌリトラノオ。(兵庫県篠山市・岩壁 2013.4/25) 照葉樹林内にある南向きの日陰の湿った岩壁で2個体が生育していた。解りにくいが、画像中央付近にかろうじて見えるのがそれである。 足場の悪い岩壁は湿って苔が生え、標本を採集するのに苦労した。 岩壁にはサイゴクベニシダとカミガモシダが多く見られ、ヌリトラノオは数個体が生育していた程度だった。 |
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Fig.10 岩壁に群生するアイヌリトラノオ。(兵庫県篠山市・岩壁 2013.7/16) 階段状にチャートの岩壁が続く一角の壁面で、アイヌリトラノオの群生が見られた。 岩壁はまばらに樹木に覆われてやや多湿で、同じ壁面にシシランやコウヤコケシノブも群生していた。 周辺には両親種であるヌリトラノオ、カミガモシダやサイゴクベニシダ、トウゴクシダ、キジノオシダなどが生育していた。 |