アイアスカイノデ | Polystichum longifrons Sa.Kurata | ||
低山・林床の植物 | オシダ科 イノデ属 |
Fig.1 (神戸市・渓流沿いの斜面 2014.7/17) 丘陵〜低山の疎林の林床に生育する常緑性シダ。 イノデに似るが、やや小型。葉柄下部につく大きな鱗片は披針形、全縁に近く、栗色のものが混じる。 鱗片は幅狭く、中軸下部のもので狭披針形、上部に向けてより狭くなる。 葉柄は長く、葉は斜上しこの性質は雑種にもでるという。 葉身は狭披針形に近くて、やや細長く、先はしだいに狭くなり尾状に伸びる。小羽片はほぼ全縁〜浅裂。 ソーラスはの辺縁寄りにつき、包膜は円形。染色体数はn=82で4倍。 葉面に光沢がある類似のイノデ属で関西地域に見られるものでは以下のものがある。 イノデ(P. polyblepharum) 葉柄基部の鱗片は大きな卵形で、褐色、縁に毛状突起がある。ソーラスは中間〜やや辺縁寄りにつく。 イノデモドキ(P. tagawanum) 中軸裏面の鱗片には著しい不斉な鋸歯があり、ソーラスは辺縁寄りにつく。 ネッコイノデ(P. tagawanum f. atrosquamatum ) イノデモドキの品種で葉柄基部から中軸下部に黒褐色の鱗片が混じるもの。 カタイノデ(P. makinoi) 葉柄基部の鱗片は披針形で、黒褐色のものが混ざる。ソーラスは中間生。 アスカイノデ(P. fibrilloso-paleaceum) 葉柄基部の鱗片は狭披針形で、全縁。中軸の鱗片は線形、全縁で、ねじれる。ソーラスは中間生。 チャボイノデ(P. igaense) イノデモドキに似るが小型。葉は地表につくように低く開出。鱗片は全て褐色で乾くとねじれる。ソーラスは辺縁寄り。 アイアスカイノデを片親とする推定種間雑種に以下のものがある。 アイカタイノデ(P. × iidanum) カタイノデとの雑種。 ハコネイノデ(P. × hakonense) サイゴクイノデとの雑種。 ハタジュクイノデ(P. × hatajukuense) イノデモドキとの雑種。 ドウリョウイノデ(P. × anceps) イノデとの雑種。 スヤマイノデ(P. × suyamanum) チャボイノデとの雑種。静岡県。 ホクリクイノデ(P. × hokurikuense) サカゲイノデとの雑種。近畿以北の本州。 タカオイノデ(P. × takaosanense) ツヤナシイノデとの雑種。関東以西の本州。 以上のうち、ドウリョウイノデ、ホクリクイノデ、タカオイノデは兵庫県から記録がある。 近縁種 : イノデ、 イノデモドキ、 ネッコイノデ、 チャボイノデ、 カタイノデ、 サイゴクイノデ、 サカゲイノデ、 ツヤナシイノデ、 ハコネイノデ(雑種)、 ハリマイノデ(雑種)、 フナコシイノデ(雑種)、 ナメライノデ(雑種) ■分布:本州、四国、九州 ■生育環境:丘陵〜低山の疎林の林床など。 |
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↑Fig.2 地上部標本。(神戸市・渓流沿いの斜面 2014.7/17) 葉柄は長い。葉身はやや細長くて狭披針形に近く、2回羽状裂葉、やや革質で強い光沢があり、濃緑色、先はしだいに狭くなり尾状に伸びる。 |
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↑Fig.3 草体。(神戸市・渓流沿いの斜面 2014.7/17) 長い葉柄は立ち上がり、葉身は斜上する。 |
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↑Fig.4 葉柄基部の鱗片。(神戸市・渓流沿いの斜面 2014.7/17) 葉柄下部につく大きな鱗片は披針形、全縁に近く、栗色のものが混じる。 |
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↑Fig.5 葉柄基部鱗片の拡大。(神戸市・渓流沿いの斜面 2014.7/17) 披針形で、ほぼ全縁。 |
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↑Fig.6 中軸下部裏面の鱗片。(神戸市・渓流沿いの斜面 2014.7/17) 線状披針形で先は尾状に伸び、縁にはまばらに毛状突起がある。 |
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↑Fig.7 葉先の中軸裏の鱗片は毛状となる。(神戸市・渓流沿いの斜面 2014.7/17) |
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↑Fig.8 小羽片。(神戸市・渓流沿いの斜面 2013.9/27) 小羽片はほぼ全縁〜浅裂。ソーラスのつく場所は膨出しない。 |
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↑Fig.9 ソーラス。(神戸市・渓流沿いの斜面 2013.9/27) ソーラスは辺縁寄りにつく。 |
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↑Fig.10 フィドルヘッドと葉柄基部。(神戸市・渓流沿いの斜面 2014.4/10) 基部鱗片はよじれる。 |
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↑Fig.11 解けつつあるフィドルヘッド。(神戸市・渓流沿いの斜面 2014.4/10) 葉柄が長く上に伸びて特徴的である。 |
生育環境と生態 |
Fig.12 渓流沿いの林縁斜面に生育するアイアスカイノデ(中央下)。(神戸市・渓流沿いの斜面 2014.7/17) 多湿な渓流沿いの林床から林縁にかけて多数のシダ類とともにアイアスカイノデが生育していた。 斜面にはベニシダ、トウゴクシダ、オオベニシダ、ヤマヤブソテツ、ジュウモンジシダ、リョウメンシダ、サカゲイノデ、オオイタチシダ、イワガネソウ、 オオバノイノモトソウ、ホソバイヌワラビ、ヤマイヌワラビ、ミゾシダ、シケチシダなどのシダ類などのほか、イトスゲ、ジャノヒゲ、テイカカズラなどが見られた。 |