ミミガタテンナンショウ | Arisaema undulatifolium Nakai var. ionostemma (Nakai et F.Meak) Ohashi et J.Murata |
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低山・林床・林縁の植物 兵庫県RDB Aランク種 | サトイモ科 テンナンショウ属 |
Fig.1 (兵庫県淡路島・谷筋の林床 2010.4/10) 丘陵〜山地の林床や林縁に生育する多年草。ヒガンマムシグサの変種。 球茎はときに子球をつける。葉は2個、葉柄は花時に花柄より短いかまれにほぼ同長。 小葉は鳥足状に7〜13枚つき、卵形または楕円形だが変異が多い。 仏炎苞は基本種より大きく、筒部は長さ4.5〜8cm。舷部は濃紫色〜帯黄紫褐色(兵庫県産)、口辺部は耳状に著しく開出する。 付属体は棒状〜棍棒状で、先端は円く、径3〜10mm。 近縁種 : ハリママムシグサ、 タカハシテンナンショウ、 コウライテンナンショウ、 ホソバテンナンショウ、 アオテンナンショウ、 キシダマムシグサ、 ヤマトテンナンショウ、 ムロウテンナンショウ、 オオマムシグサ、 カントウマムシグサ、 ヒロハテンナンショウ、 セッピコテンナンショウ、 ユキモチソウ、 ムサシアブミ ■分布:本州(岩手・宮城の太平洋岸、関東地方と山梨の低山)、兵庫県淡路島、四国西南部 ■生育環境:丘陵〜山地の林床や林縁など。 ■花期:3〜5月 |
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↑Fig.2 ミミガタテンナンショウの雌花。(兵庫県淡路島・林縁の岩礫地 2010.4/10) 淡路島産の雌花は黄紫褐色を帯びるものが多い。仏炎苞の口辺部は耳状に著しく開出。 |
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↑Fig.3 雌花の仏炎苞を覗く。(兵庫県淡路島・林縁の斜面 2010.4/10) 付属体の柄の下は雌花群となり、多数の緑色の子房がふくらみはじめていた。 |
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↑Fig.4 ミミガタテンナンショウの雄花。(兵庫県淡路島・谷筋の林床 2010.4/10) 雄花は紫褐色を帯びたものが多く見られた。雌花よりも雄花の開花期のほうがわずかに早い。 |
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↑Fig.5 葉は2個つく。(兵庫県淡路島・林縁の岩礫地 2010.4/10) 葉柄はふつう花柄よりも短い。小葉は7〜13枚つく。 |
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↑Fig.6 小葉。(兵庫県淡路島・林縁の岩礫地 2010.4/10) 小葉の中央脈付近には斑が入るものが多く、形態は変異に富む。縁には細鋸歯のあるものと無いものとがある。 |
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↑Fig.7 長楕円状披針形の小葉を持つ雄株。(兵庫県淡路島・林縁の斜面 2010.4/10) この個体の小葉の縁には細鋸歯は見られなかった。 |
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↑Fig.8 展葉前に開花した雌株。(兵庫県淡路島・林縁の岩礫地 2010.4/10) |
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↑Fig.9 果実期。(兵庫県淡路島・林縁の岩礫地 2011.8/8) 花軸の周囲に液果が多数つき、上から熟す。液果は他の近縁種よりも大きいという印象がある。 |
生育環境と生態 |
Fig.10 暖帯林の林縁に生育するミミガタテンナンショウ。(兵庫県淡路島・林縁 2010.4/10) 自生地はシカの食害の激しい地域であるが、テンナンショウ属の草本は多量のシュウ酸を含むためシカの食害から免れている。 周辺はシカの食害によってほとんど下草が見られず、シカの不嗜好性植物であるオオバノイノモトソウやオモトが目立っていた。 |