ナメライノデ Polystichum X okanum Sa.Kurata
  低山・林床の植物(雑種) オシダ科 イノデ属
Fig.1 (兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.7/22)

イノデモドキとサカゲイノデの推定種間雑種。常緑性。
葉の色や形はイノデモドキに似て緑色〜淡緑色、やや厚味のある草質、表面には鈍い光沢がある。
葉柄基部の鱗片は卵形〜長卵状楕円形、淡褐色、あまり光沢はなく、辺縁にはいちじるしく不斉な突起がある。
中軸下部の鱗片は三角状卵形〜広卵形、下向きに圧着気味につき、辺縁にはいちじるしく不斉な突起がある。
中軸中部の鱗片は披針形〜線形、下向きにつき、辺縁にはいちじるしく不斉な突起がある。
ソーラスは小羽片の辺縁寄りにつき、小羽片の基部前側の耳片の上から優先してつく。

イノデモドキP. tagawanum)は中軸下部の鱗片は披針形〜狭披針形で、下向きとはならない。
サカゲイノデP. polyblepharum)は夏緑性で、表面に光沢はなく、中軸の鱗片は広卵形で、下向きに圧着してつく。ソーラスは中間生。
ツヤナシイノデモドキP. X pseudo-ovatopaleaceum)はイノデモドキとツヤナシイノデの雑種。中軸にはイノデモドキよりも幅広い鱗片が上向きにつく。
近縁種 : イノデモドキネッコイノデサカゲイノデイノデアイアスカイノデ、 チャボイノデ、 カタイノデ、 サイゴクイノデツヤナシイノデ
フナコシイノデ(雑種)ハコネイノデ(雑種)ハリマイノデ(雑種)

■分布:本州(関東以西)、四国、九州
■生育環境:低山の林床など。

Fig.2 地上部標本。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.7/22)
  葉柄は短く、葉身の形状はイノデモドキに似る。イノデモドキよりも明るい緑色で、表面の光沢は鈍い。

Fig.3 葉柄基部の鱗片。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.7/22)
  葉柄基部の鱗片は卵形〜披針形、淡褐色。

Fig.4 基部鱗片の拡大。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.7/22)
  辺縁には不斉な突起がある。

Fig.5 中軸下部裏面の鱗片。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.7/22)
  中軸下部の鱗片は三角状卵形〜広卵形、下向きに圧着気味につき、辺縁にはいちじるしく不斉な突起がある。

Fig.6 中軸中部裏面の鱗片拡大。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.7/22)
  中軸中部の鱗片は披針形〜線形、下向きにつき、辺縁には不斉な突起が多数ある。

Fig.7 羽片と小羽片。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.7/22)
  羽片や小羽片の形状はイノデモドキに似るが、ソーラスのつく場所はあまり膨出しない。

Fig.8 羽片裏面。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.7/22)
  イノデモドキの影響が強く、ソーラスは小羽片の辺縁寄りにつき、小羽片の基部前側の耳片の上から優先してつく。
  小羽片の裏面はイノデモドキよりも脈がくぼんでよく目立つ。

Fig.9 ソーラス。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.7/22)
  包膜はあるが、正常なソーラスは見られなかった。

Fig.10 中軸下部鱗片のイノデモドキとの比較。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.7/22)
  ナメライノデのほうが幅広く、下向きに圧着気味に付いている。

生育環境と生態
Fig.11 植林地の林床に生育するナメライノデ。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.7/22)
ナメライノデはイノデモドキとサカゲイノデの雑種だが、ここではサカゲイノデは生育していたが、イノデモドキは見られなかった。
スギ植林地の薄暗い林床だが、ナメライノデは多少とも木漏れ日が当たる湿った場所に2個体が生育していた。
周辺にはベニシダ、トウゴクシダ、オオベニシダ、ヤマヤブソテツ、ジュウモンジシダ、リョウメンシダ、ナンゴクナライシダ、イノデ、アイアスカイノデ、
サカゲイノデ、ヤマイタチシダ、イワヘゴ、、イワガネソウ、キヨスミヒメワラビ、オオバノイノモトソウ、ヒロハイヌワラビ、ヤマイヌワラビ、ミゾシダ、
オニヒカゲワラビ、イワヒメワラビ、コバノイシカグマなどのシダ類が数多く生育している。


最終更新日:25th.July.2014

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